目次
PSW座談会:参加者プロフィール
テーマ1:入社した理由
入社の経緯は“四者四様”
未経験からの転職でも問題なし
松浦:今日はリヴァトレ品川センターで働く精神保健福祉士(以下、PSW)に集まってもらいました。
一同:よろしくお願いします。
松浦:最初のテーマは「入社の経緯」です。私については、以前の対談記事でご紹介していますが、双極性障害を患う利用者としてリヴァトレに通い、利用終了後にスタッフになりました。前職でも福祉事業を展開する会社に勤めていたのですが、Webサイトの運営と広報を担当していて、直接支援の仕事をしていたわけではありません。PSWの資格はリヴァに入社して4年ほど経ってから取得しました。細海さんも私と同じく、違う職種から転職されてきたんですよね?
細海:はい、前職はIT企業に勤務していて、支援の仕事は全く経験がありませんでした。大学で心理学系の学問を専攻してはいたのですが、「これを仕事にするのは難しいな」と感じたので、卒業後は一般企業に就職したんです。
松浦:なぜ難しいと思われたんですか?
細海:授業中に感動してすぐ号泣したり、冷静でいられなくなったりしたので「心理職には向いていないのかなぁ」と・・・。
松浦:感情移入しやすいタイプなんですね。
細海:でも東日本大震災が起きた時に、「明日、日本が無くなるかもしれない。それならやっぱり、本当にやりたかった心理職に就きたい!」と思ったんです。それで、働きながら少しずつ気になる会社を探して、面接を受けたりしながら数年を過ごしました。
松浦:どんな会社を検討されたんですか?
細海:海外の社会教育メソッドを日本で展開している会社や、経営者向けの教育コンサルティング会社などです。
松浦:そうした会社の中からリヴァを選んだ決め手は?
細海:当時採用を担当されていた仲井眞さん(現在は市ヶ谷センターで勤務する同僚)と面接して、「この人と働きたい!」と思ったんです。彼女の「私はリヴァトレ利用者の皆さんを尊敬しているんです」という言葉に感動して。そんな気持ちで働けるって素敵だなと。
松浦:「支援する人とされる人」ではなく、お互いが尊重しあう関係に魅力を感じたんですね。
細海:入社後は「周りに比べて知識と経験が足りていない」という焦りがありました。丸腰で利用者さんと向き合っているような気がして。それで、入社初年度は産業カウンセラー、その次の年はキャリアコンサルタントの資格を取得して、その勢いでPSWを取りました。
松浦:なるほど。大倉さんは、入社時にはすでにPSWの資格を持っていましたよね?
大倉:大学で臨床心理学を学んだ後、一般企業で働きながら、PSWの専門学校へ通い、資格を取ったんです。
松浦:PSWの資格を取ろうと思ったのはなぜですか?
大倉:心理系の仕事につながる資格の中では、取得するための経済的負担が最も軽かったことですね。
渡邉:それは結構重要な条件ですよね。
大倉:資格取得後は、まずクリニックに勤めました。いまから10年以上前ですが、当時は就労移行なども今ほど数が多くなく、専門学校を卒業してからの進路は、入院設備のある病院勤務やクリニックの受付、デイケア、公務員などが主な選択肢でした。
松浦:クリニックでの仕事はどうでしたか?
大倉:当然ですけど、患者さんとの関わりが、受診される非常に短い時間に限られます。私は「もっと深く関われる環境で働きたい」と思うようになり、2つのクリニックで働いた後、生活保護を担当する公務員へと転職しました。私は、生活保護受給者の方がまた働けるような心身の状態になるよう、助けになりたいと思っていましたが、なかなか難しい仕事でしたね。やはり根本的な課題解決のためには、生活保護を受給する前の段階でのアプローチが大事だなと・・・。
松浦:それで、リヴァの面接を受けたわけですね。
大倉:はい、求人サイトで目にした「くすぶっている人募集!」というキャッチコピーに惹かれました。それに高田馬場センターであれば当時の自宅から通いやすくていいなと。でも、入社後実際に配属されたのは、御茶ノ水センターだったんですけど(笑)。
渡邉:私も前職が大倉さんと同じく公務員、かつ生活保護の担当でした。保護を受ける要件を満たしているかを確認するため、金融機関の口座の調査やご家族への連絡業務を行い、対象者には保護費を支給し、家庭訪問して・・・といった具合です。
松浦:渡邉さんは、福島県いわき市の職員だったんですよね?
渡邉:はい。当時、東日本大震災後で仮設住宅が増え、生活保護率も急激に上昇したんです。ご遺体を目の当たりにすることもあるハードな仕事ではありましたが、職場環境は良かったし、私自身はその仕事が好きだったんです。受給者の生活に直接介入していくので、その方と密接に関わることができましたし。
松浦:好きな仕事だったのに、なぜ辞めようと?
渡邉:例えば、受給者の方が新しいテレビを買った時、その費用の捻出経路を聞かないといけないんです。本来なら働き盛りであるはずの人が、私みたいな若いスタッフにそんな細かいことまで聞かれてどういう気持ちになるのかな・・・と思うようになって。田舎なので「生活保護を受けていること自体が恥」という雰囲気もありましたし、生活保護の前段階でもっと人と関われる場所があればと思い、転職を決めました。
松浦:リヴァにはどのような経緯で?
渡邉:最初は東北地方の病院のリワークなどを探していましたが、これから別の場所に行くなら、やはり勉強会なども多い東京かなと。リヴァの求人は偶然求人サイトで見つけたのですが、その際の募集資格が「福祉職の経験5年以上」。私はその時4年しか経験がなかったので、いったん諦めました。でも、ある病院から内定をもらって、前職を辞める時期が迫った頃、やはりリヴァが気になってしまい、直接連絡して面接を受けたんです。
テーマ2:入社後の仕事
前職とのギャップに戸惑いつつも
「やりたいことが形にできた」
松浦:次は「入社後の仕事」について。私は現場のプログラム担当や、利用者の方との個別面談、さらにスタッフ採用の面接官も担当しました。また、一連の支援業務と合わせて入社以来ずっと広報業務を担当し、社会におけるリヴァの認知を高める活動や、FacebookやTwitterなど、SNSの運用も行っています。
細海:私もプログラムの担当や利用者の方との個別面談をやっています。さらに、利用者の方々の再就職先の企業面接や通院先の病院へ同行することもあります。最近は外部とのコネクションづくりを意識していて、積極的にセミナーやワークショップに出向き、面白そうな人やリヴァに共感してくれそうな人とのつながりをつくるよう努めています。
大倉:私はサービス管理責任者として御茶ノ水センターで2年ほど勤務した後、高田馬場センターを経て、いまは品川センター勤務です。心理系プログラムをメインに担当していますが、それが元々自分の望んでいた仕事だったので、すごく嬉しいですね。産業カウンセラーの資格やこれまで勉強してきたことが生かせるポジションだと思っています。
松浦:とはいえ、前職と全く同じ仕事ではないですよね。何か具体的な違いなどは?
大倉:1対1でのコミュニケーションが多かったこれまでと違い、リヴァトレでは大勢の利用者の方々を前に話すことが多いので、初めの頃はすごく緊張しました。いまは克服しましたけど、元々は人前で話すのがすごく苦手で・・・。周りからよく「声が小さい」と言われたので、実は陰で発声練習までしたんですよ。
松浦:別の業界から転職された細海さんは?
細海:最初はものすごく戸惑いましたよ!企業文化が全然違ったので・・・。これまでの業界は非常にシステマティックでしたが、リヴァトレではアナログで管理されていることが多かったので、違和感がありました。休憩時間も定められているとはいえ、利用者さんとの急な面談など、十分に休めない時もあり、初めの頃は相手のペースに巻き込まれているという気持ちから、かなり疲れていましたね。でも、この疲れは前職のそれとは質が違うなとも感じていて。
松浦:疲れの質が違うというのは?
細海:リヴァトレでの疲れは知識や経験不足、企業文化の違いからきているので、自分の働きかけ次第で何とか消化できるかなと。例えば、昼食時に利用者さんから話しかけられても、本人の状況や課題から今すぐに話を聞くか、食事が終わってからでもよいですか?と尋ねるかを判断できているため、休憩時間を確保しながらも、必要な場合は納得して対応ができています。
松浦:大倉さんは同業界からの転職ですが、何か感じたことは?
大倉:私の場合は、色んな業種を経験してきたスタッフを採用しているからこそ、知識量や専門性の違いに少し驚きました。だからこそ、スタッフ間での知識の共有は必要ですし、教育制度がさらに拡充するともっとよくなると思っています。そのため最近では、有志での勉強会を企画していたりしますね。
松浦:渡邉さんはどうですか?
渡邉:私が入社した頃は、体験利用や見学に来ている人が多くてすごく忙しかったせいか、教育らしい教育がなかったように記憶しています(笑)。
大倉:でも、みんな入社したときは似たような感じだったよね(笑)。
渡邉:会社での手厚い教育に慣れてきた人は、リヴァのOJT に驚くかも知れません。それと、前職は「指導者」というスタンスで人と関わっていて、いまは指導者でも家族でもない、「ちょうどいい距離感」で利用者の方々と関わりたいと思っているのですが、それが思うように出来なくて・・・。自分の中でのギャップがなかなか埋まらないですね。
松浦:逆にリヴァで初めて経験できたことなどは?
渡邉:前職では、上長の承認や色々なプロセスを経てやっと自分の申請が通ったり、事務規定も非常に厳しかったので、自分だけでは出来ないことがたくさんありました。でも、リヴァでは自分がこれをやりたいと手を挙げたら「とりあえずやってみなよ」と言ってもらえる自由さがありますね。昨年10月に開催したリヴァフェス※では運営スタッフをやりましたが、自分たちでやりたいことを形にさせてもらえたなと思います。
テーマ3:仕事のやりがい
「絶望」から未来を見出すまで
人生の岐路に関われるよろこび
松浦:PSWとして、リヴァで働くことに対してはどんな思いがありますか?
細海:私は日々喜びがありますよ!心理系のワークを有資格のスタッフが担当しているのを見て、自分もやってみたいと思い、今ではファシリテーターも出来るようになりました。それはPSWの資格を取ったからこそだと思いますね。仕事の幅も広がりましたし、自分の本当にやりたい仕事に近づけている実感があります。
松浦:大倉さんはどうですか?
大倉:クリニックだと、申請書類の手続きなど事務仕事が多いんですが、そういう仕事はあまり好きじゃないんです。リヴァトレでは人と関わることをメインにして仕事ができるのがすごく良いですね。
松浦:利用者の方々と向き合う時間が増えたと?
大倉:一緒に過ごす時間や期間が長いので、皆さんの変化をしっかりと感じることができています。心理系プログラム以外にもダイアログやグループワークなども担当するので、多角的な面から皆さんの様子を見ていけますし、これがリヴァならではのやり方ではないでしょうか。
松浦:やりがいは感じますか?
大倉:そうですね。リヴァに来た当初は何も定まらず、もう社会復帰できないのではと絶望していた利用者の方々が、ここで色々な人との関わりを経て、それぞれが自分の未来を描けるようになっていきます。私たちが再就職を無理強いするということは決してなく、最終的に自分で再就職先を決めてリヴァを退所していかれます。そういった場に共に立てているという点に非常にやりがいを感じますね。
松浦:これまでに担当した利用者さんの変化で印象深かった出来事などはありますか?
大倉:リヴァトレを中途退所した後に、ご自身で再就職をされる方もいるのですが、そのような方たちからご連絡をいただくことがあります。その際に、「リヴァトレに通って良かったです。自分の『戻ろう、ではなく、進もう。』(リヴァトレのスローガン)は~という感じで実現できています」と近況報告してくれる方たちもいて。中途退所されたとしても、リヴァトレでの経験は将来的にその人自身に生かされていくのだなと感じることができましたね。
松浦:渡邉さんはどうですか?
渡邉:この業界で働くのが初めての人に対して、自分の持っているPSWの知識を伝える機会があるのは学んできたことを自分の中でもう一度掘り起こす機会にもなるので良いですね。また、私は色々な人と関わりたいと思っているのですが、社内でも色々な背景を持つスタッフと関わるチャンスがたくさんあります。それに、仕事だけではなく、自分の人生の視野が広がってきているなと感じていますね。松浦さんはどんな時にやりがいを感じますか?
松浦:リヴァトレには「職種資格研究発表会※」というプログラムがありますが、私はそれが結構好きで。というのは、このプログラムでの発表をきっかけに、利用者の方が再び自分に自信を取り戻し、将来の夢や方向性を定めていかれることが多々あります。利用者の方の夢が実現していく過程に自分が少しでも関われているというのは、非常にやりがいを感じますね。
テーマ4:福利厚生・企業風土
入社後の資格取得も可能
各人のキャラクターが生かせる職場
松浦:リヴァの「社風や職場環境、福利厚生」などについてはどんな印象を持っていますか?
細海:私は、JMファンド※が非常にありがたい制度だと思っています。PSWの費用の半分は会社で補助してもらいましたし。更に、私は実務経験が1年以上あったため「実習なし」でも受験資格を満たしていたのですが、周りスタッフの勧めもあって敢えて「実習あり」のコースにしました。実習に出るためには結構な日数、会社を休む必要があったのですが、皆さん嫌な顔ひとつせずに快く送り出してくれて。私の穴埋めをするスタッフは大変だったと思いますが、そういうサポートも本当にありがたかったです。それに、リヴァカレ※も用意されているので、むしろ教育体制は手厚いのではと感じましたね。
松浦:私もJMファンドを利用してPSWを取りました。自分自身が当事者でもあったので、入社時はピアサポーター※という位置づけだったんですが、逆にそれだけでは行き詰まりも感じて。私も自分の知識が体系立っていないと思い、まずは産業カウンセラーを、そしてPSWを取得しました。
細海:そういう意味では、リヴァは入社してから資格取得にチャレンジできる環境ではありますね。
松浦:そうですね。加えて、私は入社してから資格を取って良かったと思います。目的がわからなくて学ぶのと、現場を知ってから学問に関わるのでは、知識の入り方が全然違いますから。
細海:外部のワークショップで出会った人たちと名刺交換をすると、「リヴァを知っている」と言われることが多いですね。特に福祉業界の方々からは好意的な印象をお持ちいただいていることも多くて、それがすごく嬉しいですね。
大倉:社風で言うと、スタッフは個性的な人が多いですね。いい意味で、それぞれが自分のキャラクターを生かしながら仕事ができる、すごく面白い環境だと思います。そして、それができるのは自分のやりたいことをやりたいと言える企業風土がベースにあるからだと思うんですよね。
松浦:世の中には派閥が存在する職場もあったりしますけど・・・。
大倉:リヴァにはありませんね。あと、社歴や年齢、資格の有無による上下関係もない。風通しも良くて、みんな自由ですよ。
松浦:職場で嫌なストレスは感じていないですか?
大倉:それはないですね。センターごとに、6~7人の少人数で日々働くことにはなりますが、それでも嫌な人ってほぼ皆無ですし、スタッフ同士は仲が良いと思います。
松浦:休暇の取りやすさなどについてはどうですか?
大倉:現場の人数の関係もあるので気兼ねなく休むことはできませんが、福祉関連の会社は概ねどこでもそういう状況ですよね。私がリヴァに転職してきた時、子供がまだ1歳だったんです。お休みすることも多くて、申し訳ないなと思う気持ちはもちろんあったのですが、周りのスタッフが嫌な顔をせずに代打を引き受けてくれたり、色々サポートしてくれて、本当にありがたく思っています。
松浦:渡邉さんはどうですか?
渡邉:私は転職の際に、休みがきちんととれる環境かどうかという点を重視しました。自分の気持ちに余裕がないと、誰かの話を聞いたり、支援をしたりすることは難しいし、私の性格上、自分の時間を確保してリフレッシュさせることが必要なんです。その点、リヴァではきちんとお休みを確保させていただいていて、昨年末には長期休暇も取得できたので、ありがたいなと思います。
リヴァに入社を希望・検討されている方へのメッセージ
松浦:では、最後にリヴァに入社を希望・検討されている方にそれぞれメッセージをいただきたいと思いますが、まずは私から。リヴァでは、心理職やPSWの資格を持っていることが入社の絶対的条件ではありません。それよりも、リヴァのビジョンに共感できて、状況に合わせてケース・バイ・ケースで動ける、「柔軟な中に自分の芯がしっかりある人」がマッチするのではないかと常々感じています。
細海:私は「興味があればまずは行動に移してみた方がいい」と思っています。社風や職場環境が合うか合わないかは人によると思うので、実際にリヴァのスタッフに触れてみて判断してもいいのではないかと。
大倉:「人と関わる時間、利用者の方々と触れ合う時間を増やしたい」と考えているなら、リヴァはとてもいい職場だと思います。そんな人には、一度面接を受けてみることをお勧めします。
渡邉:現状に「ちょっと物足りないな、こんなことをやってみたいんだけどな」と考えているようであれば、一度見学しに来てほしいですね。一般的に、就労支援や福祉関連施設では、問題の原因に目を向ける「問題解決思考」という考え方が一般的なのですが、リヴァトレの場合は、未来に焦点を当てていく「未来志向」を重視しています。「戻ろう、ではなく、進もう。」というリヴァのスローガンがそれを端的に表していますね。一度リヴァトレに来てみると、「こういう福祉のやり方があるんだ!」ということを肌で感じてもらえるのではないでしょうか。
松浦:なるほど。皆さん、本日はおつかれさまでした!
東京生まれ。長年にわたり、マーケティング・コミュニケーション分野に従事。EAP業界での勤務経験あり。現在はパラレルワークを実践中。趣味は旅行と食べ歩き。