日中もずっと寝てる…それってうつ病?過眠とうつ病の関係性や生活リズム改善のポイントを解説!

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日中の多くを寝て過ごしてしまう…その状態に悩む方もいらっしゃるのではないかと思います。特に、うつ病による過眠症状が原因となるケースがあります。

本記事では、うつ病と過眠の関係性や、生活リズムを改善する方法について解説します。また、うつ病による休職・離職から復帰を目指す方へ、リワークプログラムの活用方法もご紹介しますので、ぜひご覧ください。

うつ病と過眠の関係性は?

過眠は、うつ病に伴う代表的な症状の一つです。単なる疲労回復ではなく、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることが関係しています。具体的には、セロトニンやメラトニンといったホルモン調整が乱れ、十分な睡眠をとっても回復感が得られない場合があります。この状態が続くことで、さらなる気力低下や社会復帰への不安が増幅し、悪循環に陥る可能性もあるでしょう。

参考資料:健康づくりのための睡眠ガイド 2023(厚生労働省)

正確なうつ病の診断を受けるためには医療機関の受診が必要ですが、まずはご自身の状況を把握するために、うつ病の簡易チェックリストでセルフチェックしてみましょう。

【うつ病の簡易セルフチェックの例】

  • 眠るのに時間がかかる
  • 寝ている間によく目が覚める
  • 朝、早く目が覚めすぎてしまう
  • 昼までずっと眠りすぎてしまう
  • 悲しい気持ちが続いている
  • 以前に比べて食欲が減った、または増えた
  • 集中力・注意力の低下
  • 自分を責めがちになっている
  • 以前好きだったことが楽しくなくなった
  • 日常の活動(買い物や料理など)に大きなエネルギーを使い、疲れてしまう
  • 頭の働きが遅くなって、質問に答えるのに時間がかかる
  • 気持ちが落ち着かない

 

参考:日本語版自己記入式・簡易抑うつ症状尺度(Quick Inventory of Depressive Symptomatology:QIDS -J)

これらが当てはまったからといって、すぐにうつ病と決まるわけではありませんが、2週間以上続いていて仕事が手につかないといった支障が出ているようであれば、まずは心療内科や精神科などの医療機関を受診することをお勧めします。

他にも、次のような症状が当てはまるようであれば要注意です。うつ病や適応障害をはじめとするこころの不調は個人差があり、様々な症状が出る可能性があるため、自分に出ている症状をメモにまとめておくと、正確に他の人に説明しやすくなります。

【身体に出やすい症状】

  • 頭痛やめまい、動悸、疲れやすさ、首・肩などの凝り
  • 便秘や下痢、胃痛、吐き気 など

【こころに出やすい症状】

  • 憂うつ、不安、焦り、イライラしやすくなった
  • 自信の喪失、意欲と興味の減退、集中力の低下、注意散漫 など

【行動に出やすい症状】

  • 人と話すのが億劫になる
  • 仕事に行く日の朝や休み明けに調子が悪くなる
  • 遅刻が増える、仕事のミスが増える
  • 新聞やテレビを見なくなった、整理整頓ができなくなった など

うつ病による過眠の原因とは

うつ病が原因で過眠症状が現れる場合、その背景には以下の要因が考えられます。

【ホルモンバランスの乱れ】

うつ病は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減ってしまう病気と言われています。これらの神経伝達物質は精神を安定させたり、やる気を起こさせたりするものなので、減少すると無気⼒で憂うつな状態になってしまいます。また、それによって睡眠の質も低下するようです。

参考記事:こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~

【慢性的なストレス】

ストレスが脳や体に与える影響で、休息が取れているように見えても、実際には体が回復していません。現実のストレスや苦痛から逃れるために、回避行動として無意識的に過眠を選ぶことがあります。寝ている間はストレスや不安を感じにくくなるため、睡眠が一種の避難所のような役割を果たしている可能性があります。

うつ病かも?と思った時の相談先

うつ病の症状に気づいた際には、一人で抱え込まず、以下の相談先を検討してみてください。

【医療機関】

うつ病や適応障害が疑われる症状が2週間以上続き、仕事や生活に支障が出ているのであれば、なるべく早く医療機関(精神科・心療内科)の受診をご検討ください。

うつ病は治療が遅れると回復にも時間がかかると言われていますので、早期発見と早期治療が大切です。適切なカウンセリングや治療を受けることで、うつ病の進行を防ぐことに繋がります。

。日頃から心身の変化を意識し、「少し症状があるかも?」と思った段階で医療機関にご相談をしていただくことをおすすめします。

医療機関では症状の相談だけでなく、治療薬の処方や他の専門機関への紹介など、様々な支援の手段に繋がることが可能です。

医療機関を探す際、そもそもどこを受診をすればいいのか、何を決め手に選ぶのか、悩まれるケースもあるでしょう。日本でのうつ病の相談は、主に精神科もしくは心療内科が対応しています。

精神科・心療内科については診察の内容に大きな違いはないので、ご自身が通いやすいと思える医療機関を探して診療を受けてみてください。ただし、一部の心療内科には、「身体の病気」を中心に診ているところもあります。事前にホームページやお電話で確認しておくと安心です。

その他、医療機関を選ぶポイントをこちらの記事で説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。

【精神保健福祉センター】

精神保健福祉センターは精神保健福祉法にもとづき各都道府県・政令指定都市に設置されている支援機関であり、こころの病気について幅広く相談することができます。

こころの病気や困りごとについて相談できる機関としては、他にも保健所や市町村保健センターがあります。この中でも精神保健福祉センターは、専門性のあるスタッフ(医師や精神保健福祉士、臨床心理士など)が多く揃っているのが特徴です。

(参考:全国精神保健福祉センター長会 全国精神保健福祉センター一覧

【厚生労働省運営「こころの耳」】

身近な人に悩みを相談しづらいという場合には、社外の相談窓口を活用することも方法の一つです。厚生労働省が運営している「こころの耳」というWebサイトでは、電話での相談窓口のほか、SNSやメールを使った相談窓口も紹介しています。

ほかにも、仕事や生活など悩みの種類ごとに相談できる窓口が掲載されていますので、「うつ病の初期症状かもしれない」「病院に行った方がいいか悩んでいる」という方も、一度相談してみるといいでしょう。

(参考:こころの耳

【会社の上司/産業医】

会社に所属している場合、直属の上司に相談することを検討してみてください。自分の置かれている環境を身近で把握している上司に相談することで、休職に至る前に職場環境や業務量の調整を行うなど、仕事と両立できるよう、体調の立て直しの対策を打てる可能性があります。

しかし直属の上司だからこそ、直接相談するハードルが高いこともあるでしょう。その場合、会社の人事部に相談するという方法もあります。人事部はうつ病や適応障害などメンタル不調者への対応や休職の手続きを担当する部署でもあるので、会社内の相談窓口として機能します。

また、会社の産業医に相談することも重要です。産業医は医学の専門家として、社内の労働者の健康管理を担当しています。うつ病かもしれないという悩みについても、産業医に相談し判断を得られるとよいでしょう。

近年、産業医面談は対面のほかオンラインでも受けることができるようになりました。産業医面談を希望される場合は、社内での相談方法を上司や人事等の社内窓口に確認してみて下さい。

ただし、産業医は「従業員50人以上の事業所」では設置することが義務づけられていますが、「50人未満の中小企業等」では任意となっています。会社に産業医が設置されているかどうかも、合わせて社内でご確認ください。

ずっと寝てしまう…生活リズム改善の3つの対処法

【起きる時間から生活リズムを整える】

「朝早く起きるために、いつもより早めに寝よう」と思っても、なかなか寝つけなかった経験はありませんか?人は「いつもより早く寝ること」が苦手です。これは「睡眠禁止ゾーン」と呼ばれ、いつも寝る時間の直前数時間は、覚醒度が高く寝つきにくい時間帯だと言われています。また、人の体内時計の周期は平均で24時間10分程度で、実際の時計より約10分長いとされています。そのため、自然と寝つく時間が遅れていく傾向があります。

しかし、朝日を浴びてから約15時間後には、眠気を促すホルモンが分泌され始めるので、朝日を浴びることで体内時計の時間のズレをリセットすることができます。したがって、「早く寝る」ためには「早く起きる」ことが重要です。「早寝早起き」ではなく「早起き早寝」を意識してみてください。

参考記事:うつに悩む人こそ知っておきたい!睡眠コンサルタントが教える「早寝早起き」成功の秘訣

【睡眠の質を高める行動を取り入れる】

■朝の過ごし方

朝は「太陽の光を浴びる」「運動をする」「朝食をとる」ことが大切です。良い睡眠には、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」が重要です。メラトニンは夜に分泌され、自然な眠りを促します。その原料となる「セロトニン」というホルモンは、太陽の光を浴びる、軽い運動、朝食をしっかりとることで増やせます。特に朝食には大豆製品や乳製品、卵がおすすめです。

■日中の過ごし方

朝早く起きると、日中眠くなることがありますが、日中は寝ずに活動しましょう。近くまで散歩に行く、スーパーに買い物に行くなど、日中の運動が夜の睡眠に良い影響を与えます。外出して光を浴びながら活動量を増やしましょう。ただし、どうしても夜に寝られず日中眠くなる場合は、15分から30分の仮眠をとると良いです。

■夜の過ごし方

夜は寝る3時間前に夕食、1〜2時間前に入浴を済ませるのがおすすめです。入浴やストレッチで体温を上げると深い眠りに繋がります。また、寝る前のスマホ使用を控えることも大切です。テレビやスマホ、PC、LEDライトなどからはブルーライトが出ており、これを夜に浴びるとメラトニンの分泌が抑えられて眠れなくなります。少しずつ時間を短くしたり、ブルーライトカットの工夫をしたりすることから始めると良いでしょう。

【記録をつけ、自分の生活リズムを客観視する】

どんな行動が睡眠に影響を与えるか、どんな生活リズムが合うかは人それぞれです。記録をつけることで、自分に良い影響を与える行動が見つかり、改善のヒントが見つかります。例えば、深夜に目が覚める場合、前日はどのように過ごしたかを分析し、改善することで生活習慣を整えることができます。

いきなり全ての行動を記録するのは大変だと思いますので、まずは起きる時間の目標を定め、できたかどうかチェックするなど、無理のない範囲で少しずつ取り組んでみましょう。

リヴァトレでは、一日の活動を記録するツールとして「活動記録表」を活用しています。メリットや書き方についてこちらの動画でご紹介していますので、ぜひご覧ください。

また、日本睡眠学会のWebサイトで地域ごとの睡眠専門の医療機関や医師を探すことができますので、睡眠にお困りのことがある方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。

うつ病の段階に合わせたおすすめの過ごし方

うつ病には3つの段階があり、それぞれに適した過ごし方があります。

急性期

急性期は心身の疲労がピークに達しているため、何よりも「休む」ことが最優先です。そして、主治医の指導のもとで療養と服薬をするのが基本となります。薬についてはこちらの記事も参考にしてください。

薬の効果が出てくるのは、服薬開始から2~3週間後といわれます。効果よりも副作用が最初に表れる場合が多いのですが、たいてい徐々に身体が慣れていくものなので、自身の判断で勝手に服薬をやめるのは避けましょう。薬の効果や副作用について悩んだ場合、まずは主治医に相談することをおすすめします。

急性期の活動は、自分ができる(やろう)と思っている水準の3割程度からスタートするようにしましょう。

回復期

回復期は症状が和らぎ、徐々に動けるようになる時期です。この時期は活動範囲が少しずつ広がりますが、再発リスクが高い時期でもあるため、ペースを慎重に調整することが必要です。

「調子が良くなってきた」と思っても、些細なことで体調がアップダウンすることがあります。せっかく良くなったのに…と落込むかもしれませんが、活動を通じてストレスをかけているので、当然の反応ともいえます。

社会復帰する上で誰もが経験することですので、深く悩みすぎず、主治医やリワークのスタッフの意見も参考にしながら取り組んでいきましょう。短時間の散歩や読書など、軽い活動を取り入れてみると良いと思います。

直前期

直前期は、社会復帰や新しい生活を目指す準備を進める大切な時期です。この段階では、無理をせずに着実なステップを踏むことが重要です。休職している場合、いきなりフルタイムで復職するのではなく、短時間勤務やリモートワークなど、負担を軽減した方法で段階的に復帰を目指しましょう。

また、小さな目標を設定することも効果的です。たとえば、「朝、決まった時間に起きて身支度を整える」「1日1時間、仕事に関連する準備をする」「週に1回、職場や同僚と軽く話をする」など、達成可能な具体的な目標を立てましょう。そして、それを達成したときには自分をしっかりと褒め、前に進んでいる実感を持つようにしてください。

さらに、この時期は「完璧を目指さない」という意識も重要です。仮に思うように進まない日があったとしても、自分を責める必要はありません。その代わりに、「今日は無理をせず、明日少し頑張ればいい」と考えるなど、柔軟な心構えで臨むことが大切です。

こうした工夫を重ねることで、自分のペースを尊重しながら確実に前進できるでしょう。焦らず、一歩ずつ進んでいくことが、安心して社会復帰を果たすための鍵となります。

うつ病で休職したら「リワーク」の利用がおすすめ

職場復帰に向けた生活リズム改善には、リワークサービスを活用するのもおすすめです。リワークとは、「Re-Work(再び働く)」を意味しており、うつ病や適応障害など、精神面の不調からある程度まで回復したメンタルヘルス不調者を対象に、職場・社会復帰の準備をするプログラムのことです。

リワークを通じて復帰することで、単に職場に戻るだけでなく、長期的に安定した働き方を実現するための基盤作りができます。特に、ストレス対処法やコミュニケーション能力の強化が、職場での適応力を高める助けとなるでしょう。

リワークサービス「リヴァトレ」で生活習慣を改善しながら社会復帰を目指そう

リヴァでも、リワークサービス「リヴァトレ」を提供しています。リヴァトレでは職場へ通勤するようにセンターへ通いながら復帰に向けたトレーニングをするため、生活リズムの改善に効果的です。

対人コミュニケーションやストレス対処法など、利用者の特性や体調に合わせた様々なプログラムが用意されており、利用者一人一人の特性や体調に合わせた復帰プランを作成します。

自身の不調につながるきっかけやサインを察知し、対処するための心身健康マニュアルを作成するプログラムなど、ストレス対処法を学べるプログラムも充実しています。ストレス対処法を学ぶことで、再発防止に効果的です。

さらに、同じ悩みを持つ仲間と共感し合い、時には試行錯誤をしながら支え合うことで、自宅療養だけでは得られない孤独や不安の解消にも繋がります。

一人で取り組んでいると日中やることがなく寝てしまったり、なかなか強制力を持たせることが難しいので、リワークなどの施設も活用しながら、一緒に生活リズムを整えていくことも検討してみてください。

リヴァトレを利用した方の声

実際にリワークサービス「リヴァトレ」を利用した方の声をご紹介します。

「リヴァトレは生活習慣を立て直しつつ、仕事をしていく中での色々な対処法などを身に着けることが出来る場所だと思います。」(30代 うつ病)
「病気への知識や対処方法を習得でき、復職に向けて生活のリズムも作っていけるので、利用して良かったと思う。」(50代 うつ病)
「仕事が人生で大切なことに変わりないが、趣味や人生を楽しむこと・仕事以外の部分が人生で占める割合が大きくて良い(大きくしないと人生ではない)と思えるようになった。端的に言うと、人生が楽しめそうな気がしてきた。」(40代 うつ病)

 

リヴァトレを利用して社会復帰された方の体験記もあわせてご覧ください。

おわりに

今回は、うつ病と過眠の関係性や、生活リズムを改善する方法について解説しました。うつ病による過眠や生活リズムの乱れは、社会復帰への大きな不安要素となりがちです。しかし、適切な対処法を身に付けることができれば回復の可能性は十分にあります。

この記事で紹介した生活リズムの整え方や、医療機関や相談先の活用方法を参考に、自分に合った方法を見つけてみてください。

まずは無料パンフレットをご覧ください

リヴァトレは、うつなどのメンタル不調でお悩みの方の復職・再就職をサポートするリワークサービスです。

復帰に向けて行う取り組みについて、無料パンフレットでわかりやすくご紹介しています。

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この記事を書いた人
来迎成美 株式会社リヴァ リヴァトレ事業部

復職・再就職コーディネーター/精神保健福祉士
1998年岩手県生まれ。東北福祉大学を卒業後、2021年に新卒社員としてリヴァへ入社。現在はリワーク支援施設「リヴァトレ仙台花京院」で、プログラム提供に携わる。自分らしく感じる瞬間は「道に迷っている時」。

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