精神疾患をクローズにして再就職する際に意識したい職場コミュニケーション

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うつなどの精神疾患によって退職し、再就職する際にクローズ(疾患を開示しない)就労を選択される方もいらっしゃるでしょう。

クローズ就労の場合「オープン就労より求人数や給与が多い」「疾患とうまく付き合いながら仕事を行うことができれば、昇進や昇給のチャンスがある」といったメリットがある一方で「疾患に合わせた理解や配慮をまわりに求められない」等のデメリットもあります。

では、どうしたら疾患とうまく付き合いながら再就職先で安定して働くことができるのでしょうか。

この記事では、疾患をクローズにして再就職をする方を対象に、再発防止のためにできる職場でのコミュニケーションを具体的な事例を交えながら解説していきます。

まずは自分にどんな症状が出やすいのかを理解しよう

疾患によっても、また同じ疾患であっても人によって症状は異なります。まずはご自身にどのような症状が出やすいのかを把握しましょう。その上でその症状により、職場でどんな困りごとが起きやすいかを想定し、伝え方の工夫ができるとよいでしょう。

例えば、うつ病の方で「思考力・集中力の低下」「過剰な自責感」「疲れやすさ、意欲がでない」という症状が出やすい方がいたとします。

このような症状が出やすい方は体調不良により、仕事の進行状況が調子のよいときより遅くなりやすく、しかもそれを自分の責任だと捉えてしまいがちで周りに助けを求めることができず、その結果仕事を溜めてしまい、より残業しなければならず疲労が取れない、という悪循環に陥るということが想定されます。

こういう特徴の方であれば、調子が悪くなってからではなく、調子のよい時から仕事の進捗状況を周りと共有しておくこと、業務に行き詰まりを感じたら早いうちに周りに助けを求めることが対処策として挙げられます。また、周りへの発信が苦手な方には「アサーション」という考え方が参考になります。

職場コミュニケーションのコツはアサーション

「アサーション」とはコミュニケーションスタイルの1つです。アサーションを考えるときはまず、人が何かを主張する際のスタイルを「アグレッシブ(攻撃的)なコミュニケーション」「ノンアサーティブ(非主張的)なコミュニケーション」「アサーティブ(適切な)コミュニケーション」の3つに分けて考えます。

アグレッシブなコミュニケーションとは、自分のことだけを考えて、相手の言い分や気持ちを軽視して押し付けるような言い方や態度を指します。

反対に、自分の気持ちや考え方を表現しなかったり、我慢してしまうことで自分を傷つけたり大切にしない言葉や態度をとることを、ノンアサーティブなコミュニケーションと言います。

一方、アサーションとは相手を尊重しつつ、自分の思っていることや要望もきちんと伝えるコミュニケーションを指します。アサーションは精神疾患でなくとも、ビジネスやそれ以外の場でも有効なコミュニケーション方法ですが、自分の状況や希望を伝えながら、業務内容やストレスをコントロールして働き続ける上で特に大切にしたい考え方です。

職場コミュニケーションの具体的な事例紹介

ここからは実際に職場で想定される事例をもとに、アサーションを意識したコミュニケーションの取り方を紹介していきます。

上司から引き受けられない残業を頼まれたときの断り方

上司から残業を頼まれた際、つい「無理です!今頃言われても困ります!」と攻撃的な口調で言ってしまったり、本当は用事があるのに「は、はい。分かりました……。」と反射的に答えてしまって後悔するといった経験のある方もいるでしょう。

攻撃的な表現をすると、相手は傷つき馬鹿にされたと感じたり、付き合いづらい人だと思って継続的な関係の構築が難しくなります。

逆に非主張的な表現をすると、言えなかったことに対して劣等感を感じたり、イライラしたりして、人付き合いに対して消極的になることもあります。

ではどうしたらいいのでしょうか。ポイントとしては、上司の「残業を頼みたい」という気持ちに理解を示しつつも「今日は残業ができない」という自分の状況を伝えることが挙げられます。

例:「すみません、実は今日は残業がないと思って用事を入れてしまっています。明日なら可能ですので、今日は帰らせていただけませんか?」

また、自分の気持ちを正確に伝えるときは「どんな言葉で話すか(バーバルコミュニケーション)」だけでなく「どんな態度で話すか」というノンバーバルコミュニケーションの視点も大切です。相手との適切な距離を保ちつつ、落ち着いた口調で話すことを意識しましょう。

体調が悪いとき、病名を言わずに周囲に相談する方法

クローズ就労の場合、疾患があることを前提に配慮を得ることが難しいですが、精神疾患に限らず体調不良で休んだり、早退したりすることは誰にでも起こりうることです。実際に起きている身体症状(頭痛や吐き気など)の方が言いやすければ、そちらをメインに相談する方法もあります。

このとき、自分の担当している仕事の進捗も併せて相談することで、相手も受け入れやすくなります。

例:「今朝から頭痛がひどいため、申し訳ありませんが今日は早退させてもらえませんか?〇〇さんに依頼された資料は〇日までには提出できる予定です。」

また、日頃から意識して周囲の方とのコミュニケーションを取っておきましょう。しっかり挨拶をしたり、仕事をカバーしてくれる方に対して感謝の言葉を伝えるなど、周囲からのサポートを得やすい環境を整えていくことも大切です。

業務量の調整をしたいときの相談の仕方

業務量が多いと感じている方の場合は、それが現在の体調不調が原因でこなせないのか、体調に関わらずこなせない業務量なのかを検討してみましょう。前者であれば、一時的なヘルプをお願いすることで解消できるかもしれませんし、後者であれば業務分担そのものの変更を相談することも必要になるでしょう。

また漠然と業務量が多いと相談するよりは、業務のどの部分で困っているか、例えば取り組む時間が足りないのか、進め方が分からないのか等を具体的に相談できると、上司もどんな配慮をしたらよいのかイメージしやすくなります。

例:「現在メインで行っているこの業務は作業量が多いと感じており、私ひとりでは〇日(〇時間)掛かっています。特にこの作業に時間が掛かっていて、納期に間に合わないのではないかと焦りが強く、かえって仕事が手につかなくなってしまい、困っています。ですから、この作業を行う際は他の方に手伝ってもらったり、作業分担の見直しを検討していただきたいのですが、いかがでしょうか?」

一方、業務が少なくて物足りないと感じられる方は、体調や勤務実績を主治医と話し合ってから上司に相談してみましょう。その際、今の業務を行った上でどれぐらいの時間の余裕があるのかなどを客観的に示せると、追加で担当する業務の検討がしやすいと思われます。

とはいえ、クローズ就労をしている方は、症状や障害を周りに共有せずに働くことに(ご自身が自覚している以上に)負荷がかかっている場合もあります。業務を増やす際は慎重に検討しましょう。

業務量の相談については、以下のオープン就労者向け記事もご参考にしてください

周囲に相談しながら、ストレス対処を

クローズ就労の方は業務上のストレスの他にも「自身の病気のことが周囲の人に知られたらどうしよう」という不安や「自身の体調について周囲に言えないことが多く苦しい」など、クローズにしていることで感じる負担もあります。

そういった不安を一人で抱えずに、友人や家族などに話を聴いてもらうことも大切です。

相談しづらさや、分かってもらえるかどうか分からない等の悩みもあるかもしれませんが「5分だけ聞いてもらってもいいかな」「状況が違うと分からないこともあるかもしれないけど」と前置きしつつ、誰かに相談してみてはいかがでしょうか。

また、専門家への相談を検討してみるのもよいでしょう。

会社によっては福利厚生の一環として外部のカウンセリングサービスを導入していたり、厚生労働省が管轄する「こころの耳」では、働くことに関する幅広い相談を受け付けています。

(参考:働く人の「こころの耳相談」

クローズ就労で長く働き続けるためにも、自己理解と対処法を知っておこう

再就職後に安定して働き続けるためには、自分の症状について理解することや再発防止の対策は不可欠です。日頃の体調管理に気を付けつつも、調子を崩す予兆には早めに気づいて周りに頼ったり相談したりしていきましょう。

「リヴァマガ運営元が提供する休職・離職者向けサービス「リヴァトレ」では、今回紹介したアサーションや、ストレス対処を明確にするワークを行っています。

現在復職や再就職をお考えの方で、コミュニケーションやストレスの対処法を見直したいと考えている方は、一度検討してみてはいかがでしょうか?

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この記事の監修
武石 純子
株式会社リヴァ リヴァトレ事業部 精神保健福祉士・公認心理師

精神保健福祉センター、精神科クリニック、精神科病院での勤務を経て、2019年に株式会社リヴァに入社。就労移行支援施設「リヴァトレ仙台」にて、心理系プログラムを中心にサービス提供を行っている。

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