【うつ体験談】“失われた子ども時代”を、いま取り戻しています。ー30代女性 (1/3)

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19歳で「うつ傾向」との診断
原因は少女時代の精神的虐待

最初に精神科を受診したのは19歳の時でした。高校卒業後に就職した会社を1年ほどで辞めて、IT企業(現在も勤務)に転職したばかりの頃です。

情緒不安定で頭痛などの体調不良にも悩まされていたのですが、見かねた上司に勧められて医院を訪ねたところ、「うつ傾向」と診断されました。根本的な原因は、仕事上のストレスなどではなく、私の生い立ちにあったと思います。

 

私はとても貧しく、問題の多い家庭で生まれ育ちました。実父は私が物心のつく前に家を出ていたようで、会ったことがありません。父から支払われるお金で幼稚園には通っていたものの、そのお金が途切れたことで、私は幼稚園を中退しています。

一方、母は精神的な疾患を抱えていたのか、とても子育てをできるような人ではありませんでした。私は長い間、ほぼ密室状態の中で、精神的な虐待を受けながら過ごしたのです。

 

食事も遠足の費用も「借金」
服は一着のみ、髪にはシラミが

母はお金に強い執着がある人間でした。例えば、小学校に入学しても「給食費は払わない」と言うので、私は給食を食べたことがありません。遠足などの行事で実費の支払いを求められると「これはあなたの借金だから後で返しなさい」と言われました。住んでいたのは、取り壊し寸前のアパート。

自宅でも食事は与えられたり、与えられなかったり。洋服の着替えを持っておらず、お風呂にも入っていなかったので、私の髪にはいつもシラミがわいていました。母は私に、お金を稼ぐために「売春をしてほしい」と言ったこともあります。

彼女は思い込みが激しく、私が何か言うたびに「それは嘘だろう」と執拗に責めたりしました。また、例えばある物について「あれがいい」と言った次の日に「あんなものはダメだ」と批判するといった具合で、日によって言うことが正反対に変わるのも日常茶飯事。

「自分は教養があって賢い人間だ」ということを強くアピールしたがる傾向もありましたが、こちらは抗えるわけもなく、ただ「そうですね」と答えていました。

 

心ない言葉で胸に刻まれた
「生まれなければよかった」

小学生時代に強く望んでいたのは、もう少しよい暮らしができるよう「生活保護を受けてほしい」ということです。ところが、母にはいつも同居している男性がいて、その人の収入が世帯の収入と見なされていたため、受給することができませんでした。

でも、その男性は母親と暮らすためにそこにいるのであって、私を養うためにいるのではないんです。向こうからすると「邪魔な子どもがいて、たかられる」という感覚だったのではないでしょうか。同居する男性はときどき入れ替わり、私は彼らが誰であるのかよく分からないまま一緒に過ごさなければなりませんでした。

その頃の母は何度も妊娠と堕胎を繰り返していました。私のことも「中絶したかったけど、都合があって仕方なく産んだので、本当は必要じゃなかった」とよく言っていましたね。幸か不幸か、私は中絶されることなく生まれたわけです。だからよく「それなら生まれなければよかったな」「なんで生まれちゃったんだろう」と考えていました。

母親は私が中学生の時に再婚しています。相手の男性は私とはソリが合いませんでしたが、定職を持っていたので、生活に困ることはなくなりました。

母からは相変わらず「生活費は後で返しなさい」と言われていたので、私としては借金が増えていくだけでしたが、「いい生活をさせてもらって満足しているような雰囲気」を出して、再婚相手の機嫌をとるよう努めました。

そうしないと家の中の空気が悪くなる気がして。子どもの頃の私はいつも自分の身を守るため、“空気の清浄性”のようなものに気をつけて暮らしていたんです。そんな状況にも将来にも絶望していて、「早く死にたい」と思っていました。病院にはかかってはいませんでしたが、おそらく既に心を病んでいたんだと思います。

 

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この記事を書いた人
野村 京平 株式会社あどアシスト コピーライター

1977年三重県生まれ。銀行→広告会社→うつ(リヴァトレ利用)→広告制作会社(現在)。消費者のためになった広告コンクール、新聞広告賞、宣伝会議賞等を受賞。一児の父。

Web:https://www.ad-assist.co.jp/

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