仕事をしていて「うつっぽいな」と思った時、どうすればいい?- 公認心理師が勧めるケースごとの対処法

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皆さんは最近、「仕事中に上手く頭が働かない」「寝付けない、疲れが取れない」「朝の支度に時間がかかるようになった」「土日の趣味もやる気が起きない」

・・・と感じたことはありませんか?

そんな方がネット上の簡易なうつ診断サイトでチェックしてみると『抑うつ傾向有り、専門機関の受診を推奨』などと表示されることがあるでしょう。

すると…

「これってうつ病なの?」 「うつ病だとしたら、もう終わりだ・・・」 「自分の周りでも会社を休んでいる人がいるな・・・」 「たくさん薬を飲むんだよね・・・?」 「休むことになったら、今やってる仕事はどうしよう・・・」 「少し休めば良くなるかも・・・、でもこのままじゃあ・・・」

という風にグルグルと、悩みのループにはまり込んでしまいがちです。

しかし、こういった状態のときに、必ずしもたくさんの薬や長期の休養が必要とは限りません

私は会社の人事やカウンセラーとして、うつ病など精神疾患が疑われる方の対応に取り組んできましたが、その方の状態や職場環境によって、選択肢は分かれると考えます。

1:「うつっぽいな」と思った時、まず何をしたらいい?

「うつっぽいな」と思った時は、まず精神科や心療内科、メンタルクリニックに行くのが一般的です。

もちろん、内科的疾患や薬物からうつ状態が引き起こされていることもありますが、この点も含めて精神科などでは採血や検査を行っていますので、早めの受診をお勧めします。

もし採血などが行われなかった場合、心配であれば主治医に血液検査を依頼してもよいと思います。

「精神科などへ行くのには抵抗がある」という方は、まずはかかりつけの医師や、総合病院などに相談してみてください。

必要に応じて精神科などへの受診を促してくれるでしょう。

本当に怖いのは、医療機関を受診しないままこういった状況を長引かせて、結果的に症状が悪化していくことです。

症状の悪化とともに意欲の低下や身体症状が生じたり、「消えてしまいたい」「死にたい」といった考えが浮かぶことも多いため、早めの治療が大切なのです。

病院選びで迷う場合は、以下の記事を参考に早めの受診につなげてください。

そして、主治医に相談しつつ、今後の方針を決めていくことになります。

1-1:療養が必要なケースとは?

さて、これからもう少し詳しい話をしていきますが、その前に「病院で何を話せばよいのだろう?」と不安な人もいると思います。

うつ病などの精神疾患は、血液検査のような方法では疾患や重症度が確定できないため、医師に伝える「情報」がとても重要です。

診察の際に話すことについて悩まれている方は、以下の記事などを参考にしてみてください。

1-1-1:短期間の療養(1〜2か月程度)の場合

最初から長期療養を前提にするケースはあまり無いように思います。

あるとすれば、入院なども含めて検討されるケースだと思うので、その場合は主治医の判断に従ってください。

多くの場合はひとまず1〜2か月程度の療養を勧められ、それを経た後の回復状態が良ければ、早期に復職できる可能性があります。

また、適応障害や軽症うつ病には、抗うつ薬が用いられないこともあります。

過去に私が立ち会ったケースでは、睡眠導入剤だけで、抗うつ薬は処方されないということもありました。

1-1-2:数か月以上の長期療養の場合

何度か診察に行くたびに、1〜3か月ずつ治療に必要な期間が延びていき、結果的に半年以上、場合によっては年単位の療養を要する場合があります。

こうした場合は、まずは症状が落ち着くまで療養に専念することが大切です。

また、症状が落ち着いてきたら、仕事に復帰するためのリハビリが欠かせません。

理由は、ブランクの長さから来る実践力の低下です。

実践力とは、経済産業省が2006年に発表した「社会人基礎力」をイメージして頂ければと思います。

療養中は人に会う機会も減りますし、文字を読んだり、文章をまとめたり、他人とコミュニケーションを取ることも減少します。

そういった状態が長く続いた後、いきなり職場に復帰するのは無謀ともいえます。

スポーツ選手が怪我をした際に、治ったからといってすぐに試合に出ることはないでしょう。

あるとしたら、1-1-1で書いたように療養期間が短く、実践力が低下していないと判断される場合です。

うつ病などの精神疾患でも同様に考えていただければよいと思います。

このようにお伝えすると、症状が改善していないうちリハビリをやろうとする方もいますが、病状を悪化させかねないので注意してください。

骨折して治りきっていないのに、ランニングから練習を始める人はいませんよね?

それでは、何を基準に判断するのか?

これはやはり心の病の専門家である医師に判断を仰ぐのが適切です。

どうしても早く復帰したいという焦りから「もう大丈夫」と自己判断していろいろ動かれてしまう方がいます。

しかし、うつ病にかかると不安や焦りが強く出ることが多く、これは症状がまだ改善していないことの表れである可能性が高いのです。

うつ病が他の病気と違って厄介なのは「症状が重いときに頑張ってしまい、余計に病状を悪化させる恐れがあること」です。

大切なことの判断・決断は主治医に相談することをお勧めします。

さて、リハビリをする際には、医療保険や福祉制度が利用できる施設や、高齢・障害・休職者雇用支援機構などが運営する施設など、リワーク施設と呼ばれる社会資源が徐々に増えてきていますので、上手に活用されるとよいと思います。

▶ リワークのことを詳しく知りたい方はこちらから

ちなみに弊社も「リヴァトレ」という福祉制度を用いた施設を運営しています。

気になる方はぜひ、気軽にお問い合わせください。

▶ リヴァトレについて詳しく知りたい方はこちらから

1-2:働きながら治療するケースとは?

診断を受けた結果、休まなくても仕事を継続できそうな場合、悩むのは「会社に伝えるかどうか」だと思います。

所属先の会社がうつ病等のメンタルヘルスケアに対して理解があるのか、それに上長との関係性や産業医をはじめとする産業保健スタッフが配置されているかなどによっても判断は変わってくると思います。

個人的には、余程の理由がない限り、会社に相談した方がよいと考えています。

何も伝えないまま、従来通りに勤務して回復していけるなら問題ないのですが、無理をして結果的に症状を悪化させてしまい、回復までにより長い期間を費やしてしまった方々を私は多く見てきました。

一方、会社に相談して理解が得られれば、業務の調整などの配慮を受けることができます。

そうすることで、病状の悪化を避けて無理なく働くことにつながりやすいのです。

ただ、うつ病への偏見は10年前に比べてかなり解消されてきたとはいえ、企業ごとに対応が異なるのが現状です。

そのあたりは、慎重に考える必要があるでしょう。

1-2-1:会社に申告しない場合

会社に申告しない場合は、何とか自分でコントロールしながら働いていかなければなりません。

申告するケースでも同じですが、鍵となるのは「ストレスへの対処」です。

そのためにはまず「自分が何にストレスを感じるか」「これまでどのような対処方法が有効だったのか」を振り返り、よりよい対処方法について検討することが必要になります。

主治医はもちろん、書籍やネットから情報を得たり、可能であれば臨床心理士や公認心理師などにも相談しながら取り組むことをおすすめします。

そして、症状の悪化が見られる際は、主治医に報告・相談しつつ、会社へ申告して一定の配慮を受けれるか、あるいは休職できるか等の相談をされるとよいでしょう。

一番よくないのが「服薬頼みで我慢する」「何とかやりきる」などの根拠の無い精神論です。

先ほど述べた様に、うつ病は思考や気分にも大きく影響を与える病気なので、こうした精神論に基づいた対処はとても危ないといえます。

1-2-2:会社に申告する場合

このケースにおいては、会社や産業医などがどのように判断するかが気になるところですが、まずは現在の自分がどの程度の業務(量および質)であれば問題なく働くことができるのかを検討するところから始めてみてはいかがでしょうか。

直接、上司や産業医に相談できる関係性であれば心強いのですが、そうでない場合は主治医や臨床心理士、公認心理師などに話す中で具体化していくのもよいと思います。

その上で、主治医に意見書を書いていただき、会社に相談してみるとよいでしょう。

私が携わったケースで「うつの症状が強く出ていて、普段の仕事に2倍以上の時間がかかってしまう」という方がいました。

本人としても非常に辛く、休職に入るかどうか悩ましい具合だったのですが、幸いにして「不調が表れてすぐに連絡をもらえた」「出退勤が安定していて遅刻や早退がなかった」「職場的に業務の再分担が可能だった」「上長が面倒見の良い方だった」などの条件が揃っていたこともあり、主治医とも随時連携しながら3か月間の業務調整を行うことで、休職することなく以前と同様に働けるようになりました。

特筆すべきは、業務調整をしてもらえた3か月の間に、ご自身の仕事の仕方や職場内でのコミュニケーションを見直し、ストレス対処についても段階的に向き合われたことで、復帰後のパフォーマンスが以前より安定し、評価を上げたことです。

もちろん、こういったケースは多くはありませんが、条件が揃えば、働きながら業務調整を行えることがあるのです。

最後に

「うつっぽいな」と思ったときは“動き出し”が肝心です。

早期の方が取れる選択肢も多いので、自分であれこれ考えたり、調べ続けることで時間を浪費することなく、まずは専門家を頼ることから始めていただければと思います。

◆ この記事の監修:佐々木 規夫(産業医/精神科医・東京中央産業医事務所 産業医の実務のエキスパートとして多くの企業の健康管理に従事する。メンタルヘルス対策では、体制作りから事例対応までの予防活動を担う。
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この記事を書いた人
青木 弘達 株式会社リヴァ 取締役

公認心理師/社会保険労務士 有資格者
小売業のマネージャーとして、店舗運営から人事労務に携わる。退職後、社労士事務所を開業。企業に対して、就業規則の作成や職場のメンタルヘルスケアに関するセミナーを展開。個人に対して、埼玉労働局と契約しカウンセリング及びセミナーを行った経験を持つ。2011年に株式会社リヴァ立上げに参加。

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