東京から来られて、ムラカラを6.5ヶ月間利用された40代のCさん。
都市部での生活を一旦リセットし、自然豊かな環境の中で過ごしてみたいと考え、新たな一歩を踏み出すためにムラカラを訪れました。そんなCさんがムラカラを利用してどのような変化があったのか伺いました。
目次
ムラカラを知った経緯、どんな気持ちで探していたか
治療ではない頼れるところを探していました。東京在住ということもあり、距離が近い山梨県や神奈川県で探していましたが見つからず、「移住」などのキーワードで検索してムラカラとリヴァトレを見つけ、当初は両方申し込みましたね。
その時の気持ちとしては、自分が暮らす騒音や排気ガスが多い東京の場所から抜け出して自然があるところに行きたい気持ちが湧いていたり、社会人になってから心や時間に余裕がなかったので一旦リセットして落ち着いて自分のことを考えたいと思っていたりしました。
利用を検討する際に不安だったこと、利用の決め手について
特に不安はありませんでした。問い合わせる前は下北山村の名前も知りませんでしたが、田舎ということは認識していました。私は北海道出身だったので、田舎の生活の大変さはわかっていましたが、私の地元よりアクセスが難しく、上には上がいるなと(笑)。
しかし、利便性を求めていたわけではないので、問題はありませんでした。共同生活は、高校時代の寮生活で経験していたので気になりませんでした。
利用の決め手は、「ここなら今いる環境から離れて、落ち着いて自分と向き合える」と思ったからです。また、体験宿泊をしたときに、利用者同士の距離が近く同じ境遇の人と話してもっと情報共有をしたいと思いましたし、受け入れ態勢もしっかりしてあったので安心できました。
他のリワークではなく、なぜムラカラへ?
リヴァトレ・ムラカラのHPが一番見やすく受け入れやすかったからですね。当時はリワークという言葉も知りませんでした。ムラカラ以外も探しましたが、旅行ではなく生活として長期滞在できる場所はなかなか見つけることができませんでした。また、当初はリヴァトレとムラカラ両方に申し込んでいましたが、生活自体を変えたかったため、ムラカラを選びました。その前までに勤めていた仕事は、事情により異動するか特別退職金を受け取って退職するかの選択を求められて退職することを選んだので、まだ少し経済的に猶予があり、すぐに働く必要がなかったため、今後の自分への投資としてお金と時間を使ってみようと思い、利用を決断しました。
ムラカラでどんなことに取り組んできたか
最初は睡眠が課題だったので、寝つきが悪いときにPMR(※1)を継続して取り組みました。PMRをすることで高ぶっている気が休まり、寝付きやすくなり有効だなと感じました。
また、「心の調子が悪くなりそうだな」と思ったときは、CSW(※2)で整理した自分に合った対処法を参考に対処行動が取れるようになったのも良かったと思っています。これまで無意識におこなっていた、自分にとって良い行動を意識的に実施し、自分のものとして活用できるようになりました。そのおかげで、自分の気持ちが落ち込みすぎる前に早めに対処して持ち直すことができるようになりました。
それから、森の匂いや美味しい空気を吸いながら、身体を動かすことが気分転換になりましたね。私が東京で住んでいた場所は、工業地帯だったので空気が美味しくなく、公園も自然を感じることができる場所ではなかったため、好んで外に出ることはありませんでした。一方、下北山村は自然豊かな場所で騒音もなく、東京のときより視覚情報も少ないので心穏やかにリフレッシュすることができました。
他にも、私以外の利用者さんたちと会話をしながらウォーキングする機会がたくさんありましたが、それがとても楽しく、徐々に体力もついてきて歩ける距離も長くなりました。
東京には1~2ヶ月おきに帰っていましたが、利用して2~3ヶ月後には、もともと住んでいたはずの東京にいることが非日常で、村で過ごすことが日常だと感じるようになり、村で安心して過ごせていることを実感できました。
ムラカラは、利用者同士の距離感が近い分、日常生活やプログラムなど色んな方向からの負荷はありましたが、それが社会復帰する上で必要であると感じていたので、一つ一つ対処しながら乗り越えることができました。
(※1)PMR(漸進的筋弛緩法):リラクセーション方法の1つ。意図的に身体の各部位の緊張と弛緩を繰り返しながら、リラックス状態を作り出す方法。
(※2)CSW(コーピングシートワーク):自分の気分・体調の波に対して、自分に合った対処法を整理し、ブラッシュアップしていくプログラム。
現時点でのムラカラの利用で得られた変化はあるか
考え方を変えることができるようになりました。頭の中で考え方を変えて、ストレス場面を乗り越えることが出来るようになりました。
例えば、他の利用者さんらと協力して取り組む昼食の準備のとき。食事を作ること自体は苦ではありませんでしたが、皆とやることが負担になっていた時期がありました。特に、何をやっていいか明確でないときや手持無沙汰のとき、どうしたらいいか悩みましたね。自分が中心の役割でないときは、他の人から何もしていないことを不満に思われるのではないかと不安になり、無理に仕事を探して、お茶を準備したり、食器を並べたり雑務をこなしてやり過ごしていました。
しかし次第に、他の利用者に状況を確認して、他にすることがなかったら、無理に自分の仕事を作らずに他の人に託せばいい、と考えられるようになりました。考え方を切り替えることは大変でしたが、プログラムを通してそのようなストレス場面を題材に対応方法を検討してきたので、今では身につけることができましたし、悩んだとしても以前よりも切り替えやすくなったので良かったと思っています。
もう一つの変化として、オンオフの切り替えが適度に出来るようになりました。前職では、休みの日でも仕事のことがグルグルと頭から離れず、仕事とプライベートをうまく切り離すことができませんでしたが、先日、午後の半休を取ったときは、以前に比べて仕事のことを考えることなく過ごすことができました。
また、生き方や働き方への考え方も変化したように思います。ムラカラには移住をしようと思って来たわけではありませんでしたが、生活をしていくうちに、村の居心地が良かったため住もうと決めました。
決断できた背景としては、実際に滞在したことで、一つの選択肢でしかなかった田舎での生活をよりリアルに体感し、自分に合っていると感じたからだと思います。生活への考え方の変化とともに、今まではせこせこと働いていましたが、時間に追われずに自分のペースで働くという働き方もいいなと考えが変化しました。
スタッフさんに色々な場所や人のところに連れていってもらえて、村で生活している方や働いている方の様々な話を聞けたことや、役所の人が前向きに移住することに対応して下さったことも自分の背中を押してくれました。「これまでの自分の経験が無駄にならない」と思える仕事が村で出来そうだ、ということも村で働くモチベーションに繋がりました。
今後、どのような取り組みをしていきたいか
下北山村で地域おこし協力隊として頑張っていきたいです。今ある村の資源を活用して、いかに収益を得ることが出来るかを考え、村の人々にメリットをもたらし、村の人々に認めてもらえるような活動をしていきたいと思っています。
プライベートは、自然豊かで広々とした場所に住むのは初めてなのでワクワクしています。アウトドアをしたり、家の外で七輪を使って魚を焼いたりしたいですね。火事にならないように気を付けます(笑)。東京では予定がないと外出していませんでしたが、ここでは予定がなくても近所を歩いたり車で少し遠出したりして、新たな発見が出来たらいいなと思っています。また、東京では経験したことのない「ご近所付き合い」にも挑戦していきます(笑)。
村で生活していく上では日常的にご近所同士で協力し合うことが必要なので、近所の人を巻き込んで一緒にできることをやっていき、自分らしく新たな生活を楽しんでいきます!
※現在は、ご家族の都合により東京へと戻られています。
最後に担当スタッフ(森田)より
体験にお越しいただいた時のことを今でも思い出しますが、ご本人が後々有効だと話していたPMRを初めてしたとき、リラクセーションのはずなのに、眉間にしわが寄りっぱなしでした。常に体に力が入って、気を張っている状態が1ヶ月程続いていたように思います。
しかし、利用を続けていくうちに、入りすぎていた力が抜けていき、自然体で過ごされるようになってくると、グルグルと頭の中で嫌なことを考えていた習慣も和らいでいき、逆に村でいかに楽しんで過ごすか、という思考に変わり、どんどん活き活きとした表情に変化していきました。
都市部で熱心に仕事に取り組まれてきた方ですが、これからの人生は、仕事もプライベートも両方大切に、楽しんで過ごして頂きたいなと思っています。
ちなみに、本文をお読みいただいた方の中には、「利用には結構お金が必要なのかしら?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にかかる費用については、福祉サービスの利用料金(最大約2万5000円、前年所得の無い方は0円※)と食費や光熱費などの実費負担分(約3万5000円)で、一か月で約6万円をと考えて頂けたらと思います。
それぞれの経済状況にもよるかと思いますが、上記の金額を目安としてお考えいただけましたら幸いです。
※福祉サービスの利用料金は、前年度の課税所得に応じて変わりますので、詳しくはムラカラスタッフまでお問い合わせください。
※こちらの記事にも費用について書いておりますので、併せてお読みください。
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宿泊型転地療養サービス「ムラカラ」
自然豊かな奈良県下北山村にあるシェアハウスでの生活や、メンタルケアのプロによるサポートにより疾病と向き合い、より自分らしい人生へと踏み出すためのサービス。リワークサービスなどを手掛ける株式会社リヴァが運営。
(https://liva.co.jp/service/murakara)
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中村学園大学流通科学部4年
1999年福岡県生まれ
株式会社リヴァのインターン生
環境問題、エコツーリズムに関心をもちオーストラリアに留学
オートミール料理を作ることにハマり中