うつなどメンタル不調で休職・離職している方の中には「リワークを利用してみたいけど、どんなことをするのか分からない」「どんな場でどんな人たちがいるのか、イメージが湧かない」といった不安を感じ、利用や見学をためらっている人も少なくないようです。
そこで今回、リヴァマガ編集部員の荻野が実際にリワーク施設「リヴァトレ」で行われる支援プログラムを体験してきた感想を“正直に”お伝えします。リワークの利用を検討している方のご参考になれば幸いです。
目次
プログラムを体験するため、いざリヴァトレへ
リヴァトレは東京と仙台で計6か所の事業所を運営しています。今回はリヴァトレ御茶ノ水センター(以下:センター)で復職・再就職のためのプログラムを体験してきました。
センターには、最寄り駅であるJR中央・総武線「水道橋駅」から徒歩7分、丸の内線・大江戸線「本郷三丁目駅」からも徒歩8分です。
リヴァトレでは、午前と午後でそれぞれ2時間弱のプログラムを提供しています。今回は午前中のプログラムへの参加だったので、午前10時に間に合うようセンターに向かいました。
どのようなプログラムを受けるのか把握していなかったので、開始を待つ間は少しドキドキ……。
しかし、初対面にも関わらず他の利用者の方々が気さくに話しかけてくれたおかげで少し緊張感がほぐれました。
グループワークで自分と向き合う「コーピングシートワークブラッシュアップ」
10時から利用者に対する連絡事項の共有があった後、10時15分頃からプログラムが開始。最初にスタッフから今回受ける「コーピングシートワークブラッシュアップ*(以下:コーピングシートワーク)」の説明がありました。
プログラムでは毎回、冒頭に説明の時間を設けているとのことで、僕のようなまったく予備知識のない体験者でも安心して参加できると感じました。
*コーピングシート:各自の疾病の症状やストレスに対する反応を段階ごとに分析して対処方法を明確化するリヴァトレ独自のツール。
*コーピングシートワークブラッシュアップ:作成途中のコーピングシートをより良くするためのヒントを得るためのプログラム。コーピングシートがまだ無くても参加可能。
説明をひととおり聞いた後、10分間の個人ワークが開始。過去に心身の状態が悪くなった時のことを振り返り、そのきっかけや心身の反応(手が震えるなど)、自分が行った対処方法を指定のシートに記入します。
僕はこの個人ワークで予想以上に苦戦をしてしまいました。自分の心身の状態が悪くなったきっかけや対処法を書き出すことがまったくできなかったのです。
日常生活で大小さまざまなストレスを感じていますが、それを言語化することは想像以上に難しく「今までストレスとしっかり向き合えていなかったのだな」と気づきました。
他の参加者の皆さんが、ご自身の手帳や別のプログラムで作成した資料を確認しながら、すらすらとシートの項目を埋めていく姿を見て「ストレスと向き合うことが習慣化されていているんだ」と感銘を受けました。
次の個人ワークでは、ストレス対処でうまくいっていないことを「グループで検討したいこと」としてシートに記入しました。
ここでも僕は苦戦を強いられることに……。
なぜなら、自分の「弱み」を初対面の人に共有することに抵抗を感じてしまったからです。
「これをグループで相談するのは恥ずかしいな」「こんなことを相談したら呆れられてしまうかもしれない」などの不安が頭をよぎり、なかなか書き進めることができませんでした。
その後、少し時間はかかりましたが、「失言をしてしまった時にどういう対処をしているか?」をグループ内で検討してもらうことに決めました。
僕は思い付きで言葉を発してしまう癖があり、後になって「あんなこと言わなければ良かった、あの人怒ってないかな……?」と後悔することが多いのですが、寝て忘れるか、考えないようにするなど、現実から目をそらすような行動をとることしか対処方法が思いつかなかったからです。
個人ワークが終わった後は、四人一組のグループワークが始まりました。
「自分が書いた内容はグループで検討するに値するのか……」と不安を感じていましたが、同じグループのメンバー方が、次々とご自身の経験をもとにアドバイスをしてくれ、すぐに自分が感じていた不安が杞憂であったと気づくことに。
「素直に謝った方が楽になれるよ」や「失敗は誰にでもあるからしょうがないと自分に言い聞かせよう」、「良い匂いを嗅いで落ち着くのはどうか」など一人では思いつかなかった対処法のアイデアを沢山出してもらえました。
メンバーからのアドバイスを通して「他の人も自分と似た悩みを感じている」と知り、「自分一人だけの悩みではないんだ」という安心感を得ることができました。
また、悩みを言語化することで考えが整理されたことも、新しい発見でした。これは文章で書いてもなかなか伝わりづらいかと思いますので、読者の皆さんにも実際にコーピングシートワークを体験していただきたいです。
グループワーク中のスタッフの立ち回りも印象的でした。
基本的に、利用者の会話に介入することはなく、ワークの様子を見守るだけなのですが、話し合いが円滑になるように要所要所で話題を提供してくれたり、一緒に対処法を考えてくれたりしました。
自分のストレス対処法を検討する番が終わった後は、同じように他のメンバーのストレス対処法を検討しました。そして最後に、出てきたアイデアの中から、各メンバーそれぞれが今後試していきたいものをグループ内で共有してコーピングシートワークは12時頃に終了しました。
プログラム体験を終えて
プログラムを体験した正直な感想は「グループワークのおかげで自分の考えを整理しつつ、新たな考えを取り入れることができた」でした。
最初は「グループワークなんて手間がかかりそうだし、個人ワークだけで良いのでは?」と考えていました。
しかし、一人では思いつかなかった新たなストレス対処法を知ることができたり、他の人がストレスを感じる状況について自分だったらどうするか考える機会を持つことができたりと、グループワークの効果を実感することができました。
余談ですが後日、「良い匂いを嗅いで落ち着くのはどうか」というアドバイスを参考にして、ルームフレグランスを購入しました。
リヴァトレの支援について、スタッフに聞きました
プログラム体験後、センター長を務める渡邉さんにリヴァトレで行われている支援について話を伺いました。
荻野:本日はありがとうございました!早速お聞きしたいのですが、リヴァトレで受けられる支援というのは、僕が体験したようなストレス対処に関するグループワークだけなのでしょうか?
渡邉:リヴァトレが提供するプログラムには「生活習慣」「ビジネス実践」「ストレス対処」「キャリア」の4つのカテゴリがあり、今回荻野さんに受けていただいたコーピングシートワークは「ストレス対処」に該当します。
渡邉:また、グループワーク以外にも座学やビジネス場面を想定したロールプレイングなどのプログラムもあります。もちろん個別での面談も行っており、リヴァトレを利用する方は自身の目標に合わせて、各プログラムを活用していただくことが可能です。
荻野:様々な形の支援があるのですね!目標というのは「リヴァトレ利用終了後にどのような自分になっていたいか」ということでしょうか。決めるのが難しそうですね……。
渡邉:そうですね。例えば、対人関係が上手くいかず休職した方は「自分の気持ちがしっかりと伝えられるようになった状態で復職する」という目標を設定されていました。ただ、ゴールを決めることは簡単なことではありません。リヴァトレ卒業後の自分をイメージすることが難しい場合、「数か月後の自分」などをイメージしていただいても構いません。また、仕事に関する目標だけでなく、人生の目標を立て、達成に向けてリヴァトレを活用していくことももちろん大歓迎です。
荻野:一人ひとりに合った活用方法を見つけていくことができるんですね!
リヴァトレに興味を持っていただいた方へ
リヴァトレでは随時、センター見学会やプログラム体験会を開催しています。少しでも興味を持っていただけた方は、実際にセンターに足を運んでいただき、雰囲気を知っていただければと思います。
また、「リヴァトレについて詳しく知ってから見学や体験をしたい」という方は、Web上で資料請求をすることができますので、ぜひお申し込みください!
荻野皓太 株式会社リヴァ 2021年度入社
社会福祉士/精神保健福祉士
同志社大学を卒業後、21卒として(株)リヴァへ入社。
在学中は支援職の道を志していたが、システムの力で福祉業界をより良くしたいという思いからエンジニアとして入社。請求・業務効率化ツール「ラシクラ」の開発を担当した後、現在はWebマーケティング全般に携わっている。