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2019.07.12

うつからの社会復帰後も就労継続をサポート!支援員と利用者が語る「就労定着支援」

うつ病や双極性障害などの精神疾患から社会復帰を目指す方の中には、「仕事に復帰して、自分はちゃんと働けるのか?」「新しい職場で働き続けることはできるのか?」といった不安を覚える人が少なくありません。

そんな不安に寄り添い、就労継続をサポートするのが「就労定着支援制度」です。

リヴァトレにおける支援内容や利用のメリットについて、リヴァトレ支援員の仲井眞と実際に利用をしている男性に話を聞きました。

スタッフインタビュー

スタッフプロフィール
仲井眞 綾子(なかいま りょうこ)
製薬会社、転職エージェントを経て、2013年7月リヴァに入社。現在は再就職支援施設「リヴァトレ市ヶ谷」で、プログラム提供やキャリアコンサルティングに携わる。趣味は、猫、チェンマイ、ロマンスカー。

「就労定着支援」とは?

「就労定着支援制度」は、平成30年4月に厚生労働省によって設けられました。

制度の利用対象者は、就労移行支援(あるいは就労継続支援A型、就労継続支援B型、生活介護、自立訓練サービス)を利用して就職し、現在も継続して就業している方です。

リヴァトレ市ヶ谷センター品川センターのような就労移行支援事業所などは、こうした方々に対し、公私にわたる相談への対応やアドバイスの提供を行うことで、就労を継続できるようサポートします。

制度開始の背景には「障がい者の雇用数は増加したものの、職場定着率が低い」という課題があります。中でも、精神障がいの方は心身のコンディションが常に変化することに加え、環境の変化も体調の変化に繋がりやすく、現状では定着率が特に低くなっています。

就労移行支援事業所などではこれまでも利用者の就労後、半年間は無料で定着支援を提供してきました。

しかし、その期間が経過した後の環境の変化によって離職へと至るリスクも考えられます。また、企業側のノウハウも未だ十分に蓄積されているとはいえません。

そこで、就労半年を経過した後も、希望される方は引き続き同様の支援を受けられる制度が設けられたのです。

本制度を利用できるかどうかは、利用者が居住する各自治体(市町村)が判断します。

利用が認められた場合には、就労定着支援の受給者証(原則1年ごとの更新)が交付され、最長3年間にわたって利用することができます。

利用料金は1割が自己負担、残りの9割を自治体が負担します(前年度の世帯年収に応じて月の上限金額が定められる)。

リヴァトレにおける「就労定着支援」と利用のメリット

リヴァトレにおける就労定着支援では、仕事の進め方や人間関係といった「職場の悩み事」や、それによって生じた「生活面での困り事」(家庭環境の変化や家族関係)など、ワークとライフをトータルでサポートしています。

リヴァトレスタッフとの面談(月1回以上)をベースに、個人が抱える不安や課題に沿って個別支援計画を立て(3か月に一度以上更新)、具体的な相談にお応えしていきます。

また支援の一環として、リヴァトレ市ヶ谷センターや品川センターの過去利用者同士の交流会も定期的に行っています。

個人的には「就労から半年過ぎた頃にいろいろな変化が起こりやすい」と感じています。

例えば、就労直後は「週4日」や「1日6時間」などのパートタイム勤務から始めることもありますが、職場環境にも慣れてくるこの時期になると、ご本人も企業側も「勤務時間の延長」や「業務内容の追加」を検討し始めます。

次のステップに進み出すタイミングであると同時に、環境の変化に悩んだり、体調を崩したりする方も出てきやすいのです。

また、安定就労に自信をつけてきた方がキャリアアップなど前向きな悩みを抱え始めるのも、この時期の特徴ですね。こうした「変化の時期」に引き続き定期的なサポートが得られることが「就労定着支援制度」を利用する最大のメリットだと思います。

勤怠や業務のパフォーマンスに課題がある場合は企業側と利用者、リヴァトレのスタッフによる三者面談を設定し、勤務条件の調整をサポートすることもあります。

体調面で不安がある場合は、生活リズムを整えるための支援計画を立て、時には利用者が通う病院に同行し、主治医の先生の意見を一緒に伺うことも。

キャリアの悩みに関しては、ご本人がどんなキャリアを築いていきたいのか、お話を伺いながら明確にし、現在の環境でどんなアクションができるのかを検討します。

例えば「職場においてリーダーシップを発揮したい」ということであれば、まずは「所属部署のリーダーの仕事の進め方を真似ながら、自分のものにする」や「リーダーを目指している意思を面談で上長に伝えてみる」といった具体的な目標を設定します。

リヴァトレセンターへの通所時、利用者はコーピングシート(CS)を作成しますが、実際の就労の場において、これが役立つ場面に多々遭遇します。

CSを見直しながら、体調を崩すきっかけについて再確認したり、自分で編み出した対処法が実際の職場で使えるものであるかも検証できます。

※【CS(コーピングシート)】リヴァ独自の「自分自身の疾病の症状やストレスに対する反応を段階ごとに分析して対処方法を明確化したシート」のこと。“自分自身の取扱説明書”のようなものです。

また、上司に急な残業を打診され、それをうまく断りたい時には、過去のプログラムで学んだアサーションなどのスキルを実際に職場で試してみたり。

※【アサーション】相手を尊重しながらも自分の思っていることもきちんと相手に伝えるコミュニケーションスキル

就労定着支援を通じてリヴァトレで学んだプログラムやスキルを振り返り、「職場や日常生活において本当に使えるスキル」に育てていける点も、利用のメリットではないでしょうか。

リヴァが考える「就労定着支援」の進化系

今後は、就労定着支援の利用者だけを対象にした交流イベントなども催したいですね。例えば、リヴァトレ市ヶ谷センターや品川センターで行っている「未来地図プログラム」の就労定着支援バージョンを、利用者同士で行ってみるのも面白いかもしれません。

他の利用者の方に自分のアイデアや考えを共有すれば、自分の悩みを俯瞰することができますし、自分とは違う視点からの意見や問題解決策を得ることもできると思います。

※【未来地図プログラム】自分が未来に向けて大切にしたい価値観を探り、それをベースに3-10年後の未来像を絵やシナリオで描いていくワーク。

ただ、私たちが考える就労定着支援は「利用者にぴったり寄り添って一から十まで何でもサポートする」というものではありません。

もちろん、困っている時には私たちを頼っていただきたいのですが、あくまでも、利用者が自分で判断して対処するスキルを身に付けるための支援と捉えています。

企業に対しても、私たちのような支援機関と長期的に連携いただきながら、将来的には精神障がい者雇用の社員対応も自社で行えるような体制作りに取り組んでいただくことが理想的だと考えています。

そのためにも、私たちは利用者と企業との懸け橋のような役目を果たしていきたいです。

利用者インタビュー

就労定着支援を利用している男性(双極性障害)にお話を伺いました。

就労前に抱えていた数々の不安

リヴァトレ品川センターの利用を経て就労し、1年半ほどが経ちました。現在もその企業に勤めています。

就労半年が経過した後も、引き続き就労定着支援制度を利用することにした理由は単純に「自分にとって役立つ内容だったから」ですね。

就労した際、私には次のような心配事がありました。会社で安定して働けるのか、仕事の勘を取り戻し、未経験の事務職で本当にやっていけるのか、そして職場で人間関係を築けるのか…。

リヴァトレで身につけた「ストレス・疾病対処」を実践

実際に職場に行くのがしんどい時期もありました。自宅を出てしまえば会社に行けるのですが、自宅を出るまでがなかなか大変で…。

そんな時はリヴァトレセンター通所時に作成したCSが非常に役立ちましたね

気持ちが沈んでいるときはCSで意識付けしておいたリソ-スを使って気持ちを上げる努力をしました。

好きなものを食べたり、好きなDVDを見たり。リソ-スを上手く組み合わせることで意外と乗り切れることが分かりました。 

※【リソース】直訳すると「資源」の意。リヴァトレ内では、「気持ちを持ち上げてくれる、支えてくれるなど、自分にとって役立つ物事」の総称として使っています。

就労直後は仕事の勘が戻らず、初めの頃は電話がかかってくるだけでも慌ててしまうことも。また、前職と違って、事務職には必ず締め切りがあるので、そのプレッシャーに慣れるのにも時間がかかり、ミスも連発しました。

そこで、自分の仕事をセルフチェックするようにしてみたんです。すると、どこで自分がミスする傾向にあるのかが見えるようになり、仕事の手順を見直すことでミスを防げるようになりました。

そのうち仕事の勘も戻りコツもつかめてきて、いまでは新しい業務が来ても、過去に経験した業務で学んだことを組み合わせて対処できるようになっています。

支援制度を活用することで、
自分の状態や周囲の状況を客観視できた

ただやはり、職場の人間関係でのつまずきはありました。「良いところを見せたい」という思いから頑張りすぎて大きなミスをしてしまい、周りと信頼関係が築けなくなったことも。

そういう時に一番困ったのが、自分の被害妄想でしたね。常に「周りが自分の悪口を言っているのではないか」と気になってしまって。

実際に言われていることもありましたが、ある時その気持ちを吹っ切ったんです。人と比較するのをやめ、周りに対して大らかな気持ちで接するようしたら、不思議と周りの対応も変化して人間関係を改善していけたように思います。

職場でこうした問題に直面した際、リヴァトレの就労定着支援を利用していて非常に助かりました。自分ひとりではどうしても視野が狭くなりがちで、物事の捉え方に偏りが出てきます。

そんな時、スタッフの方に相談することで自分の頭の中が整理されていき、色々な選択肢や対策法が見えてくるようになりました

また、スタッフの方も「こうしなさい」という一方的な指示ではなく、「こういう見方や考え方もできますよね」といったアドバイスをしてくれるので、物事を客観視する力が高まったと思います。

双極性障害については、職場の外では攻撃的な面が出ることも時々あったので、リヴァトレ通所時に学んだ注意サインを確認しながら対応していきました。

このような時にもリヴァトレで学んだプログラムが、実際の場で生かされているなと感じます。

現状と今後の展望

事務職は短時間で正確性を求められる職種ですが、やれば絶対に結果が付いてくるので、その点ではやりがいはありますね。

次の課題はキャリアアップですね。担当業務の内容も含め、会社の中でどうステップアップをしていくか、上司とどう上手く関わっていくか。出来れば待遇の改善も図れればと思っています。

こうした悩みについても、引き続き就労定着支援を利用してスタッフの方からサポートを受けながら解決策を検討していきたいです。

利用者インタビューイラスト:龍たまこ
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この記事を書いた人

若月麻里子
フリーランス

東京生まれ。長年にわたり、マーケティング・コミュニケーション分野に従事。EAP業界での勤務経験あり。現在はパラレルワークを実践中。趣味は旅行と食べ歩き。

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