【うつ体験談】“失われた子ども時代”を、いま取り戻しています。ー30代女性 (2/3)

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就職に失敗したら「死ぬしかない」
悲壮な覚悟で過ごした高校時代

母の再婚相手が学費を出してくれたおかげで公立高校に通うことができたものの、先生や同級生たちと会話をすることはほとんどありませんでした。小さい頃から外出を制限されていた私は、小学校にも中学校にもほとんど通っていなかったので、人間関係の築き方などが全く身についていなかったんです。

高校時代は「卒業したら実家と縁を切って自活しなくては」「保証人がいないことで家が借りられなかったらどうしよう…」といったことばかり考えていましたね。学校には、卒業に必要な単位を得るためだけに通っていたようなもの。

もしも就職に失敗したら「死ぬしかない」と思い込んでいましたし。無事に就職が決まって卒業した後は、計画していた通りに実家を出ました。それ以来、母たちとは一切連絡を取っていないですし、もう連絡先すら分かりません。

社会に出て改めて痛感した
“普通”の人々とのギャップ

新卒で就職したのはシステム関係の上場企業です。周りはみんな大学や専門学校を出ていて、社交性も高く、いくつかの道がある中からその会社を選んで入社した人ばかり。かたや私はアルバイト経験もなく、人付き合いも苦手。他に選択肢がなくて就職しているわけで、仕事に対するスタンスがまるで違いました。

仕事としては高度なことを任されていたわけではなく、朝から夕方までルーチンワークの繰り返しで、トラブルになったりはしませんでした。ただ、周りの人とうまく雑談したりできないのが辛かったですね。

しばらくして別の部署に異動したのですが、新しい配属先では閉鎖的な環境の中ですごく相性の悪い女性社員と過ごすことを強いられました。そんな矢先、退社後の時間を利用して通っていたIT関係の専門学校で知り合った知人から「友人が経営する企業で人を募集しているから会ってみない?」と声がかかったんです。私は“渡りに船”とばかりに面談を受けて、転職することにしました。

人生初の「肯定」を経験するも
蓄積された歪みが心身に…

転職した先はIT関係の会社で、配属先は大勢でワイワイ騒いだりするよりも、独りでパソコンに触っている方が好きなタイプの人たちが集まっていました。みんな、さっぱりした性格で、すごく付き合いやすく感じました。私に対しては「〜なところが良い」と褒めてくれたり、「〜なところを伸ばしていくと良いと思うよ」というアドバイスをくれたりしましたが、それは人生で初めての“他人に肯定される経験”でした。

私は幼い頃から四六時中、様々な不安や恐怖感に苦しみ続けてきましたが、その経験をした後に生まれて初めて、安心した気持ちでぐっすり眠れるようになりました。

働きやすい職場に巡り会えて、仕事もうまくいきそうに思えました。ところが、何か月かした頃、心と体に様々な異常が表れたのです。まず、急激な体重の低下、凄まじい頭痛、貧血。仕事のパフォーマンスも急激に落ちて、特に理由もなくキレたり、暴言を吐いたり、周りの物を壊したり…。

その様子を見かねた上司に勧められて、初めて精神科を受診しました。思い返せば、一社目にいた時から既に不調が始まっていたのかもしれません。医師には「うつ状態」と診断されました。

 

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この記事を書いた人
野村 京平 株式会社あどアシスト コピーライター

1977年三重県生まれ。銀行→広告会社→うつ(リヴァトレ利用)→広告制作会社(現在)。消費者のためになった広告コンクール、新聞広告賞、宣伝会議賞等を受賞。一児の父。

Web:https://www.ad-assist.co.jp/

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