森林浴とは?森林浴に期待される実証効果やうつ病との関係性について

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自然の中で風景や香り、音、肌触りなどを五感で味わいながらゆったりと過ごし、心と身体の健康回復・維持・増進を図る「森林浴」は近年、医学・心理学的にもさまざまな効果が実証されてきています。

この記事では、そんな森林浴に期待される効果やうつ病との関係性などについてご紹介します。

そもそも森林浴とは

 森林浴という言葉は、日光浴・海水浴・温泉浴などの言葉をヒントに、「殺菌力を持っている森林の空気を浴びることが、人の健康な体をつくる」という仮説に基づいて生み出された造語です。

1982年に当時の林野庁長官・秋山智英さんが提唱した『森林浴構想』がもとになっていると言われています。

当時はまだ、健康への効果は科学的に証明されていませんでしたが、2000年代以降に医学・心理学的な研究が進められ、さまざまな効果が実証されてきています。

数字でみる、森林浴とうつ病などとの関係性

うつ状態やうつ病の原因のひとつは、血中セロトニン(注1濃度の低下にあると考えられています。森林浴は、都市部での散策と比較して血中セロトニンを有意に上昇させることがわかりました。森林浴はうつ状態の改善やうつ病の予防に有効であることが示唆されています。

注1:セロトニンとは脳内で働く神経伝達物質のひとつ。感情や気分のコントロール、精神の安定に関わる

引用元:『森林浴』李卿著

引用元:『森林浴』李卿著

実証されている森林浴の効果·効能

森林浴の医学的研究の第一人者である李卿氏の著書「森林浴」で紹介されている効果・効能のうち、うつ病の症状と関連のあるものを3つご紹介します。

気分の改善・心的回復

森林浴は、緊張や不安、抑うつ、怒り、混乱、疲労の症状を有意に低下させ、活気を上昇させ、うつ状態の改善をもたらす。

睡眠の改善

森林浴は都市散策と比較して、起床時眠気を有意に改善し、疲労回復を有意に促進することが証明され、森林浴による睡眠改善効果が明らかになりました。

自律神経系(注2)のバランスを整える

森林浴によって、交感神経の活動が抑制され、副交感神経の活動が亢進される。自律神経系のバランスが整いやすくなる。

引用元:『森林浴』李卿著
注2:自律神経系のバランスが崩れることで、倦怠感、疲労感、めまい、頭痛、眠れない、食欲不振などの症状が生じる。
参考:わかりやすい病気のはなしシリーズ19『自律神経失調症』日本臨床内科医会

 

森林浴が効果·効能をもたらす3つの理由

森林浴の効果には、森林環境のさまざまな要素が総合的に影響していると考えられています。ここでは、森林浴の効果・効能に影響していると考えられている要素の中から、いくつかをご紹介します。

1. フィトンチッド

フィトンチッドとは、草木から発散される揮発性成分の総称です。具体的な成分としては「α-ピネン」や「β-ピネン」、「δ-リモネン」などがよく知られています。森林の空気中にはこれらの成分が漂っています。天然のアロマというとわかりやすいかもしれません。

森林環境に滞在すると、これらの成分が呼吸を通じて血液に吸収されることがわかっています。また、これらの成分が嗅覚神経を刺激することで、脳の鎮静化をもたらし、自律神経のバランスを制御することによって、アドレナリン(注3)やノルアドレナリン(注3)などのストレスホルモンの分泌を抑えることもわかっています。

これらの仕組みで、心身がリラックス状態になり、気分や睡眠を改善する効果が得られることが示唆されています。

参考:『森林浴』李卿著
注3:アドレナリン・ノルアドレナリンとは、人体がストレスを感じたときに出される神経伝達物質あるいはホルモン。闘争・逃走反応に関わっている。

2. 五感刺激の豊富さ

森林環境には、室内や都市環境と比べ、五感刺激が豊富にあります。遠景・近景のある視覚刺激。草木や土から出る香りによる嗅覚刺激。鳥や虫の声、葉擦れや水の音などの聴覚刺激。樹皮や風が肌に触れるときの触覚刺激。またきれいな空気や水、季節の実りを味わう味覚刺激などです。

森林浴の際、こういった五感刺激に注意を向けることで、最近注目されているマインドフルネス、つまり「今ここ」にある感覚が得られやすいといえます。それにより、「過去の嫌な記憶」や「将来の不安」など、ネガティブな思考からの切り替えがしやすいと考えられます。

3. ハイパーソニック・サウンド

森林内の自然音には、人には聴こえない20khz以上の超高周波が含まれています。
この超高周波は、私たちの脳機能を高め、ハイパーソニック・エフェクトと呼ばれるポジティブな効果(健康増進、やすらぎ、好感形成)を心身にもたらすことが科学的に証明されています。

参考:環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室

森林浴で注意しておくべき5つのリスクと対策

せっかく森林浴に出かけても、さまざまなトラブルにより、効果が得にくくなったり、逆に健康を損なったりする場合もあります。そうした事態を招かないために、予め森林浴のリスクを知り、対策を講じておくことが大切です。

1. 悪天候

大雨や強風、積雪が予想されるときなどは、ケガや枝の落下の危険もあるため、実施を控えた方がよいでしょう。

2. 熱中症

夏場は熱中症に注意が必要です。20分おきくらいのこまめな水分補給をしましょう。
気温が高くなる時間を避けるのも一つの対策です。

3. 虫さされ

610月頃は蚊が多く、虫さされが気になるとリラックスしにくいため、虫よけ対策が必要になります。ヤブ蚊などに刺されると、かゆみや腫れが強く出る可能性もあります。虫よけスプレーや蚊取り線香などを使用し、夏場でも薄手の長袖を着用するのがおすすめです。

4.有毒な動植物との接触

森林や樹木の多い都市公園には多様な動植物が生息しています。時にはハチやヘビなどの有毒動物や、触れると皮膚が炎症を起こすウルシやカエンタケなどの植物・キノコに遭遇します。これらに対する対策方法を知っておく必要があります。

5.クマやイノシシなどとの遭遇

本格的な森林浴をしようと里山などに行く場合、クマやイノシシが出没する場所もあるため、出没情報を確認したり、クマ鈴などの音が出るものを持参する必要があります。

リヴァトレ仙台の森林浴プログラムの紹介

リヴァトレ仙台花京院・リヴァトレ仙台本町では「ストレス対処法を身につけ、心身のバランスを整える」「自分の感覚・気持ちに気づき、表現してみる」「新たな視点・自由な発想で、大切にしたい価値観を描く」を目的に、独自の森林浴プログラムを実施しています。

森林浴の効果がより得やすいよう、森林セラピストや公認心理師などの資格を有するスタッフが適切なコース選びや安全性に配慮しながら企画・運営しているので、安心してご参加いただけます。

特に自宅療養が長期にわたると体力が落ちやすいため、「体力的に不安を覚える」という方もいらっしゃいますし、急に長い距離を歩くと、足を痛めたり、くじいたりするケースも懸念されます。歩くだけでなく、座る・寝ころぶなどを含めたご自身にあった森林での過ごし方を私たちと一緒に見つけていきましょう。

さいごに

この記事では、森林浴の効果やうつ病との関係性、注意点についてご紹介しました。
お読みになって、ご自身で森林浴をしてみたいと思った方もいらっしゃるかもしれません。20分程度の短い森林浴でも気分の改善やリラックス効果が期待できるという研究結果もありますので、まずはお近くの緑の多い場所で、無理のない範囲で実施してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人
及川 結 株式会社リヴァ リヴァトレ事業部 

森林セラピスト・産業カウンセラー・国家資格キャリアコンサルタント

大学・大学院で森林科学専攻。修了後、医療機関に勤務しながら、森林セラピストとして活動を開始。2019年株式会社リヴァ入社。リヴァトレ仙台立ち上げから、杜の都仙台の森林浴プログラム開発・実践を続けている。

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