うつ病の休職期間の平均はどれぐらい?休職期間を決める3つのポイントと過ごし方を解説!

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うつ病や適応障害等、メンタル不調で仕事を休まなければならなくなった時、「うつ病で仕事はどれくらい休めるんだろう」「休職中はどう過ごしたらいいの?」「休める期間はどうやって決まるの?」と休職期間について悩まれる方も多いのではないでしょうか。

心身の回復のためにも、休職中はしっかり休むことが大切です。本記事では、うつ病の休職期間の目安と、休職期間を決める際に押さえておきたい3つのポイントについて詳しく解説します。さらに、休職期間中の過ごし方や、復職に向けて利用できる支援についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

平均的な休職期間とは

平均的な休職期間については、おおよそ「3か月~1年半」程度を見込んでおくのが良いでしょう。

(休職期間の参考資料:https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/news/h3iskd0000001s7o-att/h4-01.pdf

この期間はあくまで目安なので、ご自身の症状の重さの程度や、個々の環境・状況によっても異なることはご承知ください。

休職可能な期間については、会社ごとに就業規則で決められていますので、最大でどのくらいの期間まで休むことができるかや、職場復帰にあたって必要な条件等について社内の資料を読んで確認しましょう。うつ病の症状が重く、就業規則を読んで理解することが困難な場合は、人事の担当者に電話やメールを通じて質問することでも確認が可能です。

休職期間で言えば、半年以内で復職することを求められる会社もあれば、3年程度まで仕事を休むことが可能な会社もあります。その他、休職制度を開始する前に有給休暇や振替休暇を先に消化することが求められたり、会社が独自に設けた傷病治療のための休暇期間を経てから休職期間に入るケース等があります。

また休職中の給与の扱いがどのようになるかの決まりが会社ごとに違っていたり、復職するには必ず通勤訓練やリハビリ出勤の期間を経ることが求められる場合もありますので、具体的な休職後の過ごし方や手続きについて人事の担当者とも確認しましょう。

最近になって、会社への復職にあたりリワークサービスの利用を必須とするところも増えてきています。リワーク(Re-Work)とは「return to work」の略で、休職を経てある程度まで心身の状態が回復した方が、リワーク施設で「復職に向けたウォーミングアップやストレス対処のトレーニング」等のリハビリテーションを行うことです。「休職している生活から、復職後の生活に移るときの負荷を軽減するとともに、症状の再発リスクを押さえ、スムーズな社会復帰に移行すること」を目的としています。

リワークサービスの利用により、より安定した復職を目指すことが可能となりますので、会社に必須事項として求められていない場合でも、利用を検討してみてください。

リワークサービスについて、詳しくは本記事中の「休職期間中に受けられる支援」の項目でも解説しています。

休職期間をどれくらい取ることが適切かについては、うつ病の症状の重さや、治療に必要な期間によっても変わってきます。まずは主治医、産業医、会社側とも相談の上、しっかりと治療に専念できる期間を取得することが望ましいでしょう。軽度のうつ病であれば比較的短期間での復職が可能な場合もありますが、重度の場合は1年以上の休職が必要になることも少なくありません。

なお休職するときには主治医の診断書が必要となりますが、そこに最初に記載される休職期間はあくまで休職開始時点の判断で記載される期間なので、十分に回復するまで期間延長となるケースも多いです。焦らずに治療に専念しましょう。

休職を決断する目安とは?

うつ病や適応障害等のメンタル不調によって休職を決めようとしたとき、「どのタイミングで休職すべきか、それとももう少し今の仕事を頑張ってみるべきか」と悩む方も多いのではないでしょうか。

日本の文化では「周囲に迷惑をかけたくない」「自分が頑張らなければ」という思いから、限界を超えるまで働き続けてしまうことが少なくありません。しかし、無理を続けてしまうとメンタル不調が悪化し、回復するまでにさらに長い時間がかかるようになってしまう可能性があります。

休職を決めるかどうか判断する目安のひとつとしては、「日常生活に大きな影響や困難が出ていないかどうか」が挙げられます。たとえば、仕事のことを考えるだけで強い不安が生じ、眠れなくなる、食欲が減退してしまう、あるいは体がだるくて何もする気が起きない等が起きており、こうした状態が2週間以上続いている場合等は注意が必要です。また周囲の人や家族、同僚から「最近元気がない」「疲れているみたい」と言われることが増えたら、自分では気づいていないうちに疲労が蓄積している可能性もあります。

仕事で無理を重ねているときに、さらに自己判断で無理を続けることで、危険な事態を引き起こす可能性も考えられます。うつ病の症状は、疲労感や倦怠感だけでなく、集中力の低下や判断力の低下を引き起こすことがあるので、仕事でミスを重ねてしまい、自責の念にかられて症状がさらに悪化する原因にもなりえます。こうした状態では、本来の自身のパフォーマンスを十分に発揮できず、最終的には周囲にも迷惑をかけることになってしまいます。

もし自分で「自分は無理をしているな」と感じたら、家族や周囲の人、職場の上司、あるいは会社産業医等の第三者に相談してみることが大切です。他の人の視点から意見を得ることで、自分の状態を客観的に理解し、休むべきかどうか適切な判断が下せるようになります。適切なタイミングで休職することが、早期の回復につながり、長期的に見ても最善の判断となることがありますので、まずは相談してみることをお勧めします。

休職期間を決める3つのポイント

休職期間を決める際には、以下の3つのポイントを押さえておくことが重要です。

①主治医・産業医の判断

休職期間の決定において、特に重要なことは「主治医の判断」となります。自分自身は「大丈夫、仕事を続けられる」と思っていても、医師の診察の結果、休職が必要と判断されるケースも多いです。またもし症状がそこまで悪くないのであれば、主治医のもとで治療を続けながら仕事を続けるということもできるかと思います。主治医と現状を率直に話し合い、休職の必要性と治療のための期間について確認しましょう。

休職となる場合、主治医は休職者の心身の様子を診察し、療養に必要と考えられる休職期間を診断書に記載します。休職期間は休職者の回復状況により延長されることもありますので、定期的な通院を継続するようにします。

また会社の産業医も休職者の体調の経過を観察し、本人に健康管理のためのアドバイスを行ったり、主治医とも連絡を取る等して復職のタイミングについて確認していきます。

②就業規則の確認

「平均的な休職期間」の項でも確認した通り、会社の就業規則によって休職できる最大の期間が定められています。会社ごとに利用できる社内制度等が異なってきますので、復職を目指すのであれば、就業規則を確認の上、その範囲内で休職期間を検討していく必要があります。いつ頃まで休職期間を取得することが可能かどうかや、休職期間を満了して復職できない場合は退職になるかどうか等、会社側とも早めに確認しておきましょう。

前述のとおり、復職にあたってリワークサービスの利用を必須とする会社も増えてきていますので、そうしたサービスを利用する期間をいつ頃から開始するかを確認するためにも、就業規則の確認は重要となります。リワークサービスは少なくとも3か月以上は利用したほうがしっかり復帰訓練に取り組めるからです。

うつ病の症状が重いときは集中力や理解力も低下しているため、就業規則を読んでも頭に入らない時は、必要最小限の情報だけでもよいので人事の担当者と口頭で確認し、必要事項はメールや書面等にまとめて送っていただくといった形で対応できるとよいでしょう。

③経済面の確認

休職することで、仕事を休んでいる期間中に経済的な影響がどのくらい出るかどうかも、期間を考えるうえで重要なポイントです。給与がストップし収入が減少することを考慮し、傷病手当金の申請や自立支援医療の開始手続き、その他の支援制度を利用できるかどうかについて確認しましょう。

本記事の「休職期間中に受けられる支援」の項にて、様々な支援制度を解説します。

休職により収入が無くなることで、貯金を崩さざるを得ないという状況も発生しうると思います。経済面での不安があると、将来への焦りと不安から休職期間中も常にストレスを感じてしまうことがあります。経済面での不安要素を可能な限り解決しておき、生活への影響が押さえられる期間を把握して、安心して治療と休息に専念できる期間を確認しておけるとよいでしょう。

休職に必要な手続き

一般的な休職に必要な手続きとしては、会社への「主治医の診断書」と「休職届(休職願)」の提出となります。

診断書は主治医が作成して休職者本人から会社に提出されるもので、休職を判断する理由や休職期間等が明記されています。休職期間については、休職者の体調の回復度合いによっては延長されることもありますので、期限が近付いてきたら休職者本人を通じて主治医に確認しましょう。

休職届(休職願)は会社ごとの様式に従って作成するようにします。休職の期間や休職中の連絡先等について、休職者本人が記載を行います。会社によっては休職届の提出は不要のところもありますし、それ以外の必要書類を求められるケースもありますので、会社側と確認しましょう。

休職期間の過ごし方

休職期間中は、ストレスの原因となるものから離れ、心身の回復に専念することが最優先です。しかし、ただ家で横になって休むだけでなく、適切な日常の過ごし方を心掛けていくことで回復を促し、復職に向けた準備を進めていくことができます。

〇ストレス原因から離れ、休息をとる

休職の目的はストレスの原因から離れ、心身を休めることです。仕事のことは一旦忘れ、リラックスできる環境を整えましょう。休職後も仕事のことが気になってしまうことはあると思いますが、ストレスの原因に触れ続けると治療の進展に影響を与えるリスクが考えられます。休職期間中は職場や同僚と仕事に関するやり取りは行わないようにし、会社と連絡する窓口は上司や人事の担当者等に一本化して、休養に専念することが大事です。

〇治療を継続する

通院やカウンセリング、薬物療法を継続しましょう。医師の指示に従い、着実に治療を続けることが重要です。自己判断で通院を中止したり、服薬を中断すると症状の再悪化を招くリスクがあります。

〇生活リズムを整える

規則正しい生活を心掛けることで、健康の土台が整い、体調の回復が早まります。睡眠、食事、運動といった、基本的な生活習慣を見直し、健康的なリズムを取り戻しましょう。生活記録をアプリ等でつけておくことで、生活リズムの振り返りが行いやすくなります。

〇復職の準備をする

体調が安定してきたら、少しずつ復職に向けた準備を始めましょう。会社に通勤していた時と同じ時間に起き、家の外に出て勤務時間と同程度の時間帯で活動を行い、夜も遅くまで起きずに寝るようにする等、無理のない範囲で少しずつ仕事をしていていたときの生活スタイルに近づけていきます。リワークサービス等も活用し、復職に向けた準備を進めていってください。

仕事を休むことに罪悪感を覚えたら

うつ病や適応障害で休職している期間中、仕事を休むことに罪悪感を感じる方は少なくありません。心身の回復に必要な休養であると頭ではわかっていても、「自分が休むことで、職場や同僚に迷惑をかけてしまう」「仕事から離れる期間が長引くと、社会から取り残されるのではないか」といった思いから十分に休めず、仕事をしていないこと、休んでいることがストレスになってしまうこともあります。

しかし、休職はあくまで治療の一環であり、回復に向けた重要なステップです。

まず、休職は「怠けている」わけではなく、「心身を回復させるための必要な休息である」ことを改めて認識しましょう。職場での生産性を取り戻すためには、一度立ち止まり、適切な治療と休養を取ることが不可欠です。また、長期的に見れば、休職によって再発を防ぎ、より持続的に働ける環境を整えることができます。

うつ病を発症したということは、何らかの形でそれまでの働き方に無理や強い負担があり、それらを見直す機会でもあると考えられます。焦らずに自分の働き方を振り返り、自身のペースで回復を目指すことが、最終的には自分だけでなく、会社や同僚の方達にとってもプラスになります。

休職期間中に受けられる支援

 

うつ病で休職している期間中には、様々な支援制度を利用することができます。以下の支援制度等を参考にしていただき、休職期間を少しでも安心して過ごせるようにしましょう。各制度について、詳しくはリンク先の記事を参考にしてみてください。

1. 傷病手当金

傷病手当金は、健康保険に加入している方が、病気やけがで働けなくなっている期間に支給される給付金です。なお原則的に傷病手当金の制度は会社員・公務員等で健康保険に加入している人が対象となり 自営業・個人事業主の方達が加入する国民健康保険(国保)には傷病手当金の制度はございませんので注意が必要です(感染症の拡大時期に一時的に設けられる例外もあります)。

傷病手当金は申請手続きが必要になりますが、給与等の収入が途絶えた期間も無収入にならず、生活を支える手段として活用することができます。うつ病を発症した場合でも、一定の要件をクリアすれば受け取ることが可能です。就職時の給与の約3分の2が支給されるため、会社の人事の担当者にご相談の上、申請を進めてみてください。

傷病手当金については、以下の記事で詳しく説明していますので、こちらもご参照ください。

(参考記事:【最新版】うつ病で休職したら「傷病手当金」を活用しよう!支給条件や申請方法を徹底解説 https://www.liva.co.jp/magazine/2950

2. 自立支援医療

自立支援医療は、精神疾患の治療を継続的に受ける必要のある人が、医療費の一部を公費負担にしてもらえる制度です。指定された病院・クリニックを受診する必要はありますが、診察費・薬代・デイケア費・訪問看護費用等が1割自己負担にまで軽減されるため、治療を継続するための経済的に重要な支援となります。

申請を希望される場合は、通っている病院やクリニックの主治医の先生にご相談ください。手続きの完了後は、病院の窓口で受給者証を出せばOKです。支援を受けていること自体は病院・薬局のスタッフと健保の担当者しか把握できないため、周囲に知られてしまうということもありません。

(参考記事:経済的な負担を軽減!「自立支援医療制度(精神通院医療)」の対象や申請方法について https://www.liva.co.jp/magazine/811

3. リワークサービス

リワークサービスは、円滑な社会復帰と再発防止を目指すためのプログラムです。株式会社リヴァでも、リワークサービスを提供しており、うつ病で休職中の方が安心して復職できるよう支援しています。

うつ病等によりメンタルヘルス不調となった場合、休職したり治療を受けることで症状が回復したとしても、復職後に再発を招きやすいとされています。これは休職期間中に社会的な活動から距離を置く時間が長くなることで、体力面やコミュニケーション能力等が低下し、復職後の生活との負荷のギャップが大きくなることで、体調が不安定になりやすいためです。再発すると、前よりも回復に必要な時間が長くかかるため、休職期間の長期化や休職と復職を繰り返すようになることも珍しくありません。

こういったことを防ぐためには、休職期間と復職までの間で、段階的に負荷をかけていくリハビリ活動の期間を設けることが重要となってきます。リワークは休職期間中、ある程度体調が整った状態からリハビリ活動の期間まで活用いただくことで、効果的となるサービスです。

元の会社や部署に戻るのであれば、以前と同じストレスがかかる可能性が想定されます。ただ復職するのではなく、再発予防のため、ストレス対処力を向上させていく必要があるといえるでしょう。

リワークでのトレーニングを通じて、生活リズムの安定やストレス対処法の学習等ができ、復職後の再発防止に役立てることができます。また仕事を休んでいると自宅外の活動の機会が少なくなってしまうため、リワークに通所することで同じく復職を目指す過程の他の利用者と交流する機会となりますし、自宅外の居場所としても機能します。ぜひご利用を検討ください。

(リヴァトレホームページ https://www.liva.co.jp/service/training

おわりに

ここまでうつ病の休職期間の目安と休職を決める3つのポイント、休職中の過ごし方や、利用できる制度等について解説していきました。休職は心身の回復のためにも欠かせない休息の時間です。休職期間を決める際は、主治医や産業医の判断、会社の就業規則等を確認し、自分にとって最適な期間を設定することが大切です。また、休職期間中は治療を継続し、生活リズムを整えることで、復職に向けた準備を進めていくことが重要になってきます。

様々な支援制度を利用しながら、焦らず自分のペースで復職を目指していきましょう。

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この記事を書いた人
四谷 健太郎 株式会社リヴァ リヴァトレ事業部

生活支援員 臨床心理士/公認心理師

1985年東京都生まれ。
世田谷区の教育相談員→民間企業の治験コーディネーターを経て、2021年に株式会社リヴァに入社。
森田療法を基にした相談支援を行っている。趣味はコーヒーのハンドドリップ。

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