【うつ体験談】正社員希望からフリーランスへ – イラストレーターますぶちみなこさん

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ますぶち みなこ

フリーランスのイラストレーター・エッセイスト。
「世界をもっと、なめらかに。」をモットーに、見るとほっとする、優しい気持ちになれるようなイラストを制作。精神疾患を持ち、他人や世間とたくさん比べてうまく生きてこられなかった経験から「こんなわたしみたいな人もいるけど、なんとかやっていけるよ」というメッセージを込めて、こころや家族についてのエッセイをnoteで発信中。 http://hapticweb.org/ https://note.mu/masco

soar」などで活躍するますぶちみなこさんは、かつて「不安障害」を経験し、現在は「双極性障害Ⅱ型(境界性パーソナリティ障害傾向)」と向き合っています。

そうした疾患の原因となったのは「幼少期の経験」が影響しているのだとか。過去の経験についてはこちらの記事からご覧ください。この記事では、フリーランスという働き方を選択した背景・イラストレーターとしての現在についてお話しを伺いました。

母の影響で染みついた 「正社員」へのこだわり

半年ほど自宅で休みましたが、症状は落ち着かないまま。「働かなければいけない」と焦り、Web制作会社へアルバイトとして入社しました。しかし今度は電話の音が怖くなってしまい、時間になっても会社に行けず、無断欠勤を続けて、そのまま退職。

うまくいかないことを母に相談すると、いつも母の視点でアドバイスをくれましたが、「国家資格のある仕事と私の仕事では違う、体調のことも考えてもう少しゆるく働きたい」と受け入れられず。

「ゆるく働きたい」という気持ちがある反面、働いて家庭を支える母を見てきたからか「正社員で働かなければいけない」という考えは、私の中からなかなか消えてはくれませんでした。

その後も“半年休んでは半年働く”という感じで2社ほどを経験。友人から「一度Web制作会社から離れてみるのはどう?」とアドバイスをもらい、花屋でアルバイトをしたこともありましたが、やはりWeb業界での仕事を諦めることはできませんでした。その後も、何度か転職を繰り返しました。

選択肢を消していき、行きついたのはフリーランス

正社員として会社に勤めることができないなら、アルバイト。アルバイトを試してみても上手くいかない。そうして選択肢を減らし続け、見えてきたのは中学時代に思い描いた在宅で行うフリーランスの仕事でした。

Webとイラスト、どちらかでフリーランスになろうと思ったときに、「自分に無理がなく、ちゃんと社会とつながっていけそう」と思えたのがイラストでした。

今は2年ほどフリーランスとしてイラストレーターをしています。受注した大きな案件を最後までやりきることができなかったり、自分の状況を伝えられず、うまくいかないこともありました。しかし、今はその経験をもとに工夫を重ねて取り組んでいます。

例えば、相手の求めに応えるだけではなく、「自分が本当にできるのか」をしっかり考え、体調面の不安やスケジュールで配慮してほしいことなども事前にお伝えするようにしています。

打ち合わせをするだけでは、私の障害はなかなか理解していただくのは難しいです。元気そうに見えてしまうんです。だからこそ、工夫して伝えていかなければいけないと考えています。

今では「自分の取扱説明書」というものを作成して、仕事で関わる方にお見せするようにしています。例えば、「電話が苦手なので、電話をかける前には一報メールください」など。

私の場合、一度失敗すると沈んだ気持ちを取り戻すまでに大きな労力を費やしてしまいます。だから、事前にすり合わせをして、お互いにとって良い方法を模索できることは大切なのです。

イラストを通じて、心の問題で悩んでいる人の力になりたい

最近は「お名前は初めて拝見しましたが、イラストは見たことがあります」と声をかけてくださる方も。私のイラストが良い意味で一人歩きしてくれているような現象が起こり始めていて、それはありがたいし、とっても嬉しい。

人の気分って「ちょっとかわいいもの」を見たり、「ちょっと楽しいこと」に触れたりするだけで結構変わるものだと思うんです。私のイラストがそんな「ちょっとしたきっかけ」になったらいいなって思っています。

「人の人生を変えたい」といった大きなことは思っていません。イラストを通じて、心の問題で悩んでいる人に「ちょっと休んできなよ、ゆるってしてきなよ」って言える自分でありたいですね。私はいち患者でしかありませんが、近頃は少しずつ、社会に役立つことができ始めているのかなって思います。

同じように心の問題で悩んでいる人の力になれた瞬間は、とても嬉しいんです。こうやって自分のことをオープンにしているからこそ、イラストを通じてそういうメッセージが届けられるのかもしれないなって。

イラストを描くことは「他の人」のためだけではなくて、「私自身」にとっても大切なことなんです。

私はイラストを描くとき、まっすぐな線が描けないんです。頑張ってもフワっとした線になってしまう。不思議ですが、それも個性で「ありのままの私」が出ちゃっているのだと思うんですよね(笑)。

だからイラストが世の中に出ることで「ありのままの私が認められている」ような感じがするんです。

小さいときから、私にとってイラストは「世界とつながれるコミュニケーションのツール」でした。これからも、自分の描くイラストを通じていろんな方々とつながっていきたいです。

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この記事を書いた人
北口 ひとみ 元リヴァスタッフ

大阪出身。上京後はWEBディレクターを経て、リヴァへ入社。支援職をする傍らリヴァマガの運用管理に携わる。大阪移住を決意しリヴァを卒業。元リヴァ社員として退職後も執筆を継続。

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