企業人事・産業保健に携わる中で「メンタルヘルス不調者の復職準備としてリワーク活用を検討しているが、具体的にどのような対応が必要なのか」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、人事や産業保健スタッフ向けに「リワーク施設を探す」「リワークの利用開始」「主治医や人事による復職判断」「復職後、継続的な就労に向けた取り組み」の順番で、休職者の復職までの流れと復職後利用できるサポートについて、リワーク施設と企業がどのように連携できるのかを踏まえながら解説していきます。
なお、リワークには大きく分けて
- 独立行政法人の障害者職業センターが運用しているリワーク
- 医療の制度で運用されているリワーク
- 福祉の制度で運用されているリワーク
の3種類があります。それぞれのリワークによって、料金や必要な手続き、プログラムの内容が異なります。本記事では「福祉の制度で運用されているリワーク」の利用を前提に解説をしていきます。
「そもそもリワークが何か知りたい」という方は、こちらの記事でリワークについて解説していますので、是非参考にしてください。
目次
リワーク施設を探す
リワーク施設を探す方法としてインターネットでの検索や、休職者がお住まいの行政が発行している「社会資源マップ」等を活用して探す方法が挙げられます。また、休職者の主治医からリワーク施設を紹介していただける場合もあります。
リワーク施設の多くは、休職者向けの無料相談会や見学会を開催しているので、実際に話を聞いて比較検討してから、利用するリワーク施設を決めることができます。また、企業向けの窓口を設置しているリワーク施設では、人事や産業保健スタッフの方からも相談を受け付けています。
リワーク施設を選ぶ基準として「自宅からの近さ」を重視されることも多いですが、例えば復職したら会社まで1時間かけて通勤する必要がある方にとっては、自宅から遠くても通所することで通勤訓練になる施設を選ぶことも選択肢の一つです。
施設を選ぶ上で大切なのは、その方の復帰後の安定につながるトレーニングが出来るかどうか、という点です。
利用するリワーク施設を決めた後、正式に利用を開始するためにはお住まいの市区町村への申請(行政手続き)が必要になります。申請から手続きまでに1か月程度時間がかかる場合もありますが、施設によってはこの期間にプログラムを体験できることもあるので、事前に確認してみてください。
リワークの利用開始
リワーク利用期間中の休職者の取り組み
リワーク施設は最長で2年間利用することができますが、3〜6か月の期間で利用する方が多いです。利用期間中は、プログラムへの参加やリワークスタッフとの面談を通して復職準備を進めます。例えば、復職後に無理なく働くための生活リズムを整えることや、再発予防策やストレスへの対処方法を身に付け、再休職を防ぐための取り組みが挙げられます。
企業とリワークの連携
また、必要に応じてリワーク施設のスタッフと、復職先企業の人事や産業保健スタッフ、休職者の上司などを交えて面談を行うこともあります。休職者本人に了承をいただいた上で、施設での様子や、復職の際に企業側が求めているものを共有しあうことで、休職者がリワーク施設でどのような取り組みができると良いか一緒に検討していくことができます。
また、企業からの要望に応じて、休職者のリワーク利用状況を企業へ定期的に共有することも、リワーク施設によっては、可能です。共有される内容には出欠状況や参加プログラム、スタッフからの所感などが書かれていることもあります。また、それ以外の利用に関する情報も休職者本人の同意のもとで企業に共有することができます。
主治医や人事による復職判断
休職者の復職判断はまず主治医から復職許可が出た後、企業側で復職可能かを判断します。
リワーク施設が休職者の復職可否の判断をすることはありませんが、本人同意のもとで復職可否の判断材料として施設の利用状況や取り組み内容などの必要な情報を提供することができます。
復職後の安定した就労に向けた取り組み
リワーク施設によっては、復職後も最大3年6か月間にわたり、安定して働き続けられるように支援を行っています。施設スタッフとの面談を通じて、働くうえでの課題について解決策を検討したり、人事・産業保健スタッフを交えた三者面談を実施するなど、復職後の安定した就労に向けたサポートを行います。
リワーク施設が行う復職後の支援には「職場定着支援」と「就労定着支援」の2つがあります。それぞれについて別の記事で解説していますので是非参考にしてください。
*復職後の支援の実施状況はリワーク施設によって異なる場合があります。詳しくはリワーク施設にご確認ください。
まとめ
休職者がリワークを利用することで、休職中の様子を知ることができ、会社はリワーク施設のスタッフからの客観的な情報をもとに復職の判断をすることができます。また、ストレス対処に関するプログラムなどを休職者に取り組んでもらうことで、再休職を防ぎ、安定した就労を目指すことができます。
弊社が運営するリヴァトレでは、人事や産業保健スタッフを対象にした個別の相談会を行っております。休職者の対応でお困りの際やリワークの利用を勧めることを検討されている際は是非ご相談ください。
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大手電子部品メーカーの営業を5年経験し、職場にあまり幸せそうな人がいないことに疑問を感じ退職。その後ヨーロッパを中心に海外を半年ほど放浪。旅先で出会ったパンクスに影響を受け、社会活動に関心を持つ。リヴァへ入社後は生活訓練・就労移行支援の両方を経験。
現在はリヴァトレ市ヶ谷のセンター長として、「自分らしく生きる」ことを見つけ、踏み出すためのサポートを行っている。