【ムラカラ利用者インタビュー vol.4】 「新しい土地で双極性障害と向き合いたかった」ムラカラを利用した理由と利用後の変化

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兵庫県から奈良県下北山村に来て、ムラカラを8か月間利用した20代のDさん。双極性障害の当事者であり、利用前は病院のリワークに通っていました。

そんなDさんが、どうしてムラカラを選んだのか。利用してどのような変化があったのかを聞かせてもらいました。

ムラカラを知った経緯、どんな気持ちで探していたか

ムラカラを利用する前は、病院のリワークに9か月間通っていました。プログラムには参加できていたのですが、そこで学んだ内容を日常生活で行動に移せずにいました。また、スタッフの数に対して利用者の数が多かったので個別的な対応をしてもらえずにいたのです。そのため、自分でできることを可能な限りやってみようと思い、その事業所に置いてある本を全て読みました。そこでリヴァのスタッフが執筆している『脱うつ書くだけ30日ワーク』(以下、『30日ワーク』)に出会ったのです。

その後、私が患っている双極性障害について調べていたところ、「双極はたらくラボ」という、双極性障害に関する情報発信をしているWebメディアに辿り着きました。以前に読んだ『30日ワーク』と運営会社が同じということに気づき、リヴァのホームページを見てみたんです。そこで私は初めて、ムラカラというサービスがあることを知りました。

利用を検討する際に不安だったこと、利用の決め手について

私はストレスを感じたときに過食に走ってしまうことがあったので、「共同生活の中で過食をしてしまったらどうしよう」という不安がありました。また、実家で親のサポートを受けていたので、「自分では何もできなくなっているのではないか」と気がかりでしたね。復職をするにあたって、自立した環境の中で生活する自信が欲しいと思っていたんです。

利用の決め手は、「環境を変えてみたかった」というのが一番の理由です。会社や家族に対して、自分を良く見せようとしてしんどくなることが多かったので、実家から離れたい気持ちが強かったです。また、親との口論がきっかけで躁状態になることもありました。その結果、病院のリワークでの活動を頑張りすぎてしまい、反動でうつ状態になってしまうことも多かったんです。

また、スタッフの方に「双極性障害についても一緒に考えていきましょう」と言ってもらえたことも決め手のひとつでした。以前利用していたリワークはうつ病を対象としたプログラムが中心で、躁状態について相談しにくかったんです。

他のリワークではなく、なぜムラカラへ?

住む場所と支援をセットで提供しているサービスなのが魅力的でした。スタッフと一緒に生活リズムを見直し、改善できる機会を作れると思ったからです。ムラカラを利用する前は、月曜日から金曜日の日中はリワークを利用して、帰宅後や土日は疲れて家で寝て過ごしてしまっていました。しかし、ムラカラでは日中の活動だけでなく、睡眠や食事などについてもアドバイスをもらえるため、生活習慣全体を整えることができると感じたんです。

また、躁状態への対処法に課題を感じていたので、「双極はたらくラボ」とムラカラが同じ運営元であることも決め手となりました。会社として双極性障害に対する支援のノウハウがあると感じていたんです。

効果を感じたムラカラでの取り組み

一番効果があったと感じたのは日報を書くことによるセルフモニタリングです。躁とうつの症状が同時に出ている「混合状態」の時に、話したいことが沢山あるのに言語化できない点が課題だったのですが、日報にその日の出来事や気持ちを継続的に書いていくなかで、徐々に自分の率直な気持ちを言語化できるようになっていきました。日報には例文が用意されていたので、どのように言語化すればよいのか分かりやすかったです。

また、マインドフルネスを継続的に行っていました。「怒りや不安などから距離をとった物事の捉え方」に思考をシフトすることを目的として、1日2回、各30分間のめい想に取り組みました。今までは、瞬間湯沸かし器のように相手の言動に飛びつくように反応していたことがありました。しかし、マインドフルネスを始めてからは落ち着いて物事に対応できるようになり、自分のあるがままを受け入れられるようになりました。ムラカラを卒業した今でも、1日30分はマインドフルネスをするようにしています。

川

月1回ある街での買い出しや、Amazonでの買い物も効果的なトレーニングでした。お金を使いすぎてしまう傾向があったからです。他の利用者と対策を考えることや、Amazonの荷物が届く頻度を見て、浪費が抑えられているか正直に伝える環境を作ることで、必要なものだけを買うように意識できるようになりました。

現時点でのムラカラの利用で得られた変化はあるか

以前は何か考える時に頭の中がごちゃごちゃして、考えをまとめるのが難しかったのですが、ムラカラを利用し、書き出すことを学び、整理して言語化できるようになりました。相手に自分の考えを伝えるときも、200字程度で自分の考えを書いたメモを用意しています。私は元気でなくても元気であるように振舞ってしまう傾向があるのですが、言葉だけでなくメモを相手に渡すことで自分の本当の状態を伝えることに役立っていますね。

また、新しいことに取り組むときにも、確実に達成できる小さな目標を立てて、挑戦できるようになりました。以前はあまり深く考えずに新しいことを始めてしまい、躁状態になってしまうことが多かったのです。しかし、ムラカラのスタッフの方と事前に相談しながら少しずつ進めていくようになってからは、躁状態にならず落ち着いて物事に取り組めるようになりました。

今後、どのような取り組みをしていきたいか

ムラカラ卒業後は地元の就労移行支援に通って復帰を目指しているのですが、やりたい仕事に就くために、今通っている就労移行支援で行われている実習などで継続的に成果を出していきたいです。そのために、自身の現状を丁寧に把握、コントロールし、フルタイムではなく、時短勤務や週3日勤務などから始め、焦らず就業準備をしていきたいと考えています。

最後に担当スタッフ(森田)より

Dさんは、一つ一つの取り組みや、そこから生じるご自身の反応に丁寧に向き合い、分析しながら取り組みを進められていらっしゃいました。

もともと勉強熱心で疾病に関する理解も深かったのですが、利用初期の頃は外部の情報から「正解」のようなものを見つけようとして思い悩むこともあったように思います。そのような中でも、日々の取り組みや、特にマインドフルネスの経験を経て「自分が体感していること」を意識するようになってからは「他の人が言う正解」ではなく「Dさんにとっての正解」を見つけ出す視点を得ていました。その結果、状態維持のための取り組みが、知識だけでなく体感も伴って、歯車がうまくかみ合っていったように感じられます。

今後も、「Dさんにとっての正解」を大切にしながら、ご自身の人生を歩んでほしいです。

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宿泊型転地療養サービス「ムラカラ」

自然豊かな奈良県下北山村にあるシェアハウスでの生活や、メンタルケアのプロによるサポートにより疾病と向き合い、より自分らしい人生へと踏み出すためのサービス。リワークサービスなどを手掛ける株式会社リヴァが運営。

https://liva.co.jp/service/murakara

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この記事を書いた人
荻野 皓太 株式会社リヴァ

荻野皓太 株式会社リヴァ 2021年度入社
社会福祉士/精神保健福祉士
同志社大学を卒業後、21卒として(株)リヴァへ入社。
在学中は支援職の道を志していたが、システムの力で福祉業界をより良くしたいという思いからエンジニアとして入社。請求・業務効率化ツール「ラシクラ」の開発を担当した後、現在はWebマーケティング全般に携わっている。

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