適応障害の方の休職中の過ごし方とストレス対処法

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適応障害によって休職している最中は、自分の症状や心身の状態に戸惑うことや、休職期間の過ごし方について悩む方もいるでしょう。

この記事では休職中の適応障害の方を対象に、うつ病との違いや休職中のおすすめの過ごし方、ストレスへの対処に参考になる考え方をご紹介します。

うつ病と適応障害の違い

適応障害とは、就職や進学など環境の変化に順応できずに生じる病気であり、不安・動悸・倦怠感など心身に様々な症状が現れます。

適応障害とうつ病は、両方とも「うつ状態」という状態像の一つであり、発症原因の有無やうつ状態の現れ方などで区分けされています。抑うつ・不安・不眠・食欲不振などの症状が現れ、日常生活に強く支障が出る点はうつ病と共通です。

しかし、適応障害の場合は、症状の原因となったストレスが明らかで、そのストレスが初めてあった日から3か月以内に発症し、原因となるストレスがなくなれば、6か月以内に症状がおさまることが特徴です。

そのため、原因となるストレスを取り除くことや対処法を身につけることが大切です。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

おすすめする休職中の過ごし方について

では、休職中どのようなことを意識して過ごせばよいのでしょうか。

まずは心と身体を休める、主治医の指示に従い適切な治療を受ける、回復してきたら生活リズムを整える、といった基本的なことを意識しましょう。

加えて「発症の原因となったストレスに対して、どんな対処ができるか考える」といった視点も復職後のキャリアを考える上でポイントになります。

療養前半はまず、休養とリラックスを心がけることが大切です。十分な睡眠と食事を取り、ウォーキングなどの運動をする、無理のない範囲で趣味を楽しむなど、自分に合った方法でリラックスすることを意識しましょう。

ある程度回復してきたら、カウンセリングや認知行動療法などの心理療法を受けることで、ストレスの原因を理解し対処しやすくなります。

医師などの専門家からのアドバイスや支援を受けることで回復につながりやすくなるため、主治医と相談しながら検討してみてはいかがでしょうか。

休職中の過ごし方については、うつ病で休職の方向けの記事と共通する部分もあるので、下記の記事も参考にしてみて下さい。

また、復職に向けて動き出す際に自身が休職に至った経緯を振り返ったり、今後のキャリアについて具体的に考えたりする中でストレスやこころの疲れを感じることも出てくるかもしれません。

前述した通り、適応障害の特徴は発症に至ったストレスの原因が明確であることや、原因となるストレスが取り除かれると6か月以内に症状がおさまることです。

そのため、ストレスへの対処法を考えることは、適応障害から回復する過程において重要です。

では、ストレスに耐えたり処理する力は、どのようにしてつくられるのでしょうか。そこで参考になるのが「Sense of Coherence(SOC)」という考え方です。

「首尾一貫感覚(SOC)」の紹介

SOCとはアメリカの医療社会学者アーロン・アントノフスキーによって提唱された概念で「首尾一貫感覚」と訳されます。ストレスの対処に関連する研究で多く用いられており、家庭や職場などの日常生活においても活用することができます。

SOCは、3つの要素で構成されています。

①把握可能感(comprehensibility):自分が置かれている状況がある程度つかめる、先を見通せる(出来事や状況は予測・説明できる)という感覚

②処理可能感(manageability):困難に見える課題であっても、家族や友人、同僚など周囲の人の力を借りて何とかできるという感覚

③有意味感(meaningfulness):どんなことに対しても意味を見出だせる(生きる意味があると感じられる)感覚

SOCが高い人々は、ストレスや危機的な状況に対処する行動をとることができ、ストレス耐性も高いと考えられています。

SOCを高め、ストレスに対処するための方法

では、どうしたらSOCを高め、ストレスに対処しやすくなるのでしょうか。ここからは、SOCを高めるための考え方や方法を紹介します。

①自分を客観的に理解する

自分自身の考え方や行動パターン、ストレスを感じた際の心身への反応などを客観的に理解することが大切です。自分の性格や価値観、強みや弱みは何なのか、どんな仕事が好きなのかなど一度紙に書き出してみると整理しやすくなります。

自分で考えるのが難しい場合は、家族に協力してもらったり、主治医やカウンセラーなどの専門家に相談してみるのもよいでしょう。

②自分なりのストレス解消法を身につける

運動をする・誰かに話す・映画鑑賞をするなど、仕事上のストレスをプライベートの時間に引きずらないように余暇の過ごし方を考えてみましょう。

オンとオフの切り替えが難しいと感じる方は、没頭できる趣味を見つけたり「◯時にはこの作業をする」とルーティンをつくり強制的にリセットしたりなどの仕組みを作るのも1つの方法です。

③人間関係を大切にする

家族や友人、職場の人たちとの人間関係はストレスに大きく影響します。

休職期間中に自分が職場で周囲とどんなコミュニケーションを取っていたか、どんな仕事の仕方をしていたかを振り返ってみると、新たに気づく改善点があるかも知れません。

例えば、何でも自分だけでやろうとしがちだった方は、抱え込みすぎないように注意して上司を始めとした周囲への相談を意識することで、復職後は安定して働き続けやすくなります。

コミュニケーションが苦手だと感じている人も、挨拶やちょっとした雑談などできる範囲で周囲の人に声をかけることを意識してみましょう。リワークプログラムなどを利用して職場コミュニケーションの練習をするのもおすすめです。

④前向きな意味を見出す

ストレスや困難な状況に対して、前向きな意味を見出すこともストレス対処法の1つです。

休職中はネガティブな気持ちになることもありますが「休職したことによって、どんなことが得られただろうか」「この経験が今後、どのように生かせるだろうか」という視点で自己を振り返り、ささいなことでも自分のプラスになることを見出すことで気持ちも変わってきます。

また、現在の状況を乗り越えた後に、自身の成長を実感できるかもしれません。

自分を客観的に理解し、困難な状況下であっても前向きな意味を見出し、自分に合ったストレス解消法を見つけることは今後の人生にも大いに役立つでしょう。

まとめ

休職中はしっかりと治療に専念するとともに、自分の生き方・働き方を見直すチャンスでもあります。
今回ご紹介した過ごし方やSOCの考え方を参考に、一度ご自身の今後のキャリアをゆっくり考えてみて下さい。

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ninomiya
この記事の監修
二宮 ひとみ 株式会社リヴァ リヴァトレ事業部 臨床心理士・公認心理師

病院・診療所などの精神科領域にて勤務。精神障害者、LGBT、がん患者などへの心理的援助を実践してきた。2020年に株式会社リヴァに入社。就労移行支援施設「リヴァトレ品川」にて、心理系プログラムを中心にサービス提供を行っている。

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