適応障害の休職期間の目安とは?~休職する流れや復職判断、おすすめの過ごし方について解説~

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適応障害と診断されたものの、「会社でどのように休職手続きをすればいいか分からない」「働けない間に生活費が無くなりそうで怖い」など不安を抱え、休職にためらいを感じていませんか。

また適応障害ですでに休職中であるものの「いつ、どのような形で復職できるのか分からない」と悩みを抱えている方も少なくありません。

休職手続きや過ごし方、復職までの流れなどについての情報が不足していると、不安や焦りは募るものです。

 

本記事では、「適応障害による症状や休職期間、会社での休職や復職の手続きや条件、お休み中のおすすめの過ごし方、そして利用できる経済支援制度」について詳しく解説します。活用できる情報を知ることで、心身の回復にしっかり専念できる環境を整えましょう。

適応障害などメンタル不調による平均的な休職期間は?

適応障害などメンタル不調による平均休職期間は「107日(約3.5ヶ月)」と言われています。

さらに症状の程度によっても、休職期間は変化します。症状が軽度な場合は1ヶ月程度、中等度の場合は3ヶ月から6ヶ月程度、重度の場合は1年以上の休職期間を必要とする場合もあります。

 

また、再発後の平均休職期間は「157日(約5ヶ月)」と、1回目よりも延長する傾向があるといった研究結果も出ているようです。

(参考:厚生労働省,主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究,p.383

 

ただし、これらは一般的な例に過ぎません。ご自身が置かれている状況、過ごしている環境も休職期間に影響を与えるため、前述した平均休職期間や症状ごとの休職期間はあくまで目安として認識してください。

適応障害などメンタル不調になった場合、軽度、中等度、重度の症状として、それぞれ次のような状態が現れることがあります。

【軽度な症状】

「眠れない・夜中途中で起きてしまう・朝の早過ぎる時間に起きてしまう」といった睡眠障害、「マイナス思考・意欲の低下・イライラしやすい」といった気持ちの不調など。

【中等度の症状】

前述の症状に加え、「遅刻や早退が増える」など日常生活に支障が出ている状態。

【重度の症状】

「コミュニケーションが取れない」、「仕事において欠勤が続く」など通常の日常生活を送れない状態。

 

 

以下の記事でも、ご自身の状態について簡単にセルフチェックができるようになっているので、参考までに活用してみてください。

 

ただし、これらの症状が当てはまったからといって、必ずメンタル不調であると断定はできません。正確に判断するためには、心療内科や精神科などの医療機関の受診が必要となります。不調を感じたら、医療機関にご相談ください。

休職期間を決める3つのポイント

適応障害による休職期間を決めるうえでは、次の3つのポイントを押さえておくと良いでしょう。

①会社の就業規則

休職可能な期間は会社ごとに異なり、就業規則で決められています。

例えば、1年以内に復職することを求める会社もあれば、3年程度まで休職ができる会社もあります。

さらに休職をする前に有給休暇や振替休暇を消化することを求めたり、会社が独自に傷病治療のための休暇期間を設け、その期間を経てから正式に休職を指示するなどの会社もあるようです。

 

休職をする前に、最大でどのくらいの期間休むことが可能か、また職場復帰にあたって必要な条件等について、社内の資料を読んで確認するようにしておきましょう。なお、適応障害の症状が重く、就業規則を読んで理解することが難しい場合は、人事の担当者に直接電話やメールを通じて質問してみましょう。

②主治医の意見

ご自身は仕事を続けられる体調だと考えていても、医師の診断によって休職が必要と判断されるケースも多いです。

心身の状態について主治医に率直に伝え、休職が必要かどうか、休職に至る場合、目安としてどの程度仕事を休む期間が必要か、聞いてみましょう。

 

なお以下の記事で、主治医に伝えるべき内容を紹介しているので、参考にしてください。

③休養やリハビリに必要な期間

休養やリハビリに必要な期間は、前章でもお伝えした、適応障害など「メンタル不調の症状の程度」が目安の一つとなります。

また、ご自身が「しっかり休めた」という実感を感じていたり、仕事への復帰意欲が湧いているかどうかも判断材料となります。

ご自身だけで焦って判断することなく、主治医の判断も踏まえて休養やリハビリに必要な期間を決められると良いでしょう。

なお、リハビリにあたっては、リワークなど復職トレーニングを行うことができる支援機関の活用をおすすめします。

リワーク(Re-Work)とは「return to work」の略で、休職を経て、ある程度まで心身の状態が回復した方が、リワーク施設で「復職に向けたウォーミングアップや、ストレス対処のトレーニング」等のリハビリテーションを行うことです。

「休職している生活から、復職後の生活に移るときの負荷を軽減するとともに、症状の再発リスクを押さえ、スムーズな社会復帰に移行すること」を目的としています。

リワークについては、本記事中に「再発を予防しつつ復帰するには?~復職支援(リワーク)の活用~」でも解説をしていますので、参考にしてください。

会社にどう伝える?休職までの流れ

適応障害で休職を検討しているものの、お勤めの会社への伝え方に悩まれる方は少なくありません。

症状が重い場合、会社の方とコミュニケーションを取ること自体が悪化の一因となってしまう恐れもあります。

一方で、症状を放置したまま仕事を継続してしまうことも、悪化のリスクを高めるため、ご自身の体調に合わせ、無理なく会社とやり取りしていくことをおすすめします。

 

休職をする場合、まず心療内科や精神科を受診し、医師と相談の上、診断書の作成をお願いしましょう。

その後、診断書を会社の上司や人事担当者に提出し、休職をしたい旨を直接口頭で伝えます。

やり取りをする会社の方に合わせ、話しやすい時間帯を提案するとよいでしょう。また実際に休職の旨を伝える際は、その理由と主治医の意見を簡潔に伝えましょう。

【口頭での伝え方の例】

「医師に適応障害と診断され、今の状況では仕事を続けることが難しいと言われました。しばらくの間、治療に専念するために休職をお願いしたいです。」


なお、上司や人事担当者に口頭で伝える心理的なハードルが高い場合は、まずはメールや社内チャット等、文章で一言、意向を伝えても問題ありません。事前に内容を整理したうえで伝えられるというメリットもあります。ただ文字だけだと、相手にご自身の状況や意向が伝わりきらなかったり、誤解を生んでしまう可能性もあるため、具体的な詳細については、やはり直接口頭でお伝えすることをおすすめします。

 

 

【メールや社内チャットで送る文例】

「突然のご連絡失礼いたします。医師の診断により、適応障害と診断され、休職をお願いしたいと考えています。詳しい内容については、直接お話しさせていただければと思います。お手数ですが、お時間をいただけますでしょうか。」

 

 

適応障害の診断が下りたとしても、診断書を渡して休職したい旨を上司や人事担当者に伝えることは多少なりとも、精神的な負担になるかもしれません。

そのため一人で抱えることなく、信頼のできる同僚や家族を頼って、その方達の協力を得ながら、一緒に手続きを進めても良いでしょう。

適応障害になった際の休職手続きについては、以下の記事でも詳しく記載をしているため、参考にしてみてください。

復職判断のポイント

適応障害からの復職までの流れや条件は、お勤めの会社によって異なります。

 

まずご自身に職場復帰する意欲が湧いてきたら、その旨を主治医に伝えましょう。

主治医は適応障害の回復具合に応じて、復職できるか、あるいは療養を続けるべきか客観的に判断をしてくれます。

復職が可能であると判断されたら、主治医から「職場復帰可能」の旨が書かれた診断書を作成してもらった上で、お勤めの会社に診断書を渡すとともに、復職の希望を伝えましょう。

その後、会社の産業医等とも面談を行い、「業務遂行能力が職場で求められる水準まで回復しているか」チェックしてもらいます。

この面談でも問題ないと認められたら、いよいよ復職が決まります。

復職の条件としては、主に次の3つのポイントが会社から提示されやすいと考えられます。

 

①復帰後の勤務に耐えうる体力があること

会社は休職前と同じようにに「決まった勤務日、時間に仕事ができるか」を重視します。

例えば、適応障害で休職をする前に週5日、フルタイムで働いていた場合、復職後も同様の日数・時間帯で働くことを求めるでしょう。

 

②休職に至った経緯、要因の分析ができていること

会社は適応障害の再発による再休職を防ぎたいと考えている場合がほとんどです。

そのため、休職者本人が「休職に至った経緯や要因を分析できていること」は、再発予防につながりますので、復職にあたり重要なポイントとなります。

実際に、会社内での復職面談でも「休職に至った要因について、どのように考えていますか?」と質問を受けることがあるため、準備をしておきましょう。

 

③仕事におけるストレス対処法が身に付いていること

休職に至った経緯や要因の分析内容を踏まえ、「仕事中に生じやすいストレスを考え、対処法を検討し、身に付けておける」と良いでしょう。

実際に、会社内でも「仕事におけるストレスには対処できるようになったか」と質問される場合があります。

その際、ストレスを感じやすいシチュエーションや、その対処法について具体的に伝えることができれば、会社側も安心して復職を認めてくれるでしょう。

 

適応障害からの復職までの流れや条件の詳細は、以下の記事でも説明をしています。参考にしてみてください。

休職期間中のおすすめの過ごし方

適応障害で休職したものの、「仕事の無い日々をどのように過ごしていいか分からない」という方、「解雇されてしまうのではないか」「生活費がなくなってしまう」など、休むこと自体に不安を感じる方も少なくないと思われます。

まず適応障害で休職している場合、身体を休めることが仕事であり、ストレスの原因から十分に距離を取ることが必要です。

例えば、早く復職をしたいからと焦って無理に動くと、適応障害の症状が悪化し、休職期間が延長してしまうリスクが上がります。

身体への負担を減らし、仕事や家事、その他不安やストレスになることからも、可能な限り距離を置いて休むことに専念しましょう。

 

適応障害で休職に至った際のおすすめの過ごし方については、以下の記事で詳細を説明しているため、参考にしてみてください。

 

また、精神科や心療内科への通院は自己判断で中止せず、症状が回復し安定していることを主治医が確認するまでは継続するようにしてください。

症状には波があり、一時的に良くなったと思っても、状態が安定していなければまだ症状の悪化や再発のリスクがあります。

薬を処方されている場合も同様に、ご自身の判断で服薬をやめたり、量を減らすことなく、主治医の指示に従ってください。

ただ「副作用が苦しいから減らしたい」、「症状が良くなってきた気がするから減らしたい」など希望があれば、必ず主治医に相談してみましょう。

ある程度、心身の調子が整ってきたら、主治医との相談の上で、徐々に活動量を増やしていくことが重要です。

体調を崩す前の活動量に戻していくために、現在のご自身の「起床・就寝時間や食事時間、活動内容」など「生活リズムの記録」を作成しておけると、一日の過ごし方や回復までの変化が見え、主治医や職場にも回復状況を伝えやすくなります。

手帳やスマホ等、ご自身が記録しやすいもので作成してみましょう。ただし、いきなり毎日記録をつけようとするのではなく、まずは週1日からなど、ご自身の負担のないリズムで始めるようにしてください。

休職中のお金に困ったら?受けられる支援制度

休職中、収入が減ったり、給与が得られなくなったりといったお金に関する心配は、適応障害の悪化のリスクを高める可能性があります。

金銭的な不安にかられて体調が悪いまま焦って活動をしなくても良いよう、公的な経済支援制度についても知っておきましょう。

適応障害などのメンタル不調の方がもらえる手当には、様々な種類があります。ここでは主な制度を簡単に説明します。

①傷病手当金

傷病手当金は、健康保険、各種共済組合などの被保険者が、病気やけがで働けなくなっている期間に受け取ることのできる給付金です。

目安として、「休職前の給与の約3分の2の金額」が支給されます。また、受給期間は「受給開始日から1年6か月が上限」になります。

②自立支援医療制度

自立支援医療制度は、適応障害などメンタル不調で通院が必要な際に、医療費の一部について支援を受けられる制度です。

指定の医療機関を受診する必要がありますが、診察費・薬代・デイケア費・訪問看護費の自己負担額が「原則1割に軽減」されます。

③生活保護

資産や能力などのすべてを活用しても生活に困窮している人に対して、国が経済的な援助を行う制度です。

「困窮していることを家族に知られたくない」「申請方法が分からない」といった理由で、制度を使うことにためらいを感じている方もいるかもしれません。

しかし、利用することで経済的な不安が軽減され、適応障害の回復が大きく進む可能性もありますので、まずは市区町村の窓口(福祉事務所等)に相談をしてみてください。

 

他にも、労働者災害補償保険、生活福祉資金貸付制度など、様々な制度があります。詳細は、以下の記事でも紹介しているので、参考にしてみてください。

再発を予防しつつ復帰するには?~復職支援(リワーク)の活用~

休職を検討している、または実際に仕事を離れている状況では、少しでも早く体調を回復させて、職場に復帰したいと焦っている方もいるかもしれません。

ですがきちんとした準備をせず元の職場に戻っても、また同じストレスにさらされることになり、症状を再発させてしまうリスクがあります。

 

一般的な休職期間についてご説明した通り、適応障害などのメンタル不調が再発してしまうと、最初よりも休職の期間が延び、回復までさらに時間がかかってしまう恐れがあります。

そうならないために、自分の物事の捉え方・仕事のやり方を見つめ直し、適切なストレス対処法を知っておくことが重要です。

「リワーク」のような復職支援サービスを活用することで、ストレス対処法や正しい生活リズムなどを身に付け、再発を予防しながら職場復帰の準備を行うことができます。

弊社でも、復職・再就職支援サービス「リヴァトレを提供しています。

休職中の方が安心して復職できるよう、再発防止や生活リズム改善、ビジネススキル向上などさまざまなプログラムで復帰をサポートいたします。

自分がどんな状況でストレスを感じるのか、自身の不調につながるきっかけやサインを察知し、対処するための心身健康マニュアルを作成するプログラムなど、ストレス対処法を学べるプログラムも充実しています。

何より、リヴァトレに通い同じ悩みを抱える仲間と出会えることは、職場を離れている間に感じる孤独や不安を解消する助けになります。

 

都内4か所、仙台、大阪に拠点を構え、これまでに1,680名以上の方々を社会復帰に伴走してきた私たちが、一人ひとりのペースに合わせたサポートを提供しますので、まずはお気軽にご相談ください。

おわりに

本記事では、適応障害による症状や休職期間、会社での休職や復職の手続きや条件、お休み中のおすすめの過ごし方、そして利用できる経済支援制度について解説しました。

 

適応障害で仕事を休むことに不安を感じたり、休職してから復職までの道のりを長く感じて焦ることもあるでしょう。

しかし、心身の回復のためには、医療機関や公的な支援精度などを活用し、ゆっくりと休むことが大切です。

 

ある程度、症状の回復を感じられたら、リワークを活用し、復職に向けて活動量を徐々に増やしていけるとよいでしょう。

弊社が提供するリワーク施設「リヴァトレでも、職場復帰のために疾病やストレス対処法を身につけたり、今後の働き方・生き方を考えられるプログラムを提供しているので、利用を検討してみてください。

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この記事を書いた人
涌井 陽 株式会社リヴァ

株式会社リヴァ 2022年度入社
1998年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、新卒でリヴァへ入社。LIVA MAGAのライターを担いながら、採用や経理業務に従事。好きなことは旅行やコーヒー、カメラ。

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