リワーク費用はどれくらいかかる?~利用する施設ごとの違いを徹底解説~

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うつ病や適応障害などのメンタル不調で休職・退職し、復職に向けてリワークを検討しているものの、「費用の負担が心配…」と感じる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、リワーク利用にかかる費用の目安や、休職・退職中の経済的不安を抱える方々が利用できる支援制度について解説いたします。 「リワークに参加したいが、費用が気になって一歩踏み出せない…」という方は、ぜひご覧ください。

リワークの費用はどれくらい? 施設の種類ごとに解説

リワークにはいくつか種類があり、どのリワーク施設を利用するかによって、かかる費用や受けられる内容も異なります。 リワークは、その運営主体によって大きく以下の4つに分類できます。

①精神科や心療内科などの病院で行う「医療リワーク」
②地域障害者職業センターが行う「職リハリワーク」
③各企業が独自に行う「職場リワーク」
④企業・NPO等の民間団体が行う「民間系リワーク」

ここでは、各リワークごとの費用の違いや、利用料以外に発生する交通費や食事代などの実費についても説明します。 また、リワークそのものの意味や具体的な内容についてはこちらの記事をご覧ください。

①医療リワーク

医療リワークは、精神科や心療内科の医療機関によって行なわれているリワークです。健康保険制度のなかで提供されているので、原則として3割負担で利用できます。

負担額は施設によってさまざまですが、1日あたり2,000〜3,000円の利用料となるケースが多いようです。また、「自立支援医療制度」を活用することで、自己負担額が3割から1割にまで抑えられ、1日あたり600~800円程度で利用できます。

自立支援医療制度とは、うつ病などで継続した通院が必要な際に、医療費の一部について支援を受けられる制度です。 制度の対象者や申請方法などについてはこちらをご覧ください。

また、この制度では、患者の負担が過大なものとならないよう、所得に応じて1月当たりの負担上限額が、以下のように設定されています。

うつ病などの精神疾患は多くの場合「重度かつ継続」に該当するので、この制度を活用すれば、かかる費用を多くても月額20,000円以内に抑えることができます。

参考:自立支援医療(精神通院医療)について (厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/dl/03.pdf

②職リハリワーク

職リハリワークは、各県に設置されている地域障害者職業センターが実施しており、休職者本人と雇用主、そして主治医の三者で合意した上で、12〜16週間の職業リハビリテーションを行います。

目的は職場への適応に向けた本人と雇用主への支援であり、治療が目的ではないのでご注意下さい。

職リハリワークは、基本的に無料で利用できます。ただし施設によっては有料となる場合もあるため、利用を考えている方は最寄りの地域障害者職業センターへ事前の確認が必要です。

③職場リワーク

企業内で行われる復職支援のためのプログラムを「リワーク」と呼ぶ場合があります。

職場のリワークとして内部に医療機関や専門部署を有している企業や役所では、職場復帰訓練制度を実施している事例があり、基本的に無料で利用できます。ただし、企業によっては有料の場合もあります。

④民間系リワーク

企業・NPO等の民間団体による民間系リワークでは、障害福祉の制度を利用することによって自己負担額を1割に抑えることができます。

リヴァが運営するリワーク施設「リヴァトレ」を利用した場合の費用は1日あたり1,300~2,400円ですが、前年の世帯所得(本人と配偶者)に応じて、1か月あたりの上限金額(0円~37200円)が設定されています。

世帯収入

利用料上限

収入なし もしくは市町村民税非課税世帯

(収入が概ね300万円以下の世帯)

0円

収入が概ね600万円以下の世帯

9,300円

それ以上の収入

37,200円

 

多くの方が月額9,300円以内で利用されています。 また、自治体によって、利用者負担額や、通所交通費ついての助成制度があるので、ご利用を考えている方はお住まいの自治体に確認してみてください。

利用料以外にかかる費用もある

以上、リワークの種類ごとにかかる費用の違いについて解説してきましたが、実際にリワークを利用するとなれば利用料だけでなく、交通費や昼食代といった費用もかかります。

交通費や昼食代も支給される施設もありますが、そうでない場合がほとんどですので、その点も考慮するようにしましょう。

リワークの費用が心配…休職・離職中に活用できる支援制度

ここまで、各種リワークにかかる費用をご紹介してきました。 職場復帰を目的とした職リハリワークなどは無料で利用できますが、治療や再発予防にしっかり取り組む場合は、医療リワークや民間リワークの活用が求められます。

支援制度を利用すれば、収入が減る休職や離職中の経済的負担を軽減することができますので、休職・離職中に活用できる支援制度をいくつか簡単にご紹介いたします。

傷病手当金(健康保険法による)

健康保険、国民健康保険、各種共済組合などの被保険者が受け取ることができます。

うつ病による休職の場合、まず有給休暇や病気休暇などの消化後に、傷病手当金を申請・受給するケースが多いです。休職後に退職した際も、続けて受給できる場合もあります。

支給額の目安は、就業時の給与の約3分の2の金額です。受給期間は、受給開始日から1年6か月が上限になります。

参照:病気やケガで会社を休んだとき(全国健康保険協会webサイトより)

詳細はこちらの記事をご覧ください。

自立支援医療制度

うつ病などで継続した通院が必要な際に、医療費の一部について支援を受けられる制度です。通常、医療保険による医療費の自己負担額は3割ですが、自立支援制度(精神通院)の併用により、原則1割まで軽減されます。

つまり自立支援医療制度を利用することで、通院やお薬にかかる費用負担が1/3に抑えられます。

先述した通り、医療リワークを利用する際にもこの制度の活用が可能です。

参照:自立支援医療(精神通院医療)について(東京都保健福祉局Webサイト)

詳細はこちらの記事をご覧ください。

他にも、障害年金や失業保険など、休職中・離職中に活用できる制度をこちらの記事で紹介しておりますので、ご自身で利用できる制度がないか確認してみてください。

詳細はこちらの記事をご覧ください。

どのリワークを選べばいい? 費用以外のポイント

リワークの種類ごとに費用面での比較を行ってきましたが、費用だけでなく、目的や支援期間などもそれぞれ異なっています。 ここでは、各リワークのメリット・デメリットを詳しくご紹介します。ご自身の目的に照らし合わせながら比較検討してみてください。

①医療リワーク(医療機関)

対象:復職の意欲がある休職者

目的:病状の回復と安定、最終的には再休職の予防を目指す

期間:休職者の体調やプログラムによって異なり、数ヶ月〜1年以上と幅がある

医療リワークのメリット

・専門医や保健師、看護師、臨床心理士など、専門家がスタッフの中にいることが多く安心感がある

・リハビリの意味合いが強く、再休職の予防を最終目標としているため、プログラムの中に病状の回復と安定を目指した治療も含まれている

医療リワークのデメリット

・復職意欲のある休職者が対象のため、失業中の方は医療リワークを利用できない

・リワークを実施している医療機関は限られており、通院先と主治医の変更が必要になる場合がある

②職リハリワーク(障害者職業センター)

対象:復職の意欲がある休職者と、雇用事業主の双方(公務員は利用不可)

目的:職場への適応に向けた本人と雇用主への支援(治療が目的ではないので注意)

期間:12~16週間

職リハリワークのメリット

・休職者本人だけでなく、事業者に対してもアドバイスや支援を行い、スムーズな復職をサポートしてくる

・障害や疾患がある方の就労や就職に関するノウハウが豊富にあるため、具体的なアドバイスが受けられる

職リハリワークのデメリット

・雇用保険財源事業のため、公務員は利用できない

・病状の回復や治療が目的ではないため、専門医などが在籍していない場合が多く、病状の回復を直接支援することは期待できない

・無料のため希望者が多く、利用まで数ヶ月間待機しなければならない場合がある

③職場リワーク

対象:従業員

目的:復職後に安定した就労ができるのかを見極めること

期間:個人の状態や会社の制度によって異なる

職場リワークのメリット

・企業内で行われるため、社内の人間と連絡や連携が取りやすく、他の施設よりも復職時のギャップが少なく感じやすい

・試し出勤をして職場の雰囲気に慣れるなど、正式な復職に備えて段階的な行動ができる

職場リワークのデメリット

・導入している企業が少なく、一部の企業に限られている

・企業内で行われるため、社員など周りの目が気になり、焦りや不安から体調不良になる可能性もある

④民間リワーク

対象:復職の意欲のある休職者に限らず、失業中でも就職への意欲があれば利用可能

目的:再発を予防し、復職後も安定して働き続けられる状態をつくること

期間:人によって異なるが、およそ3〜6ヶ月で復帰する方が多く、失業中の方は1年以上かかる場合もある

民間系のリワークのメリット

・失業中でも復職への意欲があれば利用できる

・農作業など独自のプログラムを取り入れている施設もあり、働き方の視野が広がる場合がある

民間系のリワークのデメリット

・都内あるいは都市部で行われているものが大半になるため、その他の地方で探すのは少し難易度が高い

・職リハリワークと同様に専門医が在籍していない場合が多い

費用面だけで比較すると、無料で利用できる施設に魅力を感じるかもしれません。しかし、大切なのは「症状の回復」や「復職後も再発を防ぎ、安定して働き続ける」ことです。ご自身の目的に合ったリワークを選ぶことで、より良い回復につながります。

リワークではどんなことをするの?受けられるプログラムを紹介

実際にリワークでは、どんなことをするのでしょうか。 弊社が提供している民間リワーク「リヴァトレ」を例に、実際にリワークで行っているプログラムの一例をご紹介します。

集団認知行動療法(CBGT)

CBGTとは、グループで行う認知行動療法です。これは、私たちが無意識に持っている「考え方のクセ」に気づき、現実と比較して「本当にそうだろうか?」と冷静に見直す習慣を身につけていくプログラムです。

たとえば、1回だけの失敗を取り上げて、「自分は全くダメな人間だ」と考えてしまう場合、それがストレスや落ち込みの原因となることがあります。

そこで「今回は失敗したが、同じ仕事を先週はできていた」といった振り返りを行うことで、捉え方の幅が広がります。これによりストレスに対する耐性が高まるため、感情を安定させやすくなる効果が期待できます。結果的に、うつ病などのメンタル不調の再発防止にもつながります。

あわせて読みたい

アサーション

アサーションとは、「自分も相手も大切にする伝え方」をするコミュニケーションです。

つい言いたいことを我慢してしまったり、逆に強く言いすぎてしまったりすることはありませんか?アサーションプログラムでは、架空の場面を設定をしてロールプレイを行い、自分の気持ちを「私はこう感じている」と素直に伝える方法を学びます。

自分も相手のことも配慮した表現を身に付けることで、日々のストレス軽減や、職場での円滑なコミュニケーションに繋がります。

あわせて読みたい

キャリアデザインワーク

これまでとこれからの「働き方」「生き方」を整理し、探求していくプログラムです。 過去の経験から自分のやる気の源泉をさぐる『モチベーションカーブ』や、未来に向けて大切にしたいワードを選び掘り下げる『バリューワード』、数年後の望ましい未来像を具体的に描く『未来地図』など様々なアプローチを行います。

農作業・生活体験

農作業や都会から離れた生活をされている方との交流を行なうことで、将来の生き方や働き方を見つめ直すためのヒントを得るプログラムです。

「復職」だけを目標にしないリヴァトレの特長

一般的なリワークでは「復職」をゴールにしていることがほとんどですが、 リヴァトレに通う中で大事にしていただきたいのは、「復職」だけではなく、その後の「人生」です。

リヴァトレでは、リワークとしての社会復帰準備だけでなく、その先の人生を見据えたゴール設定をして取り組んでいますので、視野を広げて今後の人生について考えられるようにサポートすることを大事にしています。

また、同じ悩みを持つ仲間が集まり、同じプログラムを受けて共感しあったり、時には試行錯誤をしながら支え合ったりすることができるのも大きな特長です。自宅療養だけでは得られない孤独や不安の解消にも繋がります。

リワークを通じて、復職や再発防止を目指すとともに、これまでの働き方などを見直してみたいとお考えの方は、ぜひ検討してみてください。

おわりに

リワーク施設にはさまざまな種類があり、どれを選ぶかは自分の状況や目的に応じて決めることが大切です。費用面だけでなく、どの施設が最も自分の回復や復職に役立つかを考えながら選んでいきましょう。

自分のペースで無理なく回復を目指し、必要な支援を受けることができる施設を見つけることが、心身の健康を取り戻す第一歩となります。

焦らず、自分に合った方法で少しずつ進んでいきましょう。あなたのペースで前進することが大切です。

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raiko
この記事の監修
来迎成美
株式会社リヴァ リヴァトレ事業部

復職・再就職コーディネーター/精神保健福祉士

1998年岩手県生まれ。東北福祉大学を卒業後、2021年に新卒社員としてリヴァへ入社。現在はリワーク支援施設「リヴァトレ仙台本町」で、プログラム提供に携わる。自分らしく感じる瞬間は「道に迷っている時」。

 

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