「もう限界かも…」メンタル不調の家族を支えるあなたへ。専門家が語る”無理しない”関わり方とセルフケア

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「大切な家族がメンタル不調になったけれど、どう向き合えばいいのだろう…」

「支えたい気持ちはあるけれど、正直、負担を感じてしまう…」

メンタル不調のご本人と同じように、支えるご家族やパートナーの方々も、日々さまざまな思いを抱え、大変な状況にいらっしゃるのではないでしょうか。

私たち株式会社リヴァは、2025年2月23日に、そうしたご家族やパートナーの方々に向けたイベント「『家族のメンタル不調』との向き合い方~悩みを分かち合い、活用できる支援を知る~」を開催しました。

イベントには、ご自身もうつ病を経験され、現在はメンタル不調を抱える方のご家族・パートナー向けコミュニティサイト「encourage(エンカレッジ)」を運営する林 晋吾さんをお招きし、貴重なお話を伺いました。

この記事では、イベントの内容を抜粋し、メンタル不調の方への接し方のヒント、支える方自身のケアの重要性、そして頼れる相談先についてご紹介します。少しでも皆さまの心が軽くなる一助となれば幸いです。

<登壇者紹介> 林 晋吾(はやし しんご)氏

株式会社ベータトリップ 代表取締役。

自身のうつ病経験から、「メンタルヘルス領域で当事者とその家族を支援したい」との思いで株式会社ベータトリップを設立。2017年より、うつ病などメンタル不調を抱える方のご家族・パートナー向けコミュニティサイト「encourage(エンカレッジ)」を運営。

その他、メンタルヘルス領域での市場調査や疾患啓発、職場のメンタルヘルスに関するメディア立ち上げ支援、当事者・家族向けサービス開発支援など、幅広く活動している。

講師実績 :働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(厚生労働省事業)の5分研修シリーズで「ご家族がメンタルヘルス不調の方へ」の動画講師を担当。

メンタル不調の家族との関わり方:心がけたい3つの基本

メンタル不調を抱える大切な家族やパートナーを支える中で、「自分の接し方はこれで良いのだろうか」「どうすれば本人の力になれるのだろう」と悩んだり、ご自身の言葉や行動が相手を傷つけてしまうのではないかと不安になったりすることもあるかと思います。

ここでは、そうした状況で少しでも気持ちを楽にするための、接し方の基本的なポイントを3つご紹介します。

① 相手の気持ちを否定せず、まずは受け止める

相手の気持ちを受け止めることは、時に難しいと感じるかもしれません。特に、相手の考えや感情に同意できない場合はなおさらです。しかし、相手が感じていることを「そういう気持ちなんだね」とそのまま認めることが、信頼関係を築く第一歩となります。

「辛かったんだね」「そう感じるのも無理ないよね」といった言葉で、相手の感情に寄り添ってみましょう。もし共感できない部分があっても、「あなたはそう感じているんだね」と伝えることで、ご自身の気持ちに嘘をつくことなく、相手と向き合うことができます。

② 心身の調子の波を理解し、悪い時は見守る姿勢も大切に

メンタル不調の症状には波があり、日によって調子が良い時と悪い時があります。「今日は朝の挨拶がない」「お風呂に入るのを嫌がる」など、普段と違う様子が見られるかもしれません。

そうした変化に気づけたら、それは相手の状態を理解するヒントになります。特に調子が悪そうな時は、無理に励ましたり、話を聞き出そうとしたりせず、「今はそっとしておこう」と見守ることも大切なサポートです。

③ 病気や症状について、正しい知識を持つ

メンタル不調について信頼できる情報を得ることは、ご自身の不安を和らげることにも繋がります。知識がないと、どう対応すれば良いか分からず、ご自身も苦しくなってしまうことがあります。

病気や利用できるサポートについて学ぶ中で、「自分にできること」と「専門家や他の人に任せること」を整理していきましょう。一人で抱え込まず、正しい知識を頼りにすることで、心の負担を少し軽くできるかもしれません。

支えるあなた自身の心を守るために:今日からできるセルフケア術

メンタル不調の方を支えるご家族やパートナーは、ご自身も大きなストレスや負担を感じやすい立場にあります。「相手が大変な時に、自分だけ楽しむのは申し訳ない」「私がしっかり支えなければ」と、ご自身のことを後回しにしてしまいがちです。

しかし、支える側であるあなた自身が心身ともに健康でいることは、決してわがままなことではありません。むしろ、あなたが心の余裕を持つことが、結果的に大切な人を支える力になります。

ここでは、ご家族・パートナーの方がストレスと上手に付き合い、ご自身を大切にするためのヒントを2つご紹介します。

① 意識的にリラックスする時間を作る

忙しい毎日の中でも、ほんの少しの時間で構いません。10分でも、好きな音楽を聴く、温かい飲み物を飲む、散歩するなど、意識的にご自身を労わる時間を作りましょう。

心に余裕がある時に「自分のストレス解消法リスト」を作成しておくと、辛い時に見返して実践しやすいためおすすめです。

また、「相手をサポートしなきゃ」というプレッシャーを感じすぎないことも大切です。時には「今日はちょっと疲れているから、ごめんね」と正直な気持ちを伝えてみることも考えてみましょう。無理せず、ご自身の状態に正直に向き合うことが、心を軽くする助けになります。

② 一人で抱え込まず、周囲や専門家の力を借りる

「誰かに頼るのは申し訳ない」「弱いと思われたくない」と感じるかもしれませんが、一人で抱え込む必要はありません。信頼できる友人や他の家族、あるいは専門機関に相談することは、決して甘えではありません。

医療機関や地域の相談窓口、カウンセリングサービス、同じような経験を持つ人が集まる家族会などを利用することで、「悩んでいるのは自分だけではない」と気づけたり、具体的なアドバイスを得られたりします。

オンラインのコミュニティなども含め、ご自身が安心できる繋がりを見つけることも有効な手段です。自分を大切にすることが、結果的に大切な人を支える力になります。無理のない範囲で、できることから少しずつ試してみてください。

▼ご家族・パートナーの方が相談できる窓口については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

家族のメンタル不調、こんな時どうすれば?(声かけ・抱え込まない工夫)

イベントでは、参加者の皆さんから寄せられた切実な質問に、林さんが具体的にお答えくださいました。ここでは、その一部をご紹介します。

Q1. メンタル不調者本人の視野が狭くなっている時、どう声をかければ可能性を伝えられますか?

メンタル不調の家族の進路や選択肢について色々調べているのですが、本人にどう伝えたら良いか分かりません。

本人は「もう失敗できない」「自分にはこれしかできない」とつよく思い込んでいるように見えて、他の意見を受け入れにくい状態です。

どうすれば「他の可能性もあるんだよ」と安心させてあげられるでしょうか?

林さん:ご本人の意向とご家族の思いがすれ違ってしまうのは、本当につらい状況ですよね。大切なのは、情報を伝えるタイミングと伝え方です。

まずタイミングですが、ご本人の体調が悪い時に多くの情報を伝えても、受け止めるのが難しいことが多いです。少し体調が安定してきた時や、本人が何かに関心を示した時など、前向きに情報を受け止められそうなタイミングを見計らいましょう。

次に伝え方ですが、視野が狭くなっている時に無理に説得しようとすると、かえって反発を招くこともあります。

そこで意識したいのが、「アサーティブ(※)」なコミュニケーションです。これは、自分の気持ちも相手の気持ちも尊重する伝え方のことです。

例えば、「私はこういう選択肢もあると知って、良いと思ったから、もしよかったら見てみてほしいな」のように、「私」を主語にして、あくまで提案として伝えるのです。

「〜すべきだ」という言い方ではなく、「私は〜と思う」と伝えることで、押し付けがましさを避け、ご本人も話を聞き入れやすくなる可能性があります。

※アサーティブなコミュニケーションについて、詳しくはこちらの記事も参考にしてください。

Q2. 相談しても「家庭で対応を」と言われ、一人で抱え込んでしまいます。気軽に頼れる場所は?

行政や医療機関に相談しても「家で様子を見てください」「ご家族で話し合ってください」と言われてしまうことがあります。カウンセリングも考えますが、「過去のことを全部話さないといけないのかな」と想像すると、それも負担に感じてしまいます。

結局、誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまうのですが、気軽に悩みを話せる場所はないのでしょうか?

林さん:相談窓口でそのような対応をされると、本当に行き場がないと感じてしまいますよね。

私が「encourage」というコミュニティを立ち上げた理由の一つも、まさにそこにあります。困っているご家族・パートナー自身が、安心して悩みを共有できる場所が必要だと痛感したからです。

まず試していただきたいのは、普段から「ちょっとしんどいな」と感じた時に、気軽に話せる場所や相談先の選択肢をいくつか持っておくことです。

専門的なカウンセリングだけでなく、地域の相談窓口やオンラインの家族会、自助グループなど、様々な選択肢があります。カウンセリングについても、初回から全てを話す必要はありません。

いくつか試してみて、「この人になら話しやすい」と感じられる相談相手を見つけることが大切です。相性の良い相談相手が見つかれば、継続的に頼ることができます。

また、会社の福利厚生も確認してみてください。ご本人やご家族がお勤めの場合、健康保険組合やEAP(従業員支援プログラム)を通じて、心理の専門家による無料カウンセリングを受けられることがあります。

社内イントラネットや福利厚生の案内をぜひ一度チェックしてみることをお勧めします。

共感が支える次の一歩:ひとりで悩まないためのヒント

今回のイベントでは、林さんのお話の後、「もやもやウォッチ」というミニワークを行いました。これは、メンタル不調の方との生活の中で感じる「モヤモヤした気持ち」を専用のワークシートに書き出し、共有・整理するワークです。

このワークは当初30分程度の予定でしたが、参加者の皆さんの間で活発な対話が生まれ、予定時間を大幅に超えるほど盛り上がりました。

イベント終了後も、参加者同士で自然と会話が続く様子が見られました。悩みを共有し共感し合うことが、いかに心を軽くし、次の一歩へのヒントに繋がるかを改めて実感する時間となりました。

今回ご紹介したのはご家族・パートナー向けのイベントでしたが、私たちリヴァが運営するリワーク支援サービス「リヴァトレ」では、メンタル不調から回復・復帰を目指すご本人に対しても、同様に「繋がり」や「共感」を通じた支援を提供しています。

リヴァトレの大きな特長は、同じような悩みや経験を持つ仲間と共に、自己理解を深めたり、ストレス対処法を学んだりするプログラムに取り組めることです。互いに支え合い、試行錯誤しながら回復を目指す中で、自宅療養だけでは得られにくい安心感や、社会との繋がりを取り戻していくことができます。

ご家族からの資料請求や、説明会への参加、見学も可能ですので、気軽にお問い合わせください。

▶リヴァトレのプログラムについて詳しく知りたい方はこちら

おわりに:大切な人を支えるあなたへ、無理せず頼りながら共に歩むために

今回は「『家族のメンタル不調』との向き合い方」をテーマにしたイベントの様子をお届けしました。

大切な人を支えたいという優しい気持ちが強いからこそ、悩み、時には疲れを感じてしまうのは、決して特別なことではありません。

この記事でご紹介した、メンタル不調の方との接し方のヒントや、ご自身の心を守るためのセルフケア、そして頼れる場所があるという情報を、ぜひ今後の参考にしていただけたら嬉しいです。

どうかご自身だけで抱え込まず、利用できるサポートを上手に活用しながら、ご自身の心の健康も大切にしてください。

▼実際にリヴァトレの仲間との繋がりに支えられ、復職を果たした方々のインタビューはこちら

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リヴァトレは、うつなどのメンタル不調でお悩みの方の復職・再就職をサポートするリワークサービスです。

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この記事を書いた人
リヴァマガ編集部

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