【休職・離職期間の過ごし方】焦って復帰する前に。「“こうしなきゃ”以外の選択肢」を見つけるプログラム『イキカタサガシ』とは?

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メンタル不調で休職・離職する中で、「休んでいることへの罪悪感」や、「早く“元の自分”に戻らなくては」という焦りを感じる方も多いと思います。

しかし、ご自身の心と向き合う時間を十分に持たずに復帰を急ぐと、再発リスクが高まるという側面もあり、事実うつ病は再発しやすく、その確率は約60%とも言われています。

だからこそ、休職・離職期間を休養や充電のためだけでなく、一度立ち止まって、これからの働き方・生き方を見つめ直すための、貴重な時間と捉えることもできるのではないでしょうか。

私たちリヴァの社会復帰支援「リヴァトレ」が、元の職場に「戻る」ことや新たな職場探しだけをゴールとせず、その人らしい未来へ「進む」ことを大切にしているのも、そのためです。

では、自分の納得できる未来へ進むためには、一体何が必要なのでしょうか。

【休職・離職期間の過ごし方】ゴールは「社会復帰」なのに、なぜわざわざ“地方”へ?

納得できる未来に進むヒントを見つけるためには、まず自分を縛る「当たり前」から、一度物理的に距離を置いてみる必要があるのかもしれません。

見慣れた景色の中で、毎日同じように支援施設へ通う。その繰り返しだけでは、新しい生き方のヒントを得るのは、なかなか難しいことです。

そこで生まれたのが、生活圏を離れた場所で自分を見つめ直すプログラム「イキカタサガシ」です。

このプログラムの目的は、移住や転職を勧めることではありません。慣れない土地での暮らしや出会いを通して、想像もしなかった選択肢の存在に気づくこと。そして、広がった視野の中で、改めて「自分はどう生きたいのか」と向き合うきっかけを提供すること。

それこそが、イキカタサガシが最も大切にしている役割です。

これまで千葉県匝瑳市や奈良県下北山村、高知県四万十町などでイキカタサガシを実施してきたのですが、参加された方からは、次のような感想が寄せられています。

参加者の声

  • それほどお金をかけなくても、楽しいことは自分で生み出せると感じた。
  • やりたいと思い描いてもチャレンジする前に、諦めていたことに気づいた。地域で出会った人のようにやりたいと思ったことに挑戦してみたい。
  • 田舎にはネガティブなイメージがあったが、考えが少し変わった。今後も都会で生きていくつもりだが、「将来はこういう場所に住む選択肢もあるかもしれないな」と自分の可能性が広がった気がする。

【イキカタサガシの例】高知県四万十町で過ごした、とある一日

実際のイキカタサガシとはどんな取り組みなのか。2025年2月に高知県四万十町で開催した回を例に、スケジュールや体験のポイントをお伝えします。

【とある一日のスケジュール例】

08:30 仕事体験(例:農家さんのお手伝い、栗の木の剪定など)
12:00 昼食・休憩
14:00 自由時間(例:カヌー体験、森の散策、自室で休憩など)
19:00 夕食
20:30 イブニングミーティング
21:30 解散・自由時間

ポイント1. デジタルから離れ、土や人と触れ合うことで再発見する「はたらく喜び」

高知県四万十町では、特産品である生姜を洗う作業や栗の木の剪定など、地域に根差した「仕事体験」を行います。

一日中パソコンと向き合う仕事に慣れた方にとって、身体を動かす作業は特別な意味を持ちます。水の冷たさや泥の匂いを感じながら生姜を洗う作業に没頭すると、泥だらけだった生姜がどんどん綺麗になっていく。「今、ここ」に集中できる感覚や目に見える成果があることは、確かな手応えに繋がります。

それだけではありません。仕事を頼まれる際の「これお願いね」、終わった後の「ありがとう」という直接的なやり取り。農家の方から「休憩しましょう」と声がかかり、自然と生まれるおしゃべり。その一つ一つに、デジタルのコミュニケーションにはない温かさを感じさせてくれます。

普段の仕事で求められる効率や生産性とは違う、「はたらく」こと本来の楽しみや手応えを再発見する。それが、仕事体験の提供する価値だと私たちは考えています。

ポイント2. 履歴書に縛られない、多様な生き方に出会う

地域でユニークな働き方を選択している方々との出会いもイキカタサガシの魅力の一つです。

高知県四万十町で、私たちは「役所の仕事を辞め、ケーキ屋さんを始めた方」「未経験からアウトドア事業に挑戦している方」「地域おこし協力隊から鍛冶職人になった方」たちと出会いました。

目の前の仕事に追われ、年齢と共に責任や立場が変化してくると、つい「これまでの経歴」や「今できること」に縛られて、「やってみたい」「ワクワクする」という素直な気持ちを抑え込んでしまいがちではないでしょうか。

勇気を出して一歩踏み出し、自ら選んだ人生を歩まれている方々と交流する。その時間は、「自分はこんなに視野が狭くなっていたんだ」と、凝り固まっていた考えに気づくきっかけにもなりえます。

ポイント3. 日常では抑えがちな、「やってみたい」の感覚を大事にできる

滞在中の予定は、参加者一人ひとりの希望を丁寧にヒアリングしたうえで、決めていきました。

仕事をしていると「やるべきこと」に追われ、自分の「やってみたい」という純粋な気持ちは、つい後回しにされがちです。「いつか時間ができたら」と思っていても、その「いつか」は、なかなかやってきません。

だからこそ、休職・離職という仕事から離れられる時間は、自分の心に正直に、やってみたいことを実現するチャンスとも言えるのではないでしょうか。

実際に今回のイキカタサガシでは、「カヌーに乗ってみたい」という希望から、雄大な四万十川でカヌーを体験した方もいれば、「自然の中でただゆっくりしたい」と言って自由気ままに散策する方もいらっしゃいました。

頭で考えた「やるべきこと」ではなく、心が求める「やってみたい」を素直に実行する。その小さな成功体験の積み重ねが、正直な自分と向き合い、これからの働き方・生き方を見つめ直すきっかけになると考えています。

【参加者の声】プログラムを通じて見つけた「3つの変化」

高知県四万十町での体験は、参加者にどのような変化をもたらしたのでしょうか。実際にイキカタサガシに参加されたAさんに話を聞いてみました。

①支援者の「リアルな暮らしぶり」に、生きるヒントがあった

Aさん:宿泊を伴うイキカタサガシには、普段の通所とは異なる気づきがありました。それは、リヴァトレの支援スタッフの方々も「支援者」である前に、一人の「生活者」なのだと感じられたことです。

現地では、スタッフさんが早朝からマインドフルネスに取り組む姿や、日常の小さな楽しみを見つけて生活に取り入れる様子など、施設内でプログラムを受ける中では見ることができない一面がありました。

その姿を間近で見るうちに、「ああ、支援者の方々もストレスや課題がゼロなのではなく、日々自分の機嫌を取る工夫をしているんだ」と、すとんと腑に落ちたんです。

プログラムで学ぶストレス対処やセルフケアは、大切だと分かっていても、実際の生活で定着させるにはハードルが高いと感じていました。

しかし、スタッフさんが日々実践する姿から、無理のない取り入れ方が分かった気がします。またそれと同時に、復帰に対する考え方も変わりました。

症状やストレスをゼロにするのではなく、病気と付き合いながら「工夫を続けていくこと」。それが本当の意味での復帰なのだと気づけたのは、私にとって大きな収穫でした。

②いつもの自分ではできないことも、安心して試せる場所

Aさん:普段の私は、人前で自分の意思を伝えるのが苦手なタイプで、やってみたいことを伝えることにはハードルを感じていました。

ただイキカタサガシは、いつもの生活圏や人間関係から離れた「期間限定」の環境。「ここでなら失敗しても大丈夫」「どう思われても関係ない」と、割り切ることができたんです。

その気持ちを後押ししてくれたのが、毎晩行われる「イブニングミーティング」でした。

やってみたいことを参加者それぞれが提案できる時間が設けられているのですが、私はそこで「滞在期間中に誕生日を迎えるんです」と伝えてみたんです。すると、参加していたメンバーやスタッフの皆さんが当日お祝いしてくれて、「言ってみて本当に良かった」と嬉しくなりました。

普段の自分なら絶対にできなかった、苦手なことへの小さな一歩。やってみたいことを素直に口に出して、実現できた経験は自信になりました。

③自然の中で学んだマインドフルネスが、睡眠を変えた

Aさん:心身に最も具体的な変化をもたらしたのが、睡眠でした。

四万十の自然に囲まれながら、スタッフの方とマインドフルネスを体験したんですが、そこで「呼吸ひとつで、こんなにも心が落ち着くのか」と、大切さを肌で感じることができたんですよね。

そして、普段の生活に戻ってからもマインドフルネスを継続をしたことで、長年の課題だった中途覚醒が減り、睡眠の改善を実感しました。

生活をともにするイキカタサガシだからこそ、自分の課題と向き合い、改善していこうというモチベーションが生まれたと感じています。

【よくある質問】知らない場所で、知らない人と過ごすのは不安

実際に開催されたイキカタサガシの様子をお届けしてきましたが、地域での体験に興味はあるものの、知らない場所で、知らない人と生活をともにするのは不安を感じられることと思います。

そこで、参加を検討される方からよくいただくご質問に高知県四万十町でのイキカタサガシの事例を想定して、お答えします。

Q1. 初めての人との共同生活や作業に不安があります…

A. 新しい環境や人間関係に不安を感じるのは当然のことです。イキカタサガシには、リヴァトレスタッフが必ず同行しますので、相談をしながら過ごしていきましょう。

仕事体験などのプログラムは体調を最優先に考え、相談をしながら、お休みしたり内容を変更することも可能です。ご自身のペースで無理なく参加いただければ幸いです。

Q2. 一人の時間はありますか?部屋は個室ですか?

A. プライベートな時間も確保できるよう、お部屋は個室を基本としています。夕食後のイブニングミーティングが終わるのが21時頃なので、その後や朝食前の時間など、自室でゆっくり過ごす時間が十分にあります。

Q3. 現地での食事はどうするのですか?

A. 朝食と夕食は、滞在先の施設で皆さんで協力して用意することが多いです。ただ、自分ですべて準備をする必要があるわけではありません。

今回のイキカタサガシでは、料理好きなスタッフが腕を振って、それ以外の方がサポートをするといった、無理のない形で話し合いながら準備をしていました。

昼食は仕事体験の場でお弁当をいただいたり、各自で購入して食べるなど、その日の活動内容によって判断してお伝えします。

Q4. 費用はどのくらいかかりますか?

A.  イキカタサガシへのご参加費用は、以下の3つで構成されます。

①実費負担金: 宿泊費・食費など(例:5,000円/日(2025年2月実施時))
②現地までの交通費: ご自身で手配・ご負担
③リヴァトレ利用料: 下記の仕組みに基づいて算出

リヴァトレ利用料ですが、こちらは障害福祉サービスの制度が適用されるため、自己負担額は1割に軽減されます。

具体的には、前年の世帯収入に応じて月の自己負担上限額が以下のように決まっております。利用上限額の範囲内で、参加日数分の日割り料金をご負担いただく形になります。

世帯収入 利用料上限
収入なし もしくは市町村民税非課税世帯
(収入が概ね300万円以下の世帯)
0円
収入が概ね600万円以下の世帯 9,300円
それ以上の収入 37,200円

※現地での移動(レンタカーなど)は、こちらで手配しますのでご安心ください。
※ご自身の正確な費用は個別にご説明しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

さいごに:休職・離職中の過ごし方に悩まれている方へ

メンタル不調で休職・離職する中で、「休んでいることへの罪悪感」や、「早く“元の自分”に戻らなくては」という焦りを感じている方に向けて、イキカタサガシというプログラムの紹介をさせていただきました。

このプログラムの目的は、単にリフレッシュするだけでなく、慣れない土地での出会いや体験を通じて視野を広げ、「今の自分には、想像しているよりも多くの選択肢があったんだ」と実感していただくことです。

もし今、ご自身の現状にモヤモヤとした違和感を抱えていたり、何かを変えるきっかけを探していたりするようでしたら、ぜひ参加を検討いただけると嬉しいです。

イキカタサガシを運営しているリヴァトレでは、休職・離職期間だからこそ向き合える「復帰後を想定した生活習慣」「疾病・ストレスへの対処法」「職場で働く力の回復・向上」「働き方・生き方の再構築」をテーマに、幅広いプログラムを提供しています。

ご自身のお悩みや状況に合わせて、まずは週2から通所を開始して、無理のないペース復帰を目指すことができますので、ご興味のある方は以下資料請求またはオンライン説明会や見学にお申し込みください。

まずは無料パンフレットをご覧ください

リヴァトレは、うつなどのメンタル不調でお悩みの方の復職・再就職をサポートするリワークサービスです。

復帰に向けて行う取り組みについて、無料パンフレットでわかりやすくご紹介しています。

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この記事を書いた人
藤賀樹

株式会社リヴァ ブランディング部

2000年東京都生まれ。休学を経て早稲田大学を卒業後、25卒として(株)リヴァへ入社。ブランディング部にてインタビュー記事作成や動画編集など、主にコンテンツ制作に携わる。

好きな瞬間は「モヤモヤすることの背景をうまく言葉にできたとき」。

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