障害者雇用とは一般雇用と何が違う?うつ病からの復帰前に知っておきたい障害者雇用枠の基本情報について

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うつ病や双極性障害をはじめとした精神疾患を患って休職・離職された方でも、通常の雇用(『一般雇用』と呼びます)で勤められている場合には、障害者雇用についてご存じない方や「耳にしたことはあるけど、中身はよく分からない」といった方が多いのではないでしょうか。

こちらの記事では、「障害者雇用とは何?」「どんな働き方をするのだろうか…」といった疑問にお答えしつつ、「障害者雇用で働くか、それとも今までどおり一般雇用で働こうか…」とお悩みの方にも役立てていただける情報をご紹介したいと思います。

障害者雇用とは何?

障害者雇用とは、障害をお持ちの方でも、その能力と適性に応じて就労できるように、事業者や自治体などが障害のある方を雇用することです。(参照:厚生労働省 障害者雇用対策

そのために、国が障害者雇用対策として「障害者雇用促進法」という法律を定めており、企業に対して一定割合の障害者雇用を義務付けるなどをして、障害のある人でも安心して求職、就労できるように推し進めているのです。

障害者の定義

障害者雇用の中の「障害者」という言葉ですが、日本には障害のある人を取り巻くさまざまな法律や条例があり、その法律や条例ごとに「障害者」についての定義があります。

「障害者基本法」での障害者の定義
身体障害、知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者

「障害者権利条約」での障害者の定義
長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有する者であって、様々な障壁との相互作用により他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられることのあるもの

障害者雇用

一般の求人とは別に、障害をお持ちの方を対象とした求人を障害者雇用と呼んでいます。

障害者雇用では、障害者手帳(うつ病などの精神障害の場合「精神障害者保健福祉手帳」)を持っている障害者を対象として、通常の雇用(一般雇用)とは異なる採用基準により企業や自治体などに就職することができます。

障害者雇用での就職を目指す場合、企業などの事業主側が障害者雇用での採用を行っているのか否かを確認する必要があります。

障害者雇用

障害の種類とは?

具体的に「障害」と定められているものにはどのような種類のものがあるのでしょうか。本項では、障害と認められているものについて説明します。

精神障害

精神障害とは、精神疾患のために精神機能に障害が生じることを差します。原因はさまざまですが、何らかの脳の器質的変化あるいは機能的障害がが起こることで、さまざまな精神症状、身体症状などが見られる症状のことを言います。

具体的には、気分障害、うつ病、双極性障害、統合失調症、アルコールや薬物依存症、てんかん、パニック障害、高次脳機能障害などが、精神障害として障害手帳(「精神障害者保健福祉手帳」)の対象となることがあります。

発達障害

発達障害とは、生まれつき脳の発達に障害があることの総称です。何らかの要因により、先天的に脳の一部の機能に障害があることが原因とされていますが、発達障害を引き起こす詳細なメカニズムはまだはっきりとは解明されていません。

具体的には、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、チック障害、吃音症などが発達障害として障害手帳(「精神障害者保健福祉手帳」)の対象となることがあります。

知的障害

知的障害とは、精神医学で「精神遅滞」とも呼ばれる知的発達の障害のことです。18歳までに記憶や知覚、推理や判断といった知的機能に遅れが見られ、社会生活などへの適応が困難な状態を差します。

具体的には、自分の気持ちを言葉で表すことや読み書き、計算、金銭の管理などが苦手であったりします。

身体障害

身体障害とは、先天的・後天的な理由で、一部の身体機能に障害が生じている状態や、そのような障害そのものを指します。身体障害者の範囲は、身体障害者福祉法の中で定められており、身体障害者障害程度等級表に基づいて一人ひとりに障害の等級が決定されます。

具体的には、視覚障害、聴覚障害、音声・言語・そしゃく機能障害、内臓機能などの疾患による内部障害などがあります。

障害者雇用は通常の雇用(一般雇用)と何が違うか

障害者雇用とは、通常の雇用形態(一般雇用)と何が違うか、気になる方は多いと思います。それらを知って頂くため、障害者雇用のメリット・デメリットを簡単に紹介します。

障害者雇用は通常の雇用(一般雇用)と何が違うか

障害者雇用のメリット

障害があることがわかった上で雇用されているため、職場の人達からの理解が得やすく、体調や仕事内容、働き方など、様々な点で配慮を受けながら仕事がしやすいです。

また、就職するときや就職後などに利用できる支援制度の幅が広がることも大きなメリットの一つと言えます。

(参考:【うつ体験談】「周りの支えがあって現在の自分がいる」と心から思えた – 30代男性
(参考:うつ病で働けない時、「お金」はどうする!?-活用できる経済的な支援制度-

障害者雇用のデメリット

通常の雇用(一般雇用)に比べて、求人の数が少なかったり、仕事内容が限られていたり、給与が低かったりすることが比較的多い点はデメリットと言えるでしょう。

また、通常の雇用(一般雇用)の方が、障害者雇用に比べて業務内容や量などに制約がありませんので、両者を比較するとどうしても通常の雇用(一般雇用)の人の方がキャリアアップなどのスピード感が早い傾向があるかと思います。

障害のある人の様々な働き方

前項まででは「障害者雇用とは何か」「障害者雇用とは一般雇用と何が違うか」などをご紹介してきました。ここでは、障害者雇用に限らず、障害のある人が仕事を探される際によく耳にする働き方についてご説明します。

オープン就労/クローズ就労

通常の雇用(一般雇用)で就職する場合、障害があることを会社側に知らせるか否かは本人が決めることができ、障害のあることを会社に知らせて就職することを「オープン就労」と言います。その逆で、知らせないで就職することを「クローズ就労」と言います。

就労継続支援(A型・B型)

就労継続支援とは、企業などで働くことが困難な場合に、障害や体調に合わせて自分のペースで働く準備をしたり、訓練や仕事を行うことができる福祉サービスです。就労継続支援にはA型・B型の2種があり、雇用契約を結んで一定の支援を受けながら利用するのがA型、雇用契約を結ばず、作業に対する工賃を得ながら利用するのがB型となります。どちらも福祉制度内で働くことができるので、一般雇用で働くよりも自分のペースで働きやすいですが、給与や工賃などが低い傾向にあります。(特にB型は時給換算にすると400円に満たない場合が多いです)

(参考:【うつ病の人におすすめ】仕事探しで失敗しないために、考えておくべき大切なこと
(参考:うつ病の克服~仕事しながら克服するために大切な5つのこと~

障害者雇用で働くための条件とは

障害者雇用で働くためには、障害者手帳を持っていることが必要です。障害者雇用の対象障害者雇用での就労を考える際は、早めにお住い地域管轄の福祉事業窓口などや主治医に相談すると良いでしょう。

(参考:「診察の時に上手く話せない…」心療内科・精神科で診察を受ける時に医者に話しておきたい5つのポイント

知っておくと心強い「障害者雇用促進法」

障害者雇用促進法とは、障害者の雇用の拡大・促進に関する法律です。障害者の安定した就労を実現するための具体的な方策が定められています。ここでは、障害者雇用促進法の中でも特に抑えておくべき内容についてご紹介します。

障害者雇用率制度(法定雇用率)

会社などの事業主に対して、障害のある人を一定の割合以上で雇用することを義務付けた制度です。一定の割合のことを「法定雇用率」と言い、2020年8月の段階では、民間企業は2.2%、国や地方公共団体は2.5%、都道府県などの教育委員会は2.4%と定められています。

合理的配慮の義務

合理的配慮とは、障害をお持ちの方でも能力を十分に発揮して働けるよう、企業や自治体などの雇用側が、障害による就労への支障を取り除く措置です。精神障害者への合理的配慮については、内閣府Webサイトで、以下のような例が挙げられています。

  • 細かく決まった時間や多人数の集団で行動することが難しいときには、時間やルールなどの柔軟な運用を行うようにする
  • 曖昧な情報や一度に複数の情報を伝えると対応できないときには、具体的な内容や優先順位を示すようにする
  • 情緒不安定になりそうなときには、別室などの落ち着ける場所で休めるようにする

(参照:合理的配慮等具体例データ集(合理的配慮サーチ)精神障害 (内閣府Webサイト)

※精神障害者への合理的配慮については、同じ疾病であっても個人によって障害特性が異なること、ここ数年で急速に精神障害者の障害者雇用が増えたことなどの状況から障害者本人と雇用側との調整やコミュニケーションがとても大切です。そういった意味で、双方の間を繋ぐ弊社のような就労移行支援機関の役割は、非常に重要です。

差別禁止

障害があることを理由に、不当な差別をしてはならないと定めています。例えば、募集や採用の対象から故意に外したり、不利な条件を課すことなどを禁止しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。障害者雇用とは何か、どんなメリットやデメリットがあるのか等、障害者としての就労状況や検討事項などがざっくりとでも掴めたのではないでしょうか。

ここまでにお伝えしたことは、法律や制度を使っての就労ですが、弊社のリワーク事業「リヴァトレ」に通われている方々の中には、一般雇用に応募しながら、採用面接の中で疾病を開示される方もいます。

(参考:リワークとは何?リワークの意味や効果、具体的な内容(利用料金や手続き)などについて

疾病について打ち明けるのはとても勇気の要ることであり、採用までのハードルになり得ることは事実です。しかし、企業側でも徐々に精神障害をお持ちの方への理解が深まり、積極的に雇用しようとする意識が高まっていることも手伝って、場合によっては合理的配慮に近いサポートを受けられることもあります。

障害者雇用であっても、一般雇用であっても、働くことには変わりがありません。どちらにしても、ご自身が心身ともに良い状態をキープしながら働ける環境を整えておくことは、とても大切です。

リヴァトレでは今後も、精神障害をお持ちの皆さまのお気持ちや考えを大切にしながら、ご自身が納得できる働き方、生き方に繋がるサポートを続けていきたいと思います。

(参考:リヴァトレが理想とする「リワーク」の形。その“2つのポイント”についてご紹介します。

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この記事を書いた人
長谷川 亮 株式会社リヴァ リヴァトレ事業部

公認心理師/産業カウンセラー
バイオサイエンス業界の技術営業などを経験した後、リヴァトレの元利用者を経てリヴァに入社。現在は再就職支援施設「リヴァトレ市ヶ谷」のセンター長として、プログラム提供やキャリアコンサルティングに携わる。

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