うつ病で精神科に通院している人が、セカンドオピニオンをスムーズに利用する方法

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うつ病で精神科に通院している人が、セカンドオピニオンをスムーズに利用する方法

うつ病を患って精神科を通院する中で、様々な理由からセカンドオピニオンの利用を考えることがあるのではないでしょうか。この記事では、精神科のセカンドオピニオンの利用を検討している方が、上手にセカンドオピニオンを利用できるように役立つ情報をお伝えします。

改めてセカンドオピニオンとは?

「セカンドオピニオン」という言葉はよく聞く言葉かと思います。しかし、なんとなくは理解しているものの、適切に利用するための正しい知識を持っていない方もいるのではないでしょうか。そこでまずは「そもそもセカンドオピニオンとはなにか」ということについてお伝えします。

セカンドオピニオンとは?何のためにある?

セカンドオピニオンとは、精神科に限らず「主治医以外の医師から受ける第2の意見」のことです。より詳しく説明すると、”患者にとって納得ができる最も良い治療法について患者と主治医とで判断するために求める、別の医師の意見”のことをいいます。(このセカンドオピニオンに対して、主治医の意見をファーストオピニオンといいます)

患者さん自身が納得して治療を受けるためには、時には主治医とは違う専門医の意見と比較検討し、より納得できる適切な治療法を選択することも大切です。もちろん主治医の見解と酷似している場合や主治医の見解を支持する場合もありますが、その場合でも病気や治療への理解をより深めることができます。理解を深めることは、再発を未然に防ぐことにも繋がります。

(参考:うつ病の再発率が60%って本当!?再発予防に欠かせない3つの対策とは

セカンドオピニオンの基本的な利用条件は?

精神科に限らずセカンドオピニオンを受けるためには、主治医の紹介状(診療所法提供書)が必要になります。つまり、セカンドオピニオンを受けることを主治医に伝え、診断や検査結果や治療経過に関する主治医の見解をセカンドオピニオン先の医師のもとに持って行けることが条件となります。(「主治医に黙って他の医師の意見が聞きたい」という方も中にはいらっしゃるかと思いますが、その件に関しては詳しく後述します。)

セカンドオピニオンの費用は?

セカンドオピニオンは診察ではなく相談ですので、健康保険の適用外であることが多いです。つまり、全額自己負担となるため負担金額も通常の診察と比べると大きくなります。その金額は病院によって異なりますが、相談時間1時間あたりの相場は1〜5万円程と病院によって違います。以下はセカンドオピニオン利用時に限らず、うつ病で経済的に厳しい状況になってしまう方を支援してくれる公的な支援制度をまとめています。ぜひご参考ください。

(参考:うつ病で働けない時、「お金」はどうする!?-活用できる経済的な支援制度-

セカンドオピニオンの基本的な利用の流れは?

精神科であっても精神科でなくても、セカンドオピニオンを受ける際はある程度の準備が必要です。その利用の流れや具体的準備について、精神科ならではの懸念事項なども加味しながら説明します。

①主治医の見解を理解する

まずは現在通院している病院の主治医の診断や治療方針について十分に理解しましょう。ご自身が受けている治療法や服薬内容などについて疑問や納得ができていないことがあれば、主治医に確認しましょう。

②セカンドオピニオンの目的を明確にする

現在通院している病院の主治医の見解を理解した上で、なぜセカンドオピニオンを受けたいと考えているのか、その目的を明確にしましょう。主治医の見解を理解しようと話し合う中で、主治医とともにセカンドオピニオンの目的を明確にしていけることもあると思います。

③セカンドオピニオンを受けることを主治医に伝える

目的が明確になったら、他の病院のセカンドオピニオンを受けることを主治医に伝えましょう。

④セカンドオピニオン先を選ぶ

他の病院のセカンドオピニオンを受けることの目的が明確になり、セカンドオピニオンを受けることを主治医に伝えることができると、その目的に適ったセカンドオピニオン先を探すことができます。その際にはご自身でインターネットで調べることもできますし、主治医によっては目的に適ったセカンドオピニオン先を教えてくれることもあるかもしれません。

⑤主治医に紹介状(診療情報提供書)を書いてもらう

主治医にこれまでの検査結果や治療経過をまとめた紹介状(診療情報提供書)を書いてもらいましょう。不足なく情報があることは、セカンドオピニオン先の医師が多角的に判断するための材料となります。

⑥セカンドオピニオンで聞きたいことを具体的に書き出す

セカンドオピニオンの時間は30分〜1時間程度です。その時間内に聞きたいことを聞くことができるように、出来るだけ具体的に書き出しておきましょう。

特にうつ病などの精神疾患の場合は、セカンドオピニオン時だけでは伝わりにくい場合もあるため、この過程がとても大切です。うつ病などは、検査の数値等で症状を判断するのはむずかしく、患者さんが感じている症状はご自身で伝えることが必要になります。

どのような症状が、いつから、どれぐらい(頻度、症状の強さ)あるのか、そのことでどんなことに困っているのかということを明確に精神科の医師に伝えられるようまとめられるとよいでしょう。

⑦セカンドオピニオンを受ける

聞きたいことが具体的になったら、セカンドオピニオンを受けに行きましょう。

⑧主治医と相談する

セカンドオピニオン先の見解を持ち帰り、現在通院されている病院の主治医とともに疑問に感じていたことや治療法について話し合いましょう。より納得して治療を選択することができるように、セカンドピニオンを受けたら主治医の意見と交えて検討することが必要です。

このようにセカンドオピニオンは明確な目的を持って受けにいくものであるため、準備が必要となります。

セカンドオピニオンを利用する際に予め注意しておくことは?

セカンドオピニオンを利用する際には以下の3点について注意しておきましょう。

①全額自己負担である

セカンドオピニオンでは健康保険の利用ができない場合が多いです。前述しましたが通常の診療よりも金銭的負担が大きいことを知っておきましょう。

②主治医と異なる意見をもらえるとは限らない

セカンドオピニオンを利用すると主治医とは異なる見解を得られると思っている方もいるかもしれません。しかし、そうとは限りません。もちろん、異なる意見を聞けることもありますが、ご自身が疑問に思っていた治療法が妥当であるという意見をもらうこともあります。ただ、異なる意見をもらえなかったからといってマイナスなことではありません。基本的な見解は同じであっても、別の視点で説明してもらうことで、ご自身の病気や治療法に対する理解がより一層深まります。

③転院ではない

セカンドオピニオンを利用することと転院は異なります。セカンドオピニオン先の医師の意見が主治医の意見よりも納得できると思ったとしても、その場ですぐに転院というわけにはいきません。セカンドオピニオンは第2の意見を聞くために利用するものであり、今後の治療方針について主治医と相談するために利用するものであることを理解しておきましょう。

うつ病で精神科に通院している人が、セカンドオピニオンをスムーズに利用する方法2

セカンドオピニオンの利用を躊躇してしまう理由

ここまででセカンドオピニオンの意味やその利用目的、利用方法について説明しました。セカンドオピニオンについて理解できても、利用を躊躇してしまうということがあるのではないでしょうか。その理由としてよく聞かれるのは、「主治医との関係性」に関する懸念です。別の医師の意見を聞きたいと伝えたら、主治医のプライドを傷つけるのではないか、主治医を嫌な気持ちにさせてしまうのではないか、などと考えると躊躇ってしまいますね。特に精神科などの精神疾患を取り扱う病院では主治医との関係性がとても大切であるため、尚更躊躇してしまうと思います。

しかし、セカンドオピニオンの本来の目的に立ち返ってみてください。セカンドオピニオンは「患者にとって納得ができる最も良い治療法について患者と主治医とで判断するため」「患者自身が納得して治療を選択し治療を受けるため」に行われるものです。そのため、治療や経過に関して疑問があったり他の医師の見解を聞いてみたいのであれば、セカンドオピニオンを受ける権利があるのです。

主治医との関係性を悪くしたくない…
セカンドオピニオンをスムーズに利用するために大切なこと

では精神科の主治医との関係性を悪化させずに上手にセカンドオピニオンを利用するには何が大切なのでしょうか。セカンドオピニオンに限らず、精神科の診察を受けるに当たっての大前提ともいえる大切な3つのことをお伝えします。

①治療は自分自身のために行うもの

大前提ですが、治療は自分自身のために行うものです。主治医の意見が絶対的に正しくそれに従うという関係性は適切な関係ではありません。納得して治療を受けることは当たり前の権利であり、そのためには受け身ではなく主体的に治療を受けるという姿勢が大切です。

②治療には主治医との間の信頼関係の構築が大切

治療を受ける中で主治医との間に信頼関係を構築することはとても大切です。この信頼関係は、患者が主治医を信頼できるということだけでなく、主治医が患者を信頼できるという双方向の信頼を意味します。そのためには、治療を受けている中で感じていることについて主治医に伝えることや、わからないことを主治医に聞くことが必要となります。話し合って理解していくという治療過程を通して、主治医との間に信頼関係を構築しましょう。

以下は、うつ病を過去に患った方の体験談ですが、主治医との関係性を日頃から築いておくべきだと考えを改めたというエピソードなどがありますので、ぜひご参考ください。
(参考:【うつ克服】仕事で失った自信を、仕事で取り戻しました。-30代男性

より良い病院選びに関しては以下の記事を参考にしてみてください。
(参考:うつになった時の病院選び 5つのポイント

③主治医の診察を続けたいからこそのセカンドオピニオン

主治医との間に信頼関係を構築できているのであれば、治療過程の中でセカンドオピニオンの目的も主治医との間で共有できるはずです。あるいは、セカンドオピニオンの目的を明確にすることを通して、信頼関係を構築することができます。自らの治療を主治医とともに検討するという姿勢を持っておくとよいでしょう。

主治医に相談せずにセカンドオピニオンの利用は可能?

主治医に黙って、別の病院を受診される方もいます。保険制度として可能ですが、快く思わない医師は多いと思います。医師からは「この人は約束を守るのが苦手な人かもしれない」「処方した薬をきちんと飲んでくれないかもしれない」と警戒されてしまうこともあるでしょう。
医師は仕事なので、きちんと診療をしてくれますが、誤解を受けてしまう可能性もあります。東京のようにクリニックが多いところであれば、慣れている医師も多いですが、クリニックが少ない地域だと、その傾向は強まるかと思います。

しかし、一番大事なのは医師からの心象よりもご自身の健康です。
ここでは、メリットとデメリットをあえて列挙してみようと思います。

メリット① すぐに受診できる

セカンドオピニオンを利用することを、現在通院されている精神科の主治医に伝えて診療情報提供書を書いてもらうまでには、何週間か待たなければならないことがあります。主治医に伝えずに他の病院を受診する場合には別の病院を受診しようと考えてから実際に受診するまでのタイムラグを最小限に受診することが可能です。ただし、紹介状がないと受診できない病院もあるため受診先の要件は確認しましょう。

メリット② 健康保険を利用できる

主治医に相談せずに別の医師の意見を聞きに行くということは、セカンドオピニオンの正規の流れとは異なる形で別の病院の精神科につながるということです。つまりセカンドオピニオンの枠組みを利用しないため、通常の初診と同じ扱いになります。(通常の初診と同じ扱いであるため、この場合は健康保険を利用することができます。)

メリット③ そのまま転院できる

ご自身で目的を明確にして他の精神科がある病院を通常の診察として受診した場合、治療に関して納得できればそのままその病院を継続的に受診することができます。つまり、転院です。それに対して、セカンドオピニオンは受診ではなく相談であり、セカンドオピニオンの手続きで別の病院を訪れた場合には、そのまま転院することはできません。

デメリット① 治療経過の説明が難しい

主治医に相談せずにセカンドオピニオンを利用するということは、主治医が記載した診療情報提供書やこれまでの検査結果の詳細などを持たずに受診することになります。そのため、治療経過についてすべて自分自身で説明しなければならず、必要な情報が不足してしまう可能性があります。

特に、うつ病などの精神科の病気は症状の波があります。症状の波があるということは、一度の診察だけで全てを判断することは難しいということ。ある程度の期間、経過を見ることが重要となるため、精神科でのドクターショッピング(医療機関を転々とすること)は極力避けるべきでしょう。

デメリット② 目的に適った意見をもらえない可能性がある

診療情報提供書や検査結果を持たずに受診しても、情報不足からその場ですぐに目的に適った意見をもらえない可能性があります。

デメリット③ 受診できる病院が限られる

診療情報提供書がないと受診することができない病院も多くあります。目的が明確であり相談したい医師や病院が決まっていても、診療情報提供書がなければ受診できない場合もあります。

うつ病の治療そのものがストレスにならないように

うつ病の治療は長期に渡るものです。主治医と十分に話し合い、納得して治療法を選択し、治療を継続して受けることが何よりも大切なことです。主体的に治療に取り組み、主治医に率直に考えを伝えたり質問したりできるような信頼関係を構築できるようにしましょう。特に精神科のように精神疾患を取り扱う病院は、主治医がその場で目で見て得られる情報が少ないため、とても大切です。ただ、医師と患者の関係は人と人との関係であり、もちろん相性の良し悪しがあります。どうしてもうまく信頼関係が築けないと感じたときには転院することも選択肢の1つです。

うつ病の原因はまだはっきりとは解明されておらず、今後も新しい薬や治療法が出てくる可能性もあります。ご自身で調べて理解を深める中で、主治医から提示されたことがない治療法に関する情報を得ることもあるかもしれません。その際には臆せず主治医に話してみてください。なぜその他の治療法を選ばなかったかなども主治医に確認してみた上で、セカンドオピニオンを利用するという選択肢も持っておけると良いでしょう。最近では、”セカンドオピニオン外来”というセカンドオピニオンだけを取り扱う病院も存在します。

ご自身にとってより良い治療を継続していくために、セカンドオピニオンという選択肢があることを頭の片隅に入れておいてください。

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益田裕介さん
この記事の監修

防衛医大卒。防衛医大病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立精神神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、早稲田メンタルクリニック院長。/精神保健指定医、精神科専門医・指導医

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