「社会の生きづらさや不安を和らげたい」2022年度リヴァ新卒社員インタビュー

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リヴァは2022年4月、涌井陽(早稲田大学文学部教育学コース卒業)と山口恵里佳(慶應義塾大学総合政策学部総合政策学科卒業)という新たなメンバーを迎えることになりました。そこで2人に、コロナ禍での学生生活や就職活動の様子、入社後の抱負などについて聞きました。

学生団体も課題は「モチベーション」

――お二人の学生時代について聞かせてください。涌井さんが一番頑張ったことは?

涌井 学生NPO農楽塾(以下、農楽塾)という農業系サークルでの活動です。3年生の時には代表を務めました。

農楽塾の活動の柱は、大学の構内にある田んぼと畑で稲や野菜を育てることです。近隣の小学校や保育園の子どもたちをそこへ招いて、田植え体験などのアクティビティを楽しんでもらったりもします。一方で、茨城や埼玉、山形などの農家さんを訪ねて、農業体験をさせてもらうという活動もしています。

――農楽塾に入ったきっかけは?

涌井 受験生時代、息抜きでよく「牧場物語」っていうゲームの実況動画を見ていたんです。その動画を制作しているのが、熊本で牛を育てている、本物の農家の方だったんですよ。すごく専門的な話をしながらゲームを進めていく様子を見ているのが本当に楽しくて、農業に興味を持ちました。それをきっかけに文系学生でも入れる農楽塾の存在を知り、そこに入ることを大学受験のモチベーションにしていたんです。

――実際に入ってみて、どうでしたか?

涌井 サークルの活動自体は楽しかったですよ。ただ代表になってからは、組織を運営する上での苦労もありました。メンバーが70〜80人いるサークルなので、みんなが高いモチベーションを持っているわけではなく、それをいかに高められるかが大きな課題でした。

結局のところ、全員のモチベーションを高めることはできませんでしたし、メンバーから「情報共有が足りない」など、代表としての至らない点を厳しく指摘されたこともありました。一方で、自分の働きかけによって何人か変わってくれた人や「農楽塾で活動できてよかった」と言ってくれた人もいて、その点は嬉しかったですね。

良かったことも反省したことも含めて、本当にいい経験をさせてもらったと思います。

――涌井さんは「WASEDA地域応援ネットワーク」という団体にも発足メンバーとして関わっているんですよね。

涌井 農業系や地域に根ざすタイプのサークルは学内でもいま一つ地味な存在で、知名度に欠けるんです。そこで農楽塾も含めた14団体の代表が集まって、相乗効果を生み出していけるようにと立ち上げたのが、WASEDA地域応援ネットワークです。この団体では学内で「ローカルフェスタ」というイベントを行いました。

――涌井さんは高校時代の文化祭でも(オープニングセレモニー・後夜祭支部の)リーダーを務められたそうですけど、組織を率いるのが得意なんですね。

涌井 どんな組織でも、リーダーの仕事に「完璧」はありませんし、大変な立場ですが、だからこそ楽しいし、成長し続けられるとも考えています。それで、組織の代表を選ぶような場面ではいつも立候補するようにしているんです。ただ、仕事や悩みを一人で抱え込みすぎて失敗することも多いので、その点は気を付けるようにしています。

――なるほど。では山口さんの学生時代の活動について聞かせてください。

山口 私は中学生の時に野球というスポーツを好きになり、マネージャーとして野球に関わりたかったのですが、通っていた中高一貫の女子校には野球部がなかったので「大学生になったら野球部のマネージャーになろう」と決めたんです。

大学の野球部のマネージャーって、いわゆる雑用みたいな作業をするだけではなく、文字通りにチームをマネジメントして、選手を支えていく役割を担っているんです。そのことを知って、ぜひやってみたいなと。中でも、推薦入学制度がなくて、経験などに関わらず誰もが活躍しやすい慶應大学の野球部に強い魅力を感じました。

――それで見事に入学されたわけですから、すごく意志が強いんですね。

山口 でも、いざ野球部のマネージャーの面接に行ったら、落とされてしまったんです。うまく受け答えができなかったからなのか、キャンパスが遠かったからなのか…。入学式の前なのに、すでに大学での目標を見失ってしまって、号泣しました。

――夢の実現まであと少しだったのに…それはつらい。どうやって立ち直ったんですか?

山口 湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)の学生には、自分のやりたいことを積極的に発信したり、いろんなことに挑戦していく人がすごく多くて、そういう姿を見ていたら「私も何かやってみよう」と思えるようになってきたんです。

私はずっと東京で育ってきたので「他の地方を見てみたいな」という思いもあり、芸術を活用した地域活性化に取り組んでいる団体に入りました。大学時代はこの団体での活動に一番力を入れましたね。

――活動の内容は?

山口 毎年夏に、茨城県ひたちなか市那珂湊地区を中心とする地域で「みなとメディアミュージアム」(以下、MMM)という地域芸術祭を開催しています。地域の方、学生・社会人スタッフや教育関係者、アーティストと関わりながら、芸術祭の企画・運営などを行っていました。

MMMを通していろんな人に出会えましたし、開催期間中は合宿のように、朝から晩までたくさんの人と寝食をともにして…すごく青春っぽくて、楽しかったですね。

ただ、涌井さんのサークルと同じく、私たちの団体も人によってモチベーションの高さがかなり違っていて、他にやりたいことを見つけて離脱する人も少なくありませんでした。その分、やる気のある人の負担が重くなり、疲弊していく…という状況で。

――メンバー間の温度差というのは、どんな組織でも大きな課題になりますね。

山口 私としてはミーティングを開催してみたり、困っていそうな後輩がいたら連絡してみたり…少しでも組織を活性化させられるようにと動いていました。

――山口さんはその団体の共同代表の他に、アコギサークルでも代表を務めていたそうですね?

山口 私は涌井さんみたいに「リーダーをやりたい」というタイプではないんですけど。3年生になって幹部を決めるときに、他に手を挙げる人がいなかったので、「やってもいいかな」と引き受けました。

アコギサークルの活動には、コロナ禍の影響がすごく大きかったです。メンバーはみんな、仲間と対面でコミュニケーションしながら演奏をすることに楽しみにしていたのに、そうした活動ができなくなったわけです。

そこで最初は「せめてみんなが集まれる機会をつくろう」とオンラインで話したりしていたんですが、後輩たちからは「音楽をしないんだったら、所属してる意味がない」と言われてしまって。

――運営する側としては厳しい指摘ですが、その方の気持ちも分かりますね。

山口 そのことで「自分で考えているだけでは、みんなが満足する団体はつくれないんだ」と気づき、メンバーにアンケートをとって、その結果に基づいて活動することにしました。

この経験から、私は組織づくりにも興味を持つようになりました。リヴァではまず運営組成部に所属することになっているので、改めていい組織つくりはどうすればいいのかを考えながら、試行錯誤していきたいと考えています。

リヴァの面談は「人として向き合えた」

――では就活活動について聞かせてください。

涌井 僕は休学を挟んで、2回就職活動をしています。1回目は大学3年生の冬、2019年の12月ぐらいから始めました。

それまでずっとサークル活動に熱中していたので、就活について「どんな会社に行きたい」とか「何がしたい」とか、何も考えていなかったんです。一応、有名な企業の短期インターンに行ってみたりはしたものの、余計に分からなくなって。一度落ち着いて考える期間を持とうと、休学することにしたんです。

それから1年くらいしてもう一度就活を始めた際には「大学で学んできた教育学を活かせるかもしれない」と、教育系の事業を展開している会社でインターンをさせてもらいました。

――インターンをしてみて、いかがでしたか?

涌井 オンライン学習教材を開発している会社など5、6社でお世話になったんですが…教育業界特有の情熱的なビジョンや理念のシャワーを浴びすぎたせいで食傷気味になったというか、「教育系はもういいかな」と思ってしまいました(笑)。

もちろん、教育自体への思いが薄れたわけではないんですが、同じ教育に携わるにしても、既存の教育産業に従事するのでなく、違う角度からアプローチする方法もあるんじゃないかなと。教育業界の大手企業から内定をいただいたんですが、それもお断りしました。

――その後の活動は?

涌井 自分の“軸”として「コミュニティづくりがしたい」というのが明確になってきました。人間関係には「企業と顧客」とか「教師と生徒」とかいろんな形態がありますが、そういう上下のような関係性ではなく、立場の垣根を越えてファンのように何かを応援できるようなコミュニティをつくりたいと考えるようになったんです。

そこで、そういう事業に取り組んでいる広告代理店などを検討している中、登録していた就活サイトに、リヴァからオファーのメッセージが届きました。

――リヴァからのメッセージで印象的だったのは?

涌井 「自分らしく生きるためのインフラをつくる」というビジョンに惹かれましたね。僕自身も結構、生きづらさを抱えていたので、共感を覚えたんです。

――いろんな団体でリーダーを務めてきた涌井さんが、生きづらいようには思えないんですが…

涌井 いや実は僕、人に気を遣いすぎてしまうタイプなんですよ。一人になると「これで良かったのかな」とか「あの話し方はマズかったかな」といつも思い悩んでしまいますし。リーダーとはいっても、自分がやりたいことを押し通すのではなく、誰かがやりたいと言ったことの応援ばかりしていました。最後に振り返って「結局、自分のやりたいことはできなかったな」と後悔したことが何度もあります。

――気を遣いすぎるようになった理由に心当たりは?

涌井 中学時代の経験が影響しているように思います。

僕は中学でも学年委員長などを務めていたんですが、その活動の中で先生にひどく怒られたことがあったんです。そこで求められていたのは先生の指示に従うリーダーだったのに、自分なりに考えて行動したことが裏目に出てしまって。それで、その怒られている様子を見た他の生徒から、「お前は学年委員長なのに、なに怒られてんだよ」というような、からかいを受けたんです。

自分としてはそのことがすごくショックで。以来、自分の意志で何かをやるより、他人が望んでいる「涌井陽」として振る舞った方が楽だと思うようになってしまいました。その出来事は僕の自己形成に大きな影響を与えたように思います。

――涌井さんにもそんな背景があったから、リヴァが掲げる「自分らしい生き方…」に関心を持ったんですね。山口さんはどのように就活をしましたか?

山口 最初は空間デザインなどを手掛けるディスプレイ業界の会社を目指していました。

芸術祭の運営団体での活動を通して「空間をデザインする仕事」に魅力を感じ、ディスプレイ業界の会社ならそうした仕事に関われると知ったんです。

――ちなみに、山口さんが一番好きな空間、建物は?

山口 その質問、ディスプレイ業界の選考でよく聞かれたんですけど、正直に言って特にないんですよね…。だから自分でも「空間デザインにそれほど思い入れがあるわけではないんだな」と考えて、改めて自分が何をしたいのか、見つめ直してみたんです。

その結果、私は「空間を作りたい」というよりも「不安を感じたり、落ち込んだりしている時に気持ちを切り替えるスイッチ」みたいなものがつくりたいんだ、空間はその一つに過ぎなかったんだと気付き、「気持ちを切り替えるスイッチを提供する仕事」を探すことにしました。

――気持ちを切り替えるスイッチを提供する…例えば、どんな仕事ですか?

香料を扱う会社とか、お花を扱う会社を検討したりしました。そんな時に、登録していた就活サイトに、リヴァからオファーの「自分らしく生きるためのスイッチをつくろう」というようなメッセージが届いて、「私のやりたい仕事はこの会社にあるんじゃないかな」と思ったんです。

――リヴァの選考はどんなふうに行われたんですか?

涌井 1次面接、2次面接、フォローアップ面談、最後が「リヴァでチャレンジしてみたいこと」をテーマにプレゼンをするという流れでした。フォローアップ面談というのは、先輩である若手社員の方がプレゼンに向けたアイデア出しの手伝いをしてくれるものです。僕は2月上旬に1次選考を受けて、3月の中旬にプレゼンを行いました。

――印象的だったのは?

涌井 代表の伊藤さんが担当してくれた1次面談ですね。伊藤さんはリヴァの既存事業ではなく、地域や農業についての思いを聞かせてくれたんですが、僕はそれがすごく楽しくて、一気に感化されてしまいました(笑)。

実際に奈良でムラカラという事業も展開しているわけで、「この会社なら地域や農業にアプローチできる可能性が大いにあるな」と思いました。

あと、フォローアップ面談のこともすごくよく覚えています。担当してくれた菅野さんと高階さん(いずれもラシクラ事業部)は、僕がプレゼンしたいと考えていることをしっかり聞いた上で、2時間くらいかけて丁寧にフィードバックやアドバイスをしてくださったんです。選考のフローなのに、機械的なところが全然なくて、「一人の人間として尊重されているな」と感じられましたし、きっと実際に就職しても働きやすいだろうなと想像することができました。

山口 私もリヴァの選考では「人として話してもらえているな」と実感することができました。会社によっては表面的な話しかできなくて、いかによく見られるかを競わされているように感じたこともありましたが、リヴァで面接を担当してくれた皆さんにはすごく良い印象を持ちました。

特に印象的だったのは、1次面接で大志万さん(運営組成部)が、一方的に話を聞くだけでなく、「自分も○○○な経験があって」とか「リヴァでは今後△△△をやってみたいと思っているんですよ」と、ご自身のことも話してくださったことです。面接官の人となりが分かったのはすごく大きかったですね。

――最後のプレゼンではどんな発表をしたんですか?

涌井 僕は悩みの多かった中学時代の経験をベースに、思春期の学生向けのコーチングサービスに関する提案をしました。発表後の質疑応答では鋭い指摘をたくさんもらい、何度も「確かにそうだと思います」と繰り返したのをよく覚えています(笑)。

山口 私はいろんなことに対して先回りをして不安を感じてしまうタイプなので「人を不安になる一歩手前で救うサービス」について発表しました。不安を全部取り除くのは難しいことですが、心の中に占める不安の割合を小さくしていくことはできると思うので、そうしたノウハウを、オウンドメディアを通じて社会に広く共有したり、Web上のサービスを開発できたらいいんじゃないかなと。

――内定の連絡を受けて、すぐに承諾したんですか?

涌井 他の会社からも内定をもらっていたので、1か月くらい迷いました。最後は「自分らしさを活かして働く」という点ではリヴァが一番だろうと思えたので、入社することにしました。

山口 私は一次面接の直後くらいから「リヴァで働こう」と決めていたので、内定をもらった時点で他社の選考を辞退しました。リヴァなら「一緒に働きたい人がいる」「取り組みたい仕事がある」と、入社したい理由が明確に言えるなと思えて、それが決め手になりました。

内定を得た2人が明かす「就活のコツ」

――お二人は入社前からインターンとしてリヴァで働いているんですよね。

涌井 僕は今年(2022年)の1月から新卒採用関連業務とラシクラ事業部の業務を担当しています。新卒採用では、グループ説明会の企画から進行までを任され、23卒学生へスカウトを送る業務も行いました。ラシクラ事業部では「あそびの大学」という趣味がないことに悩む20代社会人向けの新サービスの企画・運営を担当しています。

まだどんな作業にどれくらいの時間がかかるかを掴めていないので、スケジュールを立てても、その通りに進められないことが多いです。社会人の洗礼というのか、いろんな壁にぶち当たっています(笑)。

でも、いろいろやらせてもらえるのはとても楽しいです。新規事業では業務内容が確立されていない状況ながら、上長から「この部分を企画からやってみない?」「あの部分の進行を任せた!」と裁量権のある仕事を頼まれるんですが、新しいことに挑戦することが好きな自分には、その感じがとても心地いいんです。

山口 私は昨年の夏からパンフレット制作を手伝ったりしていて、今年1月からは涌井さんと同じく、新卒の採用業務を行っています。

もちろん、うまくいかないこともたくさんありますが、それをどう改善するかと考えるのが好きなので、基本的にすべての仕事が楽しいです。

あと、研修としてリヴァトレのプログラムを体験しましたが、精神疾患を持っていない人にも役に立つ、いいサービスだなと感じました。

――4月からはいよいよ正式にリヴァの一員となるわけですが、それぞれ抱負を聞かせてください。

涌井 いま準備をしている新規事業を成り立たせるために、自分ができることを全力でやっていく。そして、自分自身が「地域」「農業」をキーワードとする新規事業を立ち上げる。この2つのことに、取り組みたいと思っています。

山口 私が取り組みたいのは「良い組織づくりのための試行錯誤とその体系化」です。伊藤さんとの面談の中でも、リヴァはまだまだ改善の余地のある組織だということだったので、働く人がより楽しいと思える組織にしていきたいですし、その方法を言語化できたらいいなと思っています。

また将来的には、リヴァトレのスタッフが持つ知見などを生かして、精神疾患の方に限らず、より幅広い方を対象としたセルフケアに関するサービスやコンテンツの提供に携わりたいという思いもあります。

――では最後に、就活中の学生の皆さんにメッセージを。

山口 就活で目指すべきゴールは「本当に自分と合う会社を探すこと」だと思います。私もいわゆる「お祈りメール」をもらって落ち込んだこともありましたが、そんな結果によって自分を貶めるのではなく、「この会社と自分は合わなかったんだな」と考えれば、就活はもっと楽になるはず。皆さんがそれぞれに合った会社を見つけられることを願っています。

涌井 僕は「就活は人を頼ってやるのがいい」と思っています。例えば、自己分析も一人でやるのではなく、誰かに聞いてもらえば新しい発見が得られるかもしれない。もし志望する企業に入れなかったとしても、誰かに聞いてもらえば悲しい思いも和らぐでしょう。就活は「協力プレイ」だと考えて、ぜひ周りの人の助けを借りてください。

――なるほど。今日はありがとうございました。

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この記事を書いた人
野村 京平 株式会社あどアシスト コピーライター

1977年三重県生まれ。銀行→広告会社→うつ(リヴァトレ利用)→広告制作会社(現在)。消費者のためになった広告コンクール、新聞広告賞、宣伝会議賞等を受賞。一児の父。

Web:https://www.ad-assist.co.jp/

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