石川 智博(いしかわ ともひろ)
・疾病名:うつ病
・休職後に選んだ道:再就職(障害者雇用)
・仕事:NTTクラルティ株式会社の正社員(NTTグループの特例子会社)
目次
まさか自分がうつ病に
仕事一筋の日々から一転…
20代の頃から、私はプライベートを犠牲にして営業職に打ち込み、休みの日でさえ仕事の電話が鳴りやまないような生活を送っていました。
当時は「任された仕事はやって当たり前。むしろ、与えられた仕事以上のことをしないと評価されない」と考えていたので、どんなにつらくても、周囲に相談をしたり、仕事を断ったりすることはできませんでした。
しかし、「このまま10年後も仕事中心の生活を続けられるのか」「家庭を持ったとき、両立はできるのか」という不安を抱いていて、30代に入った頃から体調を崩すことが増えていったのです。
特に強い叱責が苦手で、ストレスを感じた日は眠れず、ようやく寝ても朝は吐き気で目が覚めてしまう。自分でも「何かがおかしい」と感じる一方で、精神的な病気は「弱い人間がなるものだ」という先入観から、「自分はうつ病になるはずがない」と、身体からの悲鳴を見て見ぬふりをしていました。
そんな無理がたたって、ついには仕事中に身体が震えるなど、周囲の人が気づくほどの症状が現れてしまい、通院を勧められました。自分は「まだ大丈夫」と思っていたのですが、上司がストップをかけてくれ、妻も「きちんと診断をしてもらった方が、気持ちが楽になるかもしれないよ」と優しく背中を押してくれたことで、病院へ行く決心がつきました。
診断名は「うつ病」。「社会不適合者だ」と突きつけられた感じがして、正直落ち込みました。家族は理解し、受け入れてくれたものの、職場の同僚や友人に対しては、必要性がある人以外にはしばらく伝えることができませんでしたね。
休職しても休まらない身体と心
退職を決意して見つけた復帰への第一歩
当初は3か月ほどの休職を予定していて、「まずは身体と頭を休めてください」という主治医の指示通り、休養を心がけました。
しかし実際は、「会社から連絡が来るかもしれない」という不安や「早く仕事に戻らなければ」という焦りがつきまとい、心身ともに完全に休むのは難しかったです。身体の疲れは抜けず、ぐっすりと眠れる日もほとんどありませんでした。
そんな私を見かねた主治医に、「石川さんは私の言うことをきかないもんね」と診察中に言われてしまって。確かに、これまで薬を処方されても自己判断でやめてしまうなど、主治医の指示を十分に守れていなかったんですよね。
負けず嫌いな性格もあって、そう言われたこと自体が悔しくて。「だったら、今回はちゃんと言うことを聞いてみよう」と思い、仕事から離れるために退職し、療養に専念することにしました。
その後、身体を十分休めたうえで、就労移行支援サービスを利用してみるのはどうかと勧められ、いくつかの事業所を見学することに。
正直最初は、「これまで普通に働いてきた自分が、なぜ福祉のサービスを受ける必要があるのか」と抵抗を感じていました。見学した中には、暗い雰囲気の事業所もあり、先入観も相まって「精神疾患を抱えた人が集まるとこういう雰囲気になってしまうのか」というためらいも。
ところが、最後に見学をしたリヴァトレは、施設の雰囲気が明るくて、通所されている方々もスタッフさんも生き生きとしていて、驚きました。体験で同じグループになった方が、勝手の分からない私を親身になってサポートしてくれて、「自分もこんなふうに優しく寄り添える人になりたい」と思えたのも利用の決め手になりました。
また、立地の面でも、駅から程よい距離に事業所があるのが私には合っていましたね。毎日の運動にもなりますし、歩いている間に気分転換ができて良かったです。
うつ病は誰でもなりうる病気
自分の弱さのせいじゃない
リヴァトレに通い始めて、「自分がうつ病であること」を受け入れられるようになったのは、大きな転機でした。本を読んだり、疾病理解のプログラムを受講したりする中で、「うつ病は誰でもなる可能性がある病気で、決して弱さのせいではない。だから自分を責める必要はないんだ」と思えるようになったんです。
365日仕事のことばかり考えていた私は「休む=怠け」と思い込み、仕事をしていない状態に罪悪感がありました。しかし、同じ病気を抱えるリヴァトレの仲間から「休むことも仕事の一部だよ」と言ってもらえて。
はじめはピンと来なかったものの、「いいパフォーマンスを発揮するためには休息が必要で、仕事を大事にしている自分だからこそ“休むことも仕事の一部”と捉えると気が楽になる」と感じられるようになりました。森林浴のプログラムは、自分に合ったリラックス方法を身につけるきっかけにもなりましたね。
また、コミュニケーションスキルを学ぶ「アサーション」や、主治医からも勧められた「集団認知行動療法」といったプログラムは、復帰した今でも役に立っています。
もともと苦手なタイプの人を避けたり、自分の正しさを押し付けて対立してしまったりすることがあったんです。何度もプログラムを受講する中で、自分と違う考えの人がいる事実を受け止めながら、自分や相手の考え方・コミュニケーションの癖を客観的に理解できるようになりました。
そうして「考えの違う相手にどう歩み寄るか」「我慢せずに自分の考えをどう伝えるか」という、自分も相手も大切にするコミュニケーション方法を実践しながら学んだんです。
就職活動の際には、履歴書に書く内容や面接でのやり取りに自分の変化を感じました。一方的に自分が伝えたいことを押し付けるのではなく、相手の立場を想像しながらコミュニケーションを取る。日々の学んだことの積み重ねが就職につながり、点が線になったと実感しながら約1年でリヴァトレを卒業しました。
完璧じゃない自分も受け入れ
見つけた「新たな生き方」
3か月ほどの就職活動を経て、現在はNTTグループの特例子会社「NTTクラルティ株式会社」で働いています。「安心して長く働ける環境を選びたい」という思いから、障害者雇用という道を選びました。
最初は、給与やモチベーションへの不安がありましたが、同じように病気を抱える仲間が多いことで、互いをカバーし合える点が大きな支えになっています。
障害者雇用では業務内容に制限がある場合もありますが、私の職場は障害の有無に関わらず同じ仕事を任せてもらえるため、やりがいをしっかり感じられます。忙しい時期もチームで協力して乗り越え、「頑張りすぎているな」と思ったら、休憩しようと声を掛け合うなど、働きがいと自分のペースを保ちながらバランスよく働くことができていますね。
現在は、リヴァトレの就労定着支援※も利用しながら、月1回の面談やグループワークを通じて、日々の困りごとを相談し、自分の状態を客観的に見直すことができているのも心強いです。
※就労定着支援:障害福祉サービスの一つ。就労移行支援等の福祉サービスの利用を通して再就職・復職された方に向け、就労継続に必要な支援を実施する。株式会社リヴァでは、面談や集団プログラム、企業や関係機関等との連絡調整などを提供している。
参考URL
これまでの経験を振り返って、いまは「うつ病になってよかった」と思っています。うつ病になったからこそ気付けたことはたくさんあって、人生を変えるいいきっかけになった。
以前の私は失敗を許さない完璧主義でしたが、いまは何事もトライアンドエラーだと受け止められるようになったのが一番の大きな変化です。
リヴァトレで出会った仲間たちが、病気を抱えながらも目標に向けて試行錯誤している姿に励まされ、うまくいかなくても受け入れ合える居場所を見つけられたことで「うつ病になってリヴァトレに通えたことは“いいトライ”だった」と思えるようになったんです。どんなに一流の野球選手でも打率10割は絶対にありえません。失敗は当たり前なんです。
もしこの記事を読んでいる方が同じような悩みを抱えているなら、「困ったら人を頼っていいんだよ」と伝えたいです。自分を楽にするために、まずは自分を大切にしてほしい。助けを求めるのは弱さではなく、前に進むための強さだと私は思います。
リヴァトレへの問い合わせに迷われている方へ、石川さんからのメッセージ
リヴァトレは、「いまの自分をもっと楽にしたい」「少しでも豊かな人生にするにはどうすればいいか」と悩みながらも、自分を変えたいと思っている人が集まる環境です。
私もはじめは「通って意味があるのかな」と懐疑的でしたが、実際に通所してみて、少しずつ自分を変えられると実感していきました。もちろん不安もあるでしょうが、ここなら「この人たちと一緒に変わっていきたい」と思える仲間に出会えるはずです。まずは気軽に、どんなことでも相談してみてください。
まずは無料パンフレットをご覧ください
リヴァトレは、うつなどのメンタル不調でお悩みの方の復職・再就職をサポートするリワークサービスです。
復帰に向けて行う取り組みについて、無料パンフレットでわかりやすくご紹介しています。
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復職・再就職コーディネーター/精神保健福祉士
1998年岩手県生まれ。東北福祉大学を卒業後、2021年に新卒社員としてリヴァへ入社。現在はリワーク支援施設「リヴァトレ仙台花京院」で、プログラム提供に携わる。自分らしく感じる瞬間は「道に迷っている時」。