就職・転職時に起こりがちな困りごと【漫画/松浦さんの双極ライフ】

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松浦さんの双極ライフ08_アイキャッチ

松浦さんの双極ライフ_就職・転職時に起こりがちな困りごと01

松浦さんの双極ライフ_就職・転職時に起こりがちな困りごと02

解説コラム

私がまだ双極性障害を自覚していなかった頃、職場での一番の困り事は、「著しく気分が高揚した状態(軽躁)」が「いつもの姿」だと捉えられ、その時の発言や熱量を基準に仕事を頼まれてしまうことでした。

振り返ってみると、私は転職活動を始めるとき、たいてい軽躁になりました。自分自身をアピールする行為や、内定を得たいという想い、新しい環境に対する期待や希望と、それらによる気分の高揚…そうした様々なことが、軽躁を誘うのでしょう。

内定が出ると、入社する前から「あれとこれを初日に提案しよう」と考え、入社当日には挨拶もそこそこに「○○に関する取り組みは初めてだと思うので勉強会をやりましょう」「企業サイトに□□なページを追加するといいと思いますよ」といった提案をしていました。

そんな姿を見た同僚や上司からは「すごくエネルギッシュな人」と評価されたり、「新しい提案が楽しみだ」と期待を寄せられたりしてしまいます。また、「こういうページも作れるかな?」「新しいシステムを取り入れたいけど何か知らない?」といった、私の専門領域や能力を超える依頼や質問まで舞い込むようになるのです。

しかし、軽躁状態の私は“出来る気分”が先に立つため、「面白そうですね!」「調べてみますね!」と安請け合い。やがて通常の業務時間内では処理できない量の仕事を抱え、終電での帰宅や、土日の出社が当たり前になっていきます。

それでも対応できるうちはいいのですが。やがて必ず、うつ期が到来。体調が悪化するのに伴って、生産性が急激に低下し、様々なほころびが出始めます。

仕事の期限が守れない。以前はすぐに長文で返していたメールのリアクションも遅くなる。表情も乏しくなる。周りはたとえそのことに気づいても、仕事ができないほどではないので、声を掛けられることはほぼありません。

そうしてしばらく過ごした後、私はある日突然、「今日お休みします」という連絡を入れます。1日だけ休暇をとるつもりが、翌日も休んでしまい、それが1週間になり、1か月になり、最後は退職。…こんなパターンを、私はこれまで何度も繰り返しました。

そこで、いまの勤め先であるリヴァに入社した時には、過去の失敗を生かすべく、以下のような工夫を実施しました。

  • (入社間もない時期は)定時内に終えられない仕事は抱えない
  • 家に仕事を持ち帰らない
  • 軽躁やうつのサイン(メールの分量が増え、反応が早いと軽躁。会話中に目線が合わなくなるとうつとか)を周知し、周りの人にも気付いたら声をかけてもらうよう頼んでおく
  • 上司との定期的な面談で、コンディションの共有と仕事量のコントロールをしてもらう

 

こうした工夫により、周りの人に「軽躁は特殊な状態だ」ということを理解してもらい、過剰に期待されることがなくなったことで、継続的に働くことが可能になりました。

また、人によっては「双極性障害である」ということを周囲に明かされていない場合もあると思います。そういった方は以下のような工夫をしてみるとよいのではないでしょうか。

  • 転職してしばらくは8割の力で働き、指摘がなければそこを一つの基準とする
  • 睡眠時間や歩数など、生活を数字で記録して、自分の気分の波を把握する
  • 体調がよい時に、得意な仕事と苦手な仕事を整理しておき、うつ期になったときに得手/不得手のバランスを調整できるようにする


双極性障害の当事者の方はもちろん、周囲で働く皆さんにも参考にしていただければ幸いです。

 

原案:松浦秀俊
作画:のんた丸孝
監修:佐々木規夫(産業医/精神科医)
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この記事を書いた人
松浦 秀俊 株式会社リヴァ リヴァトレ事業部

双極はたらくラボ編集長/公認心理師/精神保健福祉士

1982年島根県生まれ。21歳の時に双極性障害を発症。20代で転職3回休職4回を経て、リヴァの社会復帰サービスを利用。後に同社へ2012年に入社(現職での休職0回)。 一児の父。

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