働く人の“自分らしく”をサポートする新サービス「LiMOW」モニター実施報告

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LiMOW(リモー)モニター実施報告

こんにちは、リヴァ代表の伊藤です。

当社ではこの春、「コロナ禍だからこそ新しいチャレンジを」という想いで、新サービス「LiMOW(リモー)」の構築に取り組み、5月下旬に体験モニターを募集しました。モニターを務めていただいた方には6月6日から727日までにサービスをご利用いただき、効果検証などを行いましたので、その概要についてご報告します。

新サービス「LiMOW」とは?

リヴァトレやリヴァBizなど、これまでリヴァがご提供してきたサービスは、いずれも休職中や離職中の方を対象にしてきました。LiMOWはそれらを通じて培ったノウハウを活用し、「在職中の方」の自分らしい生き方を応援するものです。

図1.リヴァトレやリヴァBizとLiMOWの対象者の違い

図1.リヴァトレやリヴァBizLiMOWの対象者の違い

 

サービスの内容は、利用者様がパートナーとして伴走するリヴァスタッフと一緒に3か月後の「ゴール」を設定し、その達成に向けておよそ週1回ずつ、オンラインプログラムやパートナーとの面談を受けていくというもの。利用される方はたいてい仕事を終えられた後の参加となるので、プログラムは19時30分スタートを予定しています。

※体験モニターの皆さまには1カ月半後にゴールを設定していただきました

図2. LiMOWサービスイメージ

図2. LiMOWサービスイメージ

モニターの属性や状況

体験モニターの募集定員は8名としましたが、1週間と少しの募集期間で、予想を遥かに上回る30名近くの方からご応募いただきました。働くことはできていても生きづらさに悩み、「何とか状況を変えたい」と望んでいる方は、私たちが考えるよりもたくさんいるのかもしれません。

ご応募いただいた方の中には、過去に何かしらのメンタル疾患で苦しんだことがある方が多くいらっしゃいました。これは「リヴァが実施するサービス」ということがバイアスになったと推測されます。過去にリヴァトレやリヴァBizなどリヴァのサービスを通じて仕事に復帰した方からの応募もありました。「リヴァに恩を感じているので恩返しをしたい」というメッセージもお寄せいただき、大変ありがたく思っています。

表1.モニター応募者数とその内訳

表1.モニター応募者数とその内訳

 

ご参加いただける時間帯とプログラムの実施時間のマッチングやご本人の状況などを勘案してモニター候補者8名を決定しました。そして、スタッフとの関わりやプログラムの進め方に差が生じることを避けるべく、「リヴァサービスの利用経験がある方々」と「新規の方々」の2つのグループ(4名ずつ)に分かれていただきました。

どちらのグループも途中離脱などがあり、最終的に3人ずつとなりました。

図3.体験モニター実施におけるグループ分け

図3.体験モニター実施におけるグループ分け

 

全体として、男性3名・女性3名。年齢は3050代。従事する業界は金融・福祉・サービス・製造…と様々でした。

モニターの結果

サービスを定量的に評価するため、「①効果検証のためのアンケート」「②自己効力感をチェックする心理検査GSES()」の2種を収集・分析しました。

GSESGeneral Self-Efficasy Scale)とは、個人が一般的にセルフ・エフィカシー(自己効力感:自分がある状況において「うまく達成できる」と自分の能力を認知していること)をどの程度高く、あるいは低く認知する傾向にあるかという強さを測定するために作成されたもの

結果1
「未来に向けた行動の実行」に近づいた実感は得られたが、
「目指したい方向性の模索」という点では課題が残った

まずは「①効果検証のためのアンケート内容」の開始時と終了時の比較結果です。

結論として「未来に向けた行動の実行」に近づいた実感は得られましたが、「目指したい方向性の模索」という点においては課題が残りました。

LiMOWは「働いている人が『自分らしく生きること』を自律的に実践していける状態」を目指して設計しています。そのため、ご自身の目指す方向性や目標の変化、そしてそこに向けて自ら行動出来ているかどうかの変化を検証し、このような結論を得るに至りました。それでは詳しく検証内容をみていきましょう。

以下は、LiMOW利用開始時と終了時に行ったアンケート内容です。質問は2つ。

表2.モニター開始時と終了時での効果検証のためのアンケート内容

表2.モニター開始時と終了時での効果検証のためのアンケート内容

 

結果は以下の通りとなりました。

表3.モニター実施前後での回答の変化

表3.モニター実施前後での回答の変化

 

回答上はあまり変化が見られなかった方もいらっしゃいますが、総じて良い方向へ変化していることが確認できました。サンプル数は少ないのですが、有意水準0.05(※)の検定の結果、モニター参加の前後で質問2の回答に有意な差が生じました。つまり、LiMOWの参加によって、「未来に向けた行動の実行」に近づいた実感が得られている、ということができます。私たちは「行動していくことが大切」と考えているので、その変化が見られたのはよかったと思っています。

しかしながら、質問1に関しては有意水準0.05を上回ってしまっているため、課題が残る結果となりました。1.5か月というモニター期間の中では難しかったのかもしれません。

※:有意は、確率論・統計学の用語で、「確率的に偶然とは考えにくく、意味があると考えられる」ことを指す。有意水準0.05とは、100回に5回も発生しない(つまり「偶然ではない結果である」とみなす)という意味であり、一般的に0.05を有意水準とするため、今回の検証でも0.05を採用。

結果2
「行動の積極性」や「能力の社会的位置づけ」など、
自己効力感が高まった

次に「②自己効力感をチェックする心理検査GSES」の検証結果です。本章の冒頭、注釈でもご紹介していますが、GSESは「自己効力感」を測定するものです。自己効力感とは「自分がある状況において『うまく達成できる』と自分の能力を認知していること」と定義されます。

GSESは、総合評価を5段階(非常に高い/高い傾向にある/普通/低い傾向にある/非常に低い)で表しますが、6名中4名の方の自己効力感が上昇した結果となりました。

表4.心理検査GSESの開始時と終了時での変化表4.心理検査GSESの開始時と終了時での変化

 

さらにGSESでは3つの因子(「行動の積極性」「失敗に対する不安」「能力の社会的位置づけ」)ごとに自己効力感の測定を行いますが、これらの因子のうち、「行動の積極性」「能力の社会的位置づけ」の得点はプログラムの意義を示す結果となりました。

表5.GSES心理検査のt検定結果

表5.GSES心理検査のt検定結果

 

 一方「失敗に対する不安」は「必ずしも変化があったとは言えない」という結果となり、今後のサービス設計を考える上で重要な課題となりそうです。

モニター参加者の感想

ここまではサービスの質を定量的に評価しました。一方で、定性評価も大事です。モニター参加者の皆さまに率直な感想をお聞かせいただきましたので、ご紹介します。

まず、利用開始時に設定したゴールに対して、LiMOWを利用した結果、どの程度達成できたかを聞いてみました。

表6.開始時に設定したゴールに対しての回答

表6.開始時に設定したゴールに対しての回答

 

 また、LiMOWを利用して参加者自身がどんな変化を感じたかを聞いてみました。

表7.利用前後での変化に対しての回答

表7.利用前後での変化に対しての回答

 

総じて良いご評価をいただいているようでしたので、ほっとしました。

一番良かったことを伺うと「グループのメンバーとの関わり」とのことでした。今回は、1グループが3人と少人数での実施でしたが、グループで実施する場合、メンバー同士の相性もサービスの質に大きな影響を与えます。今回はどちらのグループも相性が良かったようです。改めてグループの力は大きいと実感しました。

また、「このサービスを他者に勧めたいか」という質問(10段階)について、NPS(企業やブランド、サービスに対してどれくらいの愛着や信頼があるかを測る指標のこと)でいうと9点・10点が推奨者、7点・8点が中立者、6点以下が批判者と言われますが、下記のような結果となりました。

 

図4.他者にどのくらいLiMOWを勧めたいか

図4.他者にどのくらいLiMOWを勧めたいか

 

9点・10点の推奨者が半分もいたことは素直にうれしく思いました。ほかにも実際支払ってもいいと思うサービス価格など、モニターの皆さまには、たくさんのアンケート項目に答えていただきました。本当に感謝です。

モニターを終えて

まずは無事終えることができて、ホッとしています。モニターに協力していただいた皆さま、関わったスタッフ、そして外部の方々にもアドバイスをいただきました。本当にありがとうございます。

おかげさまでたくさんの気づき(例えば、オンラインのみで初対面であっても信頼関係を築くことができること、週に1度程度の接触でも大きな変化を生じさせられることなど)を得ることができました。そして、こうしたサービスを必要としている人がたくさんいることも分かりました。

早く正式にリリースしたいという気持ちが高まっている一方で、課題もあります。今回のモニターでは、スタッフがまさにパートナーとして参加者に伴走する形で、手厚いサポートをご提供しました。当然ながら、それに伴うコストも発生しています。

持続可能な形でサービスを提供できなければ、リヴァが目指す「自分らしく生きるためのインフラ」にはなり得ないので、利用者さまが現実的にご負担いただける利用料金とサービスの質のバランスの設計は、簡単ではありません。

このように、まだ検討すべきことが多く、正式にサービス化するまでは時間がかかりそうですが、必要としてくれる方々にご提供できるよう、引き続き準備を進めていきます。どうぞ、ご期待ください。

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この記事を書いた人
伊藤 崇 株式会社リヴァ 代表取締役

1978年宮城県生まれ。大手システム会社でエンジニアとして勤務後、障害者就労支援会社に転職。多くのうつ病患者を生み出す企業や社会への疑問と関心から2010年8月にリヴァを設立、現在に至る。

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