うつ病と診断されてから些細なことにイライラしてしまい、自己嫌悪に陥ってしまうことはありませんか? それはあなたのせいではなく、うつ病の症状の一つかもしれません。
この記事では、うつ病によるイライラの原因と効果的な対処法について解説します。
目次
うつ病とは
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどをきっかけに、脳がうまく働かなくなっている状態です。
その結果、不安や落ち込み、不眠、食欲不全、自傷行為など、職場や自宅などでの生活を送ることが困難になるような症状が現れます。
はっきりとした原因は分かっていませんが、ストレスが発症要因であることが多いとされています。脳内のホルモンバランスの乱れや、気分に関わる神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどが正常に機能しないことが原因という説が現在では有力です。
ストレス原因から離れると比較的回復しやすい適応障害と比較して、ストレス原因から離れてもすぐには回復しないのがうつ病の特徴です。
「一日中気分が落ち込んでいる」、「何をしても楽しめない」といった精神症状とともに、「不眠」、「食欲がない」、「疲れやすい」などの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。
うつ病になるとイライラする原因とは
うつ病になるとイライラする原因については諸説ありますが、一つは脳内物質のバランスが崩れることだと言われています。
うつ病の原因の一つは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの機能が低下することです。これらの物質は感情を安定させる役割を担っており、そのバランスが崩れることで、イライラや感情の不安定さが現れたり、攻撃性が高まったりすることがあります。
うつ病でイライラするときの対処法
体を動かす
イライラしているとき、体を動かすことは心と体のリフレッシュに大変役立ちます。運動には、ネガティブな気分を発散させるだけでなく、リラックス効果や睡眠リズムの改善効果があります。
特に効果的なのは有酸素運動です。軽いランニングやダンス、サイクリングなどが理想ですが、「そんな元気はないな…」という場合には、近所を散歩するだけでも十分です。
自然が多い公園や緑のある場所を選ぶと、さらにリラックスできます。一日20分程度、無理のない範囲で続けることを目標にしてみてください。
重要なのは、「スッキリした!」と思える軽い運動にとどめること。頑張りすぎは逆効果になることもあるので、自分のペースを大切にしましょう。また、継続することで徐々に効果を感じられるようになります。
今の気持ちを書いてみる
「頭の中がぐちゃぐちゃ…」というときは、もやもやした気持ちを紙に書き出してみましょう。これは、「考えを整理する」という単純な行為で、心の負担を軽くする効果があります。
文章にするのが苦手なら、落書きや図、意味のない書きなぐりでも構いません。頭の中だけで考え込むのではなく、実際に「手を動かす」ことがポイントです。
書くことで、今抱えている悩みと少し距離を取ることができます。その結果、客観的に物事を見られるようになり、焦りやイライラが和らぐでしょう。また、書き出した内容を読み返すことで、自分が気づかなかった新しい考え方や選択肢が見えてくることもあります。
「人に見せない」と割り切り、自分の感情をありのままに書くことが大切です。ノートでもスマホでも構いませんが、手書きすることで感情をより深く整理できると言われています。
腹式呼吸をくりかえす
イライラがピークに達し、気持ちが落ち着かないとき、呼吸を整えることで心を鎮めることができます。特に、腹式呼吸は簡単で効果的なリラックス法として知られています。以下の手順で試してみましょう。
①椅子に座る場合は背筋を伸ばし、立っている場合もリラックスした姿勢でおなかに手を当てます。
②ゆっくりと口から息を吐き出しながら、心の中で「いーち、にー、さーん」と数えます。 鼻から息を吸い込み、同じように3秒数えます。
③おなかがふくらんだり、ぺたんこになったりする感覚を意識しながら、①~③を5~10分繰り返します。
呼吸に集中することで、余計な考えを手放しやすくなります。「余計なことを考えちゃった」と思っても、気にせずまた「いーち」から始めましょう。深い呼吸を繰り返すうちに、心と体が少しずつリラックスしてくるのを感じられるはずです。
参考:こころもメンテしよう「こころと体のセルフケア」(厚生労働省)
ストレス対処法を知る
イライラの解消にはストレスへの対処法を学ぶことも有効です。
同じ事象が起こったときでも、人によって、また状況によって受け取り方が変わり、それがストレスになったりならなかったりします。ここでは、うつ病によるイライラを和らげる方法として、ストレスコーピング(対処法)について解説します。
ストレスとは、何らかの刺激、きっかけ(ストレッサー)に対して、心理的、身体的、または行動的な反応のことを指します。たとえばストレッサーとして挙げられるのは、仕事の締め切りや人間関係のトラブルなどです。
ストレスには、適度に緊張感を高めて行動を促す「良いストレス」と、心身を疲弊させる「悪いストレス」があります。うつ病におけるイライラは、悪いストレスが積み重なり、適切に対処できない状態で生じることが多いです。
ストレス反応が生じるプロセスを詳しく見ると、以下の流れが含まれています。
- 刺激(きっかけ)
- その人の捉え方
- 対応能力
- ストレス反応
この流れにおいて、自分がどの段階で強く反応しているかを理解することが、適切な対処法を選ぶ第一歩です。
ここではそれぞれの段階に分けたコーピング(対処法)もご紹介します。ご自身のストレス反応の特徴について知り、適切なストレスコーピングを身に付けることで、イライラを抑える効果が期待できるでしょう。
きっかけへのコーピング
ストレッサーそのものに働きかけ、状況を改善しようとする方法です。例として、上司に仕事量を調整してもらう相談をしたり、タスクの優先順位を見直したりすることが挙げられます。
捉え方に対するコーピング
同じ状況でも、ポジティブな捉え方を意識することでストレスを軽減できます。たとえば、困難を「成長のチャンス」と捉え直したり、紙に書き出して視点を整理したりすることが有効です。
ストレス反応の発散
たまったストレスを直接発散する方法です。友人と愚痴を言い合ったり、趣味に没頭したり、運動や音楽鑑賞などで気分転換するのがよいでしょう。
家族がうつ病に…イライラをぶつけられてしまったら?
家族にイライラをぶつけてしまうことは、うつ病の一つの症状です。まずは、その心境を理解することから始めましょう。
うつ病の方は、「何もしたくない」「自分はダメな人間だ」といった強い自己否定感に苦しみ、自分ではどうにもならない絶望感を抱えています。この状態で周囲からの言葉や行動が負担に感じられ、イライラとして現れることがあります。
それは決して家族に敵意を抱いているわけではなく、病気の影響によるものだと理解することが大切です。うつ病患者のご家族は、下記に気を付けて対応するようにしましょう。
- 話によく耳を傾ける
- 本人がゆっくり安心して過ごせる環境を整える
- 家族が感情的に巻き込まれない
うつ病の方を支える中で、家族もストレスを感じることがあります。自分の心の健康を守るため、気分転換の時間を確保したり、専門家に相談したりすることをためらわないでください。家族が心に余裕を持つことが、うつ病の方にとっても安定したサポートにつながります。
詳細はこちらの記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
うつ病でイライラして社会復帰できるか不安…そんなときは「リヴァトレ」で復帰準備をしよう
うつ病で休職・離職し、日常の小さなことでイライラがおさまらず、このままでは社会復帰できる自信がない……そんな方は、復帰前の準備として「リヴァトレ」がおすすめです。
リヴァトレとはメンタル不調の方向けの復職・再就職支援サービスです。
職場へ通勤するようにセンターへ通いながら、よりよい復職・再就職を目指してトレーニングを行います。グループワーク形式で行われる多彩なプログラムにより、心身のコンディションを整えていきます。
リヴァトレでは、イライラ解消のヒントになるプログラムも数多く提供しています。ストレスを感じた際にどのように受け止め、どのように対処するかを練習することで、日常生活や職場でのストレスに対応できる方法を身につけられます。ここではその一部をご紹介します。
認知行動療法でイライラの原因となる考え方を変えていく
リヴァトレでは、集団認知行動療法(CBGT)の手法を取り入れたプログラムを提供しています。認知行動療法は、「イライラ」の原因が出来事そのものではなく、その出来事に対する「考え方」や「捉え方」にあることを学ぶものです。
例えば、仕事で失敗した時に「仕事で失敗した自分は無能だ」とすぐに自己否定的に考えてしまう癖に対して、「一度の失敗で自分の価値は決まらない」「仕事が成功している時もある」など、現実と照らし合わせて考え方や捉え方の幅を広げていく練習を行います。
さらにその練習をグループで行い、他の人の考え方に触れることで新たな視点に気づき、自分の考え方の癖を把握するのです。
この方法により、イライラを引き起こす根本的な要因に働きかけ、感情のコントロールが徐々にしやすくなります。日常的に使える実践的なスキルを身につけられるため、復職後のストレス軽減にも役立つでしょう。
アサーションでイライラしにくいコミュニケーションを学ぶ
リヴァトレでは、「アサーション」と呼ばれる、自分も相手も尊重するコミュニケーションスキルを学べます。
イライラの感情は、コミュニケーションがうまくいかないときに生じることが多いものです。アサーションを通じて、適切に自分の気持ちを伝え、相手の意見にも配慮する方法を練習することで、衝突や誤解を減らせるようになります。
プログラム内では、ロールプレイを用いてリアルな場面を想定しながら、アサーティブな自他尊重の表現方法を身につけます。「自分の言いたいことを伝えつつも、相手を尊重する」というスキルは、復職後の職場や家庭でも活用できるでしょう。
プログラムだけでないリヴァトレのメリット
リヴァトレでは、職場へ通勤するのと同じように、センターへ通いながら復帰に向けたトレーニングを行います。規則正しい生活が身に付けられるため、生活リズムの改善にも効果的です。
また疾病理解やビジネススキル向上など、利用者の特性や体調に合わせた様々なプログラムが用意されています。一人一人に合わせた復帰プランとプログラムで、「自分らしい働き方」を見つめ直すことができるのも大きな特長です。
同じ悩みを持つ仲間と共感し合い、時には試行錯誤をしながら支え合うことで、自宅療養だけでは得られない孤独や不安の解消にも繋がります。
おわりに
この記事では、うつ病によるイライラの原因や、その対処法についてご紹介しました。
うつ病によるイライラは、神経伝達物質の乱れやストレスが原因です。適切な対処法を実践しながら、必要に応じて復職・再就職に向けた支援も活用しましょう。
リヴァトレでは、ストレス対処スキルを磨きながら、社会復帰への準備が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
まずは無料パンフレットをご覧ください
リヴァトレは、うつなどのメンタル不調でお悩みの方の復職・再就職をサポートするリワークサービスです。
復帰に向けて行う取り組みについて、無料パンフレットでわかりやすくご紹介しています。
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