「双極はたらくラボ」編集長の松浦です。
双極性障害の診断を受けた方の中には「病気のことがよく分からない」「どんな時に躁やうつになるかつかめない」「気分の波で休職と復職を繰り返している」など、1人で悩まれる方も多いのではないでしょうか?
私も診断を受けてすぐの頃は病気のことが理解できず、転職を繰り返していました。
リヴァトレでは、そんな双極性障害の方の悩みを少しでも解決に近づけるべく4種類の専用プログラムを提供しています。
(※専用プログラム以外のリヴァトレプログラムもご利用いただけます)
目次
双極性障害の方が働くために必要なこととは?
双極性障害の方に限定したプログラムを提供している背景は、リヴァトレを利用される方の診断名で2番目に多い病気が双極性障害だからです。
リヴァトレを利用後に社会復帰した方の診断名を集計したデータをみると双極性障害の方の割合が18.3%で、うつ病の方の55.6%に次ぐ数字でした。
うつ病の方とは違った困りごとがある双極性障害の方に対し、以下のような点に関するプログラムを提供しています。
- 双極性障害についての基本情報を知る
- 同病の人との対話から自己理解を深める
- 対処に重要な“記録“を習慣化させる
- 双極性障害について“自分のトリセツ“を作る
それぞれ、順を追って説明していきます。
双極性障害についての基本情報を知る
双極性障害(講義)プログラム
「双極性障害とは?」といった基本的なことから、「双極性障害Ⅰ型とⅡ型の違い」「混合状態とは」などの症状について、また「軽躁・躁状態、うつ状態が疑われる時の対処」といった内容などを紹介するプログラムです。
内容は、有用性が高く評価されている双極性障害の心理教育(スペインのバルセロナプログラム)の日本語版である「双極性障害の心理教育マニュアルー患者に何を、どう伝えるか(医学書院,2012)」をベースにしています。
プログラムの受講によって、一般的な情報を得ることで、大半の方は「私はここが違う」と気づきます。
同病の人との対話から自己理解を深める
双極性障害(座談会)プログラム
「軽躁でもうつでもないフラットってどんな状態だろう」「軽躁やうつの症状の出始めに気づくには」といった一歩踏み込んだ疑問に対して、同病の当事者同士で対話していただくプログラムです。
疑問の解決につながるヒントを得たり、参加された多くの方が「悩んでいるのは自分だけではない」といった安心感を得られるのが特徴です。
対処に重要な“記録“を習慣化させる
双極ライフログ プログラム
双極性障害の症状に気付いて対処をしていくためには、平常時と軽躁時、うつ時の違いに気づく必要があります。その変化の手かがりとなるのが日々の気分や体調の記録(≒双極ライフログ)です。
リヴァトレ独自のシートを用いて日々の記録をつけていただき、隔週で実施するプログラムの中でお互いの状態の変化や対処法を共有することで、記録することの意義を確認いただくプログラムです。
2018年に開催された「第4回世界双極性障害デーフォーラム」で、記録と再発予防の関係性が示されていたことを機に開発しました。
双極性障害について“自分のトリセツ“を作る
コーピングシートワーク プログラム
双極性障害に対処して社会生活をしていく、働いていくには「症状の出始め(サイン)に気づいて自分なりの対処をしていくことが重要」と言われています。
自分にとっての「軽躁・躁症状のサイン」「その時の対処」「うつ症状のサイン」「その時の対処」などを洗い出し、整理をして自分のトリセツを作るプログラムです。
前述の双極ライフログで取組む日々の記録は、コーピングシートワークでトリセツを作るのに役立てていただいています。
※メンタルヘルス用語であるコーピングは、ストレスに対処するための行動を指します。
他、リヴァの双極性障害に関する取り組み
ここまで、リヴァトレの双極性障害の方向けのプログラムを紹介しましたが、双極性障害に関する別の取り組みもご紹介します。リヴァでは「双極性障害で働くヒントがみつかる」がコンセプトのメディア「双極はたらくラボ」を2021年の世界双極性障害デーにあたる3月30日に公開しました。
「双極はたらくラボ」の編集長を務める私、松浦やスタッフの当事者および就労支援員としての経験も活かした、独自の視点から企画や取材を行っています。
また、リヴァトレ内で提供する双極性障害に関するプログラムに双極はたらくラボで集まった知見を反映し、復職や再就職を望む双極性障害の人が自分らしく働けるようになるためのサポートに役立てています。
双極はたらくラボの運営、リヴァトレでの支援プログラムの提供という形で双極性障害の方に向けたサービスを今後も提供していきます。
リヴァで行っているサービスについて
リヴァでは「リヴァトレ」という職場復帰支援(リワーク)を行っており、職場へ通勤するようにセンターへ通いながら、よりよい復職・再就職を目指すトレーニングをすることができます。
主治医から復職の許可が下りても、すぐに職場に復帰したり、あるいは就職活動をするのは不安であったり難しく感じられる方もいるでしょう。体調が回復し今後の生活やキャリアについて考える余裕が生まれた段階で、一度相談してみるのはいかがでしょうか。
また、センターへは週2日から通所可能なので、完全に回復していない方でも少しずつトレーニングをすることができます。
特に以下の方にお勧めです。
- 働くための生活リズムを整えたい方
- 服薬と休養以外のストレス対処法を身に付けたい方
- 職場で働く力の回復・向上を目指したい方
- 働き方・生き方の再構築をしたい方
センターの無料見学・体験も可能です。また『よくある質問』についてもまとめておりますので、ご参考ください。
(参考:リヴァトレ よくあるご質問)
<各種リンク>
双極はたらくラボ編集長/公認心理師/精神保健福祉士
1982年島根県生まれ。21歳の時に双極性障害を発症。20代で転職3回休職4回を経て、リヴァの社会復帰サービスを利用。後に同社へ2012年に入社(現職での休職0回)。 一児の父。