家族との関係の中でのストレスがきっかけとなり、うつ病を発症してしまうケースは少なくありません。身近な存在であるはずの家族がきっかけとなってしまう場合、適切な対応が見つからずに悩むことも多いでしょう。
本記事では、家族間ストレスがうつ病を引き起こす可能性と治療法、注意すべき点について解説します。家族間の悩みを人に相談しにくかったり、家族からうつ病の理解を得ることが難しいと悩まれている方はぜひ参考にしてください。
目次
家族間ストレスがきっかけでうつ病になることも……うつ病と家庭環境の関係
人間関係によるストレスは職場や学校だけでなく、家族間でも起こりえます。うつ病を引き起こす原因には様々なものがありますが、その一つは家庭内のトラブルなど家族関係によるストレスです。
2019年の国民生活基礎調査によると、人間関係に起因するストレスの約半数が家族間のもので、特に女性が「家族との人間関係」に強いストレスを感じやすいことが分かっています。
家族は本来、身近で安心できる存在ですが、その関係がストレスの原因になると、逃げ場がなくなり、精神的な負担が増してしまうのです。
家族間のストレスは、当事者に深刻な影響を及ぼす場合があります。自分の心身に異変を感じた際は、早めに医師などの専門家に相談し、適切な対処法を探すことが大切です。
うつ病の原因になりうる家族間のストレス
うつ病発症のきっかけとなりうる家族間のストレスは、人によって様々です。ここでは、代表的なものを3つ紹介します。
①親子間でのストレス
親子間では「親が高圧的な態度を取る、過干渉する、暴力をふるう」などが原因で、子どもに大きなストレスがかかることがあります。特に小さい子どもは親子関係から逃れる手段を持たないため、ストレスを抱え込みやすい傾向にあるのです。 さらに幼少期に不適切な養育環境に置かれると、脳に影響を与え、成人後の精神疾患発症リスクが高まることも報告されています。
②パートナー間でのストレス
夫婦などパートナー間のストレスは、日常の小さな不満が積み重なって心の負担を引き起こすことがあります。 たとえば、「家事や育児の分担が不均衡」「コミュニケーション不足」「価値観の違い」などが原因として挙げられます。ライフステージの変化や家庭内の役割分担の変化が、ストレスを増大させる要因となることも少なくありません。 パートナー間のストレスが長期間続くと、うつ病を発症するリスクが高まってしまいます。
③介護でのストレス
親の介護や老老介護におけるストレスをきっかけに、いわゆる「介護うつ」に陥るケースも多く見られます。 身体的な疲労だけでなく、経済的な負担や、介護施設とのやりとり、孤独感がストレスを増加させてしまうのです。一人で抱え込むほど負担が増し、悲観的な思考に陥るリスクが高まります。
介護を家族全体で分担する仕組みや、外部のサポートを活用することが重要です。
参考:「仕事と介護 両立のポイント─あなたが介護離職しないために─」(厚生労働省)
家族間ストレスをきっかけにうつ病を発症したときに注意すべきこと
家族とのストレスをきっかけにうつ病を発症した場合、適切な対応が重要です。環境を変えることも一つの方法ですが、注意すべきポイントがあります。
いきなり一人暮らしをするのは避ける
環境を変えるために一人暮らしを考える方もいますが、孤独感がうつ病を悪化させる可能性があるため、慎重に考える必要があります。 一人暮らしがうつ病のリスクを高めるという研究も報告されており、家族との繋がりがなくなることで孤立感を深めることがあります。特に、新しい環境での生活が加わるとストレスが増し、発症リスクがさらに高まるケースも少なくありません。
家族から離れる必要がある場合は、友人や信頼できる人との交流を保つなど、孤独感を和らげる工夫が大切です。主治医などの専門家と相談しながら、慎重に検討しましょう。
パートナー間のストレスがあっても勢いで離婚を決めない
夫婦などパートナー間のストレスがうつ病の原因であっても、離婚を決断する際には冷静な判断が必要です。 うつ病の症状がある状態では、感情的になりやすく、後悔の原因となる決断を下してしまうことがあります。一時的に距離を置いたり、カウンセリングを受けたりすることで、関係を見直す時間を作ることが大切です。
治療を進める中で、状況を冷静に判断できるようになった段階で次のステップを考えると良いでしょう。
協力を求めて家族にうつ病を打ち明ける
うつ病を家族に打ち明けることは、治療の大きな一歩です。家族間のストレスがきっかけであっても、状況を共有することで互いの理解が深まり、改善の糸口となる場合もあります。 ただし、全ての家族が理解を示してくれるとは限りません。そのため、医師やカウンセラーと相談しながら、打ち明けるタイミングや方法を慎重に考えることが重要です。
家族にうつ病を打ち明けるか悩んだ時には、主治医に相談しながら後悔しない選択を検討しましょう。
家族間ストレスをきっかけにうつ病を発症したときの治療法
家族間ストレスをきっかけにうつ病を発症している場合、症状や家庭の状況に応じた治療方法があります。適切な選択をするためには、医師とよく話し合うことが大切です。一人で悩まず、専門家に相談しましょう。
入院治療
家族関係がうつ病に大きな影響を与えている場合、入院治療が適していることがあります。入院により、家族とのストレスから物理的に距離を置くことができ、心身を十分に休める環境が整えられる点が回復に効果的です。 入院中は、下記のような治療が行われます。
休養と生活リズムの改善
バランスの取れた食事や規則正しい生活、清潔な身だしなみを心がけることで、心身の安定を促します。
精神療法と傾聴
医師による診察や看護師、公認心理師などの専門家による傾聴、認知行動療法などの心理療法が行われます。
薬物療法
効果や副作用を確認しながら、患者一人ひとりに合った薬を調整します。適切な薬の選択と服用が治療の鍵となります。
環境調整とサービスの導入
退院後の療養環境を整えるほか、地域生活を支援するサービスを調整・導入し、患者の希望する生活をサポートします。
参考:こころの情報サイト「精神科の入院について」(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
通院治療
家庭の状況やうつ病の症状によっては、通院治療も有効な選択肢です。家族以外の友人やうつ病などメンタル不調の支援を行う支援団体を頼ることで、サポートを受けながら治療を進めることができます。
また、通院治療は自分のペースで治療を続けられるため、負担が少ないというメリットもあります。
家族から離れて社会復帰の準備をしようー宿泊型療養サービス「ムラカラ」
家族との関係がストレスとなり、うつ病やメンタル不調を抱える方にとって、家庭環境を一時的に離れ、新しい環境で療養することが効果的な場合があります。そんな方におすすめなのが、宿泊型療養サービス「ムラカラ」です。
ムラカラとは、自然豊かな奈良県下北山村にあるシェアハウスで生活しながら、メンタルケアのプロによるサポートにより疾病と向き合うプログラムを行います。日常生活から離れた環境で過ごしながら、心身の回復と社会復帰を目指すことができます。
ムラカラが選ばれる4つの理由
村全体をフィールドにした活動
ムラカラでは、自然豊かな村を活動の舞台にし、年代・職業・働き方など多様な人々との交流を通じて価値観や視野を広げます。地元の方々や同じ目的を持つ仲間と触れ合うことで、新たな生き方や考え方を模索する機会が得られます。
少人数制で密度の高い支援
定員10名の少人数制で、参加者一人ひとりに対して丁寧で濃密な支援を提供します。個々の特性や状況に応じたサポートを受けることができるのが特徴です。
確かな実績に基づくノウハウ
ベースとなるのは2011年より1,700名以上の社会復帰者を支援してきた復職・再就職サービス「リヴァトレ」のプログラム。うつ病や適応障害など、様々なメンタル不調の方の支援で培ったノウハウを活かし、既存の福祉的枠組みにとらわれないサポートを行います。
宿泊型だから実現できる低コスト
シェアハウス形式を採用しており、月々の生活費を約35,000~70,000円(※)に抑えられるため、都市部でのサービスに比べて経済的な負担が少なく安心して利用できます。
※ムラカラは障害福祉の制度で運用しているため、前年度の収入に応じて月額の利用金額が変動します。詳しくはお問い合わせ下さい。
ムラカラってどんなサービス?復帰に向けたプログラムや利用者の声をご紹介

ムラカラは、都市部の喧騒や家庭環境から離れ、自然豊かな村で過ごしながら心と体をリフレッシュできる宿泊型療養サービスです。ここでは、ムラカラの具体的なプログラム内容や、実際に利用した方々の声をご紹介します。
ムラカラの社会復帰プログラム
ムラカラでは、社会復帰を目指すために必要なスキルや習慣を身につける多彩なプログラムが用意されています。
生活リズムの立て直し
健康的な生活習慣を再構築するため、「運動」「食事」「休養」を重視した活動を行います。畑で野菜を育て、それを使った料理を楽しむことで、体力を回復させると同時に心の安定を図ります。
また、適度な身体疲労が睡眠の質を向上させ、規則的な生活リズムの形成に役立ちます。
ストレス対処法の習得
再発予防には、ストレスをコントロールする力が不可欠です。ムラカラでは、「マインドフルネス瞑想」や「認知行動療法」を取り入れたプログラムを実施。日々のストレスにどう向き合い、どう対処するかを実践的に学べます。
対人スキルと問題解決能力の向上
仲間や地元住民との交流を通じて、コミュニケーション能力を高める機会が提供されます。「アサーション」トレーニングを通じて、相手を尊重しながら自分の気持ちを適切に伝えるスキルを磨きます。
また、下北山村を舞台にリアルな問題に向き合い、解決に向けたPDCAを回し問題解決スキルの向上をはかります。
新しい生き方や働き方の模索
村の住民や地域おこし協力隊として活躍する人々との交流を通じ、多様な価値観に触れることで、生き方を考えるヒントを得られます。
さらにプログラムでも、過去の経験から自分のやる気の源泉をさぐる『モチベーションカーブ』や未来に向けて大切にしたいワードを選び掘り下げる『バリューワード』、数年後の望ましい未来像を具体的に描く『未来地図』など、様々なアプローチで「自分らしい社会復帰」を考えます。
再就職・再出発に向けての準備
目指すキャリアが明確になったら、次の生活に向けて準備をしていきます。 次のステージでの働き方・生き方は、『ムラカラ』での生活とは異なっているかも知れません。
そのため、想定できるギャップを可能な限り埋めていけるよう、一人一人異なるプログラムで復帰後を想定した取り組みを行います。
実際に利用した方の事例をご紹介
ストレスの原因は、家族間でのコミュニケーションがうまくいっていない場合も多いもの。ムラカラのプログラムで自分も他者も尊重するコミュニケーション「アサーション」を身に付け、家に帰ったときに実践することで状況の改善に取り組む方がいらっしゃいました。
また、必ずしも家族がうつ病発症や悪化の直接的な原因でなくても、日々のやり取りや環境が心理的な負担となり、回復が進まないケースも少なくありません。
そのような状況で、親元や家族から一時的に離れ、新しい環境で過ごすことが改善のきっかけになることがあります。実際、ムラカラを利用して環境を変えたことで、自立や症状の改善に向けて良い方向へ進んだ事例も見られます。
実際に双極性障害(双極症)でムラカラを8か月間利用した方の声をご紹介します。
利用の決め手は、「環境を変えてみたかった」というのが一番の理由です。会社や家族に対して、自分を良く見せようとしてしんどくなることが多かったので、実家から離れたい気持ちが強かったです。 また、親との口論がきっかけで躁状態になることもありました。その結果、病院のリワークでの活動を頑張りすぎてしまい、反動でうつ状態になってしまうことも多かったんです。 ムラカラを利用する前は、月曜日から金曜日の日中はリワークを利用して、帰宅後や土日は疲れて家で寝て過ごしてしまっていました。 しかし、ムラカラでは日中の活動だけでなく、睡眠や食事などについてもアドバイスをもらえるため、生活習慣全体を整えることができると感じたんです。
インタビュー全文はこちらからもお読みいただけます。
また、ムラカラを利用した再出発を描いたこちらの動画もぜひご覧ください。
よくあるご質問
利用期間はどのくらい?
利用期間は6ヶ月を標準期間として、最短で3ヶ月間から、1年間を目安にご利用いただけます。
最短3ヶ月としている理由は、それより短い期間だと一時的な休養としては良いのですが、様々な体験をしながら、これからの自分の人生を考えて踏み出すには足りないと考えております。また、居場所とせずに、次の人生に向けて踏み出す意味でも1年以内を目安としています。
その方の状態や目指す未来によって必要な期間は異なると思いますので、気軽にお問い合わせ下さい。
利用するための条件はありますか?
下記の条件が必要です。
- 精神疾患を患っており治療を受けている方
- 復帰意欲のある方
- 緊急連絡先をご用意できる方
- 身体介助が必要ではない方
- 最低3ヶ月利用できる方
- 主治医からの利用許可を得られる方
※遠方にお住まいの場合、『ムラカラ』を利用する間は転院をお願いする可能性があります。
※利用にあたって障害者手帳は必須ではありません。
まずはオンラインで気軽にご相談ください
利用までの流れは下記になります。
- Webフォームよりお問い合わせ
- オンライン説明会
- 無料体験宿泊(3~4泊)
- 利用手続き
- 利用スタート
思い切って日常から離れた環境で過ごすことで、症状改善や社会復帰への道筋となるかもしれません。まずはオンラインでサービスについてご説明いたしますので、こちらから気軽にご相談ください。
家族以外のサポートを受けながら自宅から社会復帰を目指すなら「リヴァトレ」

長期宿泊が難しい場合でも、自宅から通える復職・再就職支援サービス「リヴァトレ」なら、家族以外のコミュニティでサポートを受けながら社会復帰を目指すことができます。
職場へ通勤するようにセンターへ通い、ムラカラと同じくストレス対処や疾病理解、ビジネススキル向上など、利用者の特性や体調に合わせた様々なプログラムで復帰のトレーニングを行います。うつ病など、メンタル不調の再発防止にも効果的です。一人一人に合わせた復帰プランとプログラムで、「自分らしい働き方」を見つめ直すことができます。
同じ悩みを持つ仲間と共感し合い、時には試行錯誤をしながら支え合うことで、自宅療養だけでは得られない孤独や不安の解消にも繋がるのもメリットの一つです。
遠方へ長期宿泊するのはハードルが高いという方は、リヴァトレで自宅から通いながら社会復帰を目指しましょう。東京に4センター、大阪に1センター、仙台に2センターありますので、お近くのセンターへ気軽にご相談ください。
自分の状況に合った選択で社会復帰を目指そう

家族との関係性をきっかけにうつ病を発症することは決して珍しくありません。しかし、適切な対応や治療を選ぶことで、回復と社会復帰への道を切り開くことが可能です。
家庭環境を離れて療養に専念したい方には、宿泊型サービス「ムラカラ」が、日常生活を維持しながら復職準備を進めたい方には「リヴァトレ」が役立ちます。
一人で悩まず、信頼できる医師や支援サービスと相談しながら、自分に最適な選択をしてみてください。
まずは無料パンフレットをご覧ください
リヴァトレは、うつなどのメンタル不調でお悩みの方の復職・再就職をサポートするリワークサービスです。
復帰に向けて行う取り組みについて、無料パンフレットでわかりやすくご紹介しています。
まずはお気軽にお申込みください。
※実際の支援スタッフへのご相談、事業所のご見学はこちらから
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1985年東京都生まれ。
世田谷区の教育相談員→民間企業の治験コーディネーターを経て、2021年に株式会社リヴァに入社。
森田療法を基にした相談支援を行っている。趣味はコーヒーのハンドドリップ。