うつからの復職・再就職を支える「リヴァトレ仙台本町」現役スタッフが語る“魅力”とは?

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うつなどのメンタル不調で休職・離職された1,000名以上の方の社会復帰をサポートしてきたリヴァトレは現在(2022年8月)、仙台市内に2か所の支援施設(以下、センター)を運営しています。その1つである「リヴァトレ仙台本町」は2021年に開所した最も新しいセンターですが、そのサービスにはどんなこだわりや特長があるのでしょうか。復職・再就職コーディネーターの来迎さんに聞きました。

リヴァトレ仙台本町来迎成美

来迎成美(らいこう なるみ)

株式会社リヴァ リヴァトレ事業部
復職・再就職コーディネーター/精神保健福祉士
1998年岩手県生まれ。東北福祉大学を卒業後、2021年に新卒社員としてリヴァへ入社。現在はリワーク施設「リヴァトレ仙台本町」で、プログラム提供に携わる。自分らしく感じる瞬間は「道に迷っている時」。

「利便性」と「心地よさ」を兼ね備えたセンター

ー-リヴァトレ仙台本町がどんな場所にあるか、ご紹介ください。

リヴァトレ仙台本町(以下、本町センター)があるのは、仙台駅から徒歩約10分のオフィス街です。駅から近い便利な場所でありながら、近くに緑豊かな公園もあるので、自然に触れてリフレッシュすることもできるんですよ。

HF仙台本町ビルディング

本町センターはHF仙台本町ビルディング(仙台市青葉区本町/写真中央、緑色の建物)の3階にある

ー-それはいいですね。では本町センターの施設内の様子についても聞かせていただけますか?

一言で表すと「カフェみたいな場所」です。

開所する前に、東京のオフィスに勤務するカフェ好きのスタッフや大学で建築を学んでいたスタッフを呼んで、オシャレな空間に仕上げてもらいました。面談室の扉は赤や青、緑…とカラフルに塗られていますし、入口にはまさにカフェにあるような黒板が置いてあって、その日の予定が書かれています。

また「ただオシャレなだけではなく、利用者の皆さんに安心して落ち着ける場所を提供したい」という思いから、できるだけたくさんの植物を置くようにしています。

ー-広さはどれくらいありますか?

ビジネス系のプログラムなどを行う一番広い部屋は、20人程度の方が過ごせる広さがあります。また、3つある面談室は、いずれも3人程度でじっくり話すのに適した広さです。

リヴァトレ仙台本町「TRY」

赤い扉が目印の「TRY」という面談室

私自身、初めて訪れた時は「こんなオシャレな場所で働けるのか!」とうれしい気持ちになりましたし、利用者の皆さんにも心地よく過ごしていただけるのではないかと思っています。

リヴァトレ仙台本町「WITH」面談室

ソファや植物のある、青い扉が目印の「WITH」という面談室

スタッフはみんな◯◯◯◯が好き!?

──本町センターには何人のスタッフがいるのですか?

6人です。仙台にはリヴァトレのスタッフが合計12名いて、本町センターと仙台花京院センター(以下、花京院センター)の2センターに6人ずつ勤務しているんです。(2022年7月現在)

私としては、花京院センターには「知性派、理論派」のスタッフが多く、本町センターにはスポーツが好きでアクティブなスタッフが集まっているという印象を持っています。

──本町センターのスタッフについて、簡単に紹介してください。

サービス管理責任者の吉田さんは筋トレが趣味です。センター長の宮崎さんは高校時代、ボクシングの東北チャンピオンだったそうで、利用者さんが「ストレスが溜まっていてちょっと体を動かしたいな」と仰ったときなどには、昼休憩中に一緒にボクシングのミット打ちをしたりしています。

千葉さんは野球が大好き。お子さんの野球の試合で毎週のようにコーチや審判をされているので、夏はいつも日焼けしています。

それから本多さんと菅原さんという女性のスタッフは、2人ともバスケが得意です。私は小さい頃からずっとテニスをやっていて、先日も出張で仙台に来ていたリヴァ代表の伊藤さんとテニスをしました。

リヴァトレに「UKK」という運動プログラムがありますが、雨で外に出られない時はセンター内でボクササイズをしたりすることも。そういうところは当センターならではの特色かなと思いますね。

リヴァトレ仙台本町(写真左から)本多、吉田、宮崎、千葉、菅原、来迎

(写真左から)本多、吉田、宮崎、千葉、菅原、来迎

──皆さん、ずっと福祉業界でキャリアを重ねてきた方々なのですか?

いえ、保育士から転職された人もいれば、長らく営業職として活躍してきて初めて福祉業界に入ったという人もいる…というように、本町センターはスタッフの経歴が幅広いんですよ。

だから「就職活動の支援が得意」だとか「営業活動の支援が得意」といった方もいて、それぞれの得意分野や視点を活かしながらよりよい支援が提供できる。これは当センターの大きな特色だと思います。

仙台にある2センター間の交流、連携は?

──本町センターと花京院センターが交流したり、連携したりすることはあるのでしょうか?

毎日朝は朝会、夕方には夕会というオンラインの会議を、いずれも2センター合同で開催しています。所属センターは違っても、毎日顔を合わせているんです。2か月に1回くらいのペースでどちらかのセンターに集まって、エリアミーティングを催していますし。

それに2センター合同で実施するプログラムもあるので、関わりは強いです。

──センター同士、スタッフ同士がしっかり連携できているかどうかは、支援の質にも関わってくるのでしょうね。

自主性を活かす多彩なプログラム

――本町センターで実施しているプログラムについて聞かせてください。

たくさんあるのですが、例えば運動系だと、先ほども紹介した「UKK(運動健康研究会)」プログラムがあります。前半の40分程はウォーキングに行き、センターに戻った後は、健康の三要素である「運動」「食事」「睡眠」について利用者さんが取り組んでいることをシェアし合います。社会復帰した後も継続できるし、自分に合った生活習慣を見つけるための一助となるプログラムですね。他にも、東京のセンターとオンラインで繋ぎ、皆さんでフィットネスをしていただくプログラムもあります。

リヴァトレ仙台本町UKKのスライド一部抜粋

UKKのスライド一部抜粋

仙台ならではのプログラムには「森林浴」があります。花京院センターのスタッフである及川さんは、宮城唯一の「森林セラピスト」の有資格者なんです。森林セラピスト監修のもと、マインドフルネスやネイチャーゲームも織り交ぜた独自のプログラムを作っています。専門家によるガイド付きで効果を体感し、普段の生活にも活かしていただければ幸いです。また、森林浴プログラムは、林野庁等が主催する「『森林サービス産業』フォーラム2022」や雑誌でも取り上げられました。

(林野庁などが主催する「『森林サービス産業』フォーラム2022」にてリヴァトレ仙台の森林浴プログラムが紹介されました。)

森林浴には、ストレス軽減や、心身のバランスを調整する効果があるといわれています。私自身もよく参加するのですが、頭痛が軽減したり、心地よい気持ちになったりと、効果を実感することが多い※です。仙台の2センターでは、月に1回ずつ森林浴プログラムを実施していますので、ぜひ参加していただきたいですね。

※個人の感想です

リヴァトレ仙台本町森林プログラム

――プログラムは、全センターで同じ内容のものを実施しているわけではないんですね?

ええ、プログラムの内容は、同じ仙台のセンターでも少し違います。

例えば、花京院センターでは実施されておらず、本町センターのみで実施されているプログラムに「課題解決プログラム」というものがあります。

通常のプログラムは、スタッフが運営して、利用者の方に受講していただきますが、このプログラムは、利用者さんたちが運営していくプログラムなんです。全6回の構成で、ご自身の課題解決に向けて、利用者の皆さんで企画して運営していただきます。

利用者の皆さんは参加するだけでなく、プログラムを提供する立場で関わることもできるため、運営力や企画力を身に付けることができます。後任者への引き継ぎなど、仕事の進め方を訓練できるという面でも、復職に向けて効果的なプログラムといえると思いますね。

本町センター独自のプログラムとしてもう1つ、「自主トレ本町」というものもあります。これは、利用者さんの要望で生まれたプログラムで、復帰に向けて必要な能力を高めることを目的とした「自主トレーニングの会」です。

利用者の皆さん同士でマインドフルネス瞑想を実施したり、ナイトルーティン(仕事などから帰宅したあと、寝るまでの夜の習慣)を紹介し合ったりと、復帰に向けて必要だと思うものを自主的に実施していただきます。

「利用者さんが主体的に動くプログラムが多い」というのも、当センターの特色といえるかもしれません。

オンラインの支援、コロナ対策は?

――オンラインでのサービス提供は行っていないのですか?

当センターでは原則、通所いただくことになっているので、遠方の方などは、オンライン支援を提供している花京院センターにご案内しています。そちらの場合、月に1回でも仙台に来ていただければ、あとはオンラインで利用していただくことも可能です。実際に、福島県や秋田県、岩手県、山形県などの他県から利用されている方もいらっしゃいますよ。

――新型コロナウイルスの感染拡大防止対策は行っていますか?

通所される方が少ない日には、1つのテーブルに1人ずつ座っていただいています。通所される方が多い日は、2人の利用者さんに1台のテーブルを使用していただくことになりますが、間にパーテーションを置くことで感染対策をしています。

その他にも、お昼やプログラム中の休憩の際は必ずドアを開けて換気し、スタッフが消毒を行います。また、面談室などの比較的小さい部屋に入る時にはサーキュレーターを回し、空気を循環させるように心がけています。

リヴァトレ仙台本町訓練室

プログラムを実施している訓練室

利用者さん同士の交流、支え合いも魅力

――本町センターの利用者数について聞かせてください。

時期によっても変わるのですが、現時点(2022年8月)だと約20名が利用登録されています。通所の頻度は人によって異なり、週に2日通所されている方もいれば、復職が近くて週5日来られている方もいます。

また各日に実施するプログラムの内容によっても、通所人数が変わる傾向があるんです。例えば、課題解決プログラムなど人気の高いプログラムがある日は、多くの利用者さんが通所されています。

――利用者の男女比や年齢層について聞かせてください。

時期によりますが、現在の男女比は5:5くらいです。年齢層は、最近は若めの方が多く利用されています。私と同世代である20代前半の方とか。もちろん、50代の方もいて、利用者の年齢層は幅広いです。

――利用者さんは平均してどのくらいの期間、利用されているのでしょうか。

平均すると半年ほどでしょうか。ただ、利用期間は本当に人それぞれで、3か月ほどで利用を終える方もいれば、1年以上通われている方もいらっしゃいます。

元々復職時期が決まっている状態で利用を決めた休職者の方だと、早くて2、3か月で退所されます。本町センターには、このように短期で利用される方も少なくありません。

――本町センターの利用者さんの様子は、来迎さんの目にどのように映っていますか。

皆さん、仲が良いですね。(オンラインでなく)通所してご利用いただくセンターなので、利用者さん同士の交流が結構あるんです。そのため、昼休憩の際、連れ立ってランチに行くといった交流もよく見られます。

また、利用者さんが主体的に動くプログラムが多いことも、皆さんの仲の良さにつながっていると思っています。例えば、パソコンの操作に関して分からないことがあっても、私たちリヴァトレのスタッフではなく、まず近くにいる他の利用者に相談されるんですよ。

初めて体験に来られた方の中には、「こんなに仲がいいと輪の中に入れないんじゃないか」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、心配いりません。

利用者さんは皆さん、ご自身も体験期間を経てリヴァトレに通っているため、体験に来られた方にも積極的に声をかけてくれます。それはもう、リヴァトレのスタッフと見間違えるくらいに(笑)。

利用し始めたばかりの方も、すぐに輪の中に入って、打ち解けていきやすい雰囲気があります。

リヴァトレ仙台本町来迎成美

うつなどで休職・離職されている方々へ

――本町センターの利用を検討されている方に向けてメッセージを。

まずは一度体験や見学に来ていただき、センターの雰囲気やスタッフ、利用者さんの人となりを肌で感じていただきたいです。

体験に参加される際は緊張されるかもしれませんが、おそらく想像されているよりずっとリラックスして過ごせる環境です。「他の利用者さんが温かい雰囲気を作ってくれて緊張が解けた」と言ってくださる体験者さんも多いですし。ぜひお気軽にお越しください。

――ありがとうございました。

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この記事を書いた人
四谷 健太郎 株式会社リヴァ リヴァトレ事業部

生活支援員 臨床心理士/公認心理師

1985年東京都生まれ。
世田谷区の教育相談員→民間企業の治験コーディネーターを経て、2021年に株式会社リヴァに入社。
森田療法を基にした相談支援を行っている。趣味はコーヒーのハンドドリップ。

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