大手企業を新卒1年目で休職。優等生だった私が「正解」を手放すまで ー30代男性・双極症体験談【メンタル不調からのリライフストーリー】

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休むことは、「負け」を認めること。
SOSを無視し、誤魔化し続けた日々

学生時代の私は、いわゆる進学校から大学へ進み、それなりに順風満帆な日々を送っていたと思います。いざ就職活動が始まると、「自分は何でもできるはずだ」という万能感を胸に、「とにかく一番難しい会社に入って、定年まで勤め上げるんだ」と意気込んでいました。

念願叶って、大手企業の営業職として新卒入社。正直、自分のキャパシティを超えているのではないかという不安はありました。でも、「立派な会社に入れば両親も喜んでくれる」「周りからも認められる」と、あるべき姿を演じることで自分を鼓舞していましたね。

東京での半年間の研修を終え、大阪へ配属に。関西の営業マーケットは競争が激しいという噂は本当で、実際に飛び込んだ現場は想像以上の過酷さでした。

激務に加え、慣れない土地での孤独な新生活。平日の夜は上司との飲み会、週末は接待ゴルフが当たり前。寮は食堂もトイレもお風呂も共同で、常に会社の人と顔を合わせる環境だったため、仕事のことを考えない時間は全くといっていいほどありませんでした。

数か月もしないうちに、身体は悲鳴を上げはじめ、胃痛や腹痛を市販薬で誤魔化しながら出社する日々。その不調が心からのSOSだと分かっていながらも、「新卒なのに迷惑はかけられない」「メンタルクリニックへ行くのは、負けを認めることだから絶対に行きたくない」というプライドが、私の足を止めていました。

そんなある日の朝、ベッドから起き上がれなくなり、会社に行くことができなくなったのです。母に「お願いだから病院へ行って」と懇願され、しぶしぶ向かった先で医師から告げられた診断名は「適応障害」。

私は「会社には黙って、なんとか仕事を続けられないか」と考えていました。しかし、最後は上司から説得される形で、嫌々ながら簡単な引き継ぎだけを済ませて、10ヶ月の休職に入ることになったのです。

そのまま療養生活を送るため、私は関東の実家へ戻ることにしました。「200人の同期の中で、自分が初めてのリタイヤか…」。大阪からの新幹線で車窓を眺めながら感じたのは、戦に敗れたような、どうしようもない喪失感でした。

「また同じことを繰り返してしまった」。
焦りの中で迎えた、二度目の限界

休職期間は、新卒1年目の3月から翌年に復職するまでの約10か月間。当初はそんなに長く休むつもりなどなく、頭の中は「一刻も早く会社に戻らなければ」という焦りでいっぱいでした。

しかし、最初の3か月は部屋から出ることもままならず、病気になった自分を受け入れられないあまり、服薬にさえ抵抗感を持っていました。

「会社に迷惑をかけている」「早く復帰しないと、取り返しがつかない」。 自責の念と焦りが常にあり、期間こそ長くありましたが、心が休まる時間はなかったように思います。

復職するか、別の道を探すか。悩みましたが、新卒1年目で休職した自分に何ができるかが分からず、キャリアを描く自信もなかったため、渋々復職を選びました。

時短勤務からのスタートでしたが、配属先は以前と同じ部署。まだ適性が判断できない新卒社員に対し、会社側も環境を変えないほうが良いと判断したのかもしれません。

ただ実際は、何とも言えない恥ずかしさや申し訳なさといった、復職経験者にしか分からないであろう独特の居心地の悪さがありましたね。

そんな環境の中、「もう一回休んだら、さすがに後がない」と、休んでいた期間を取り戻すべく、不調をごまかし、再び無理を重ねてしまいました。

周囲から見れば元気がないことは明らかだったと思います。何をしていても楽しめないし、大型連休で実家に帰っても、仕事に戻る前日には動悸が止まらない。

それでも自分を騙し続け、なんとか半年が過ぎたある月曜日の朝。また、ぱったりと起き上がれなくなってしまったんです。

「ああ、やっぱりこうなってしまったか」という諦めにも似た感情が湧いてきたのを覚えています。さすがに気持ちが折れて、上司に許可を取って逃げるように実家に戻りました。

家族を避けた、半年の引きこもり生活。
「双極性障害」の診断が、変化のきっかけに

1回目の休職で「これ以上つらいことはない」と思っていましたが、甘かったですね。2回目は前回よりもずっと重く、苦しいものでした。

昼夜が逆転し、起きている間はただひたすら、自分を責め続けてしまう日々でした。 テレビでスーツ姿の人を見るだけで仕事の苦しさがフラッシュバックするため、意識を逸らすように異世界転生もののアニメを延々と見続ける。そして脳が疲れ果て、気絶するように眠る。そんな毎日の繰り返しでした。

両親とは申し訳なさから、顔を合わせることもできませんでした。家族が寝静まった深夜、こっそりとリビングに降りて、冷蔵庫に入っている母の手料理を温めもせずに胃に流し込む。まるで、泥棒のような生活でした。

母もそんな私を察していたのでしょう。部屋から出る唯一のタイミングであるトイレのドアに、時折メモが貼ってありました。 「何時から何時まで、買い物に行ってきます」 。母がいない時間だけは、誰にも会わずに済む。そのメモに書かれた時間だけは、息を潜めるような緊張を解き、リビングでようやく肩の力を抜くことができたのです。

半年ほど経過した1月1日。それまで一歩も外に出られなかった私が、朝起きると「今日なら外に出られる」と思い、気づけばパチンコ店にいました。本当に、前触れもなく突然のことです。 パチンコの合間にネットの掲示板を眺めていると、「シャワーを1か月ぶりに浴びた」というタイトルが目に留まりました。

「自分も久しくお風呂に入っていないな」と思って開いてみると、まるで自分のことが描かれているかのような体験談がありました。 さらに読むと、「双極性障害」の診断を受けているという記述があり、「ああ、自分はこの病気なのかもしれない」と腑に落ちました。振り返れば、1回目の休職期間でも突発的に一人で屋久島へ行くなど、躁状態と思われる思い当たる節がいくつもあって。

その後、急いで家に帰り、両親に事情を話しました。突然しゃべりだした私に両親は驚いていましたが、「年末年始の休み明けに病院に連れていってほしい」とお願いをしました。

近所の病院で「双極性障害」の診断を受けたときはホッとしました。病名がついたことで、服薬などで今の状態が良くなるかもしれないと思えたからです。 体力がゼロの状態から、散歩などで日常生活を送れるようにリハビリを開始。病気についても調べ始め、リヴァトレの存在を知りました。

正直、リワークは形式上やっているだけではないか、行く意味があるのかと懐疑的でしたが、見学に行ってみて印象が変わりました。 活発にコミュニケーションを取られている方が多く、雰囲気が明るかったのです。

自分も輪の中に入っていけるかと少し不安はありましたが、リヴァトレが掲げる「自分らしく生きる」という理念に共感しました。2回目の休職ということもあり、ただ復職するのではなく、価値観や行動を変えなければまた繰り返してしまうという危機感があったからです。

「リヴァトレなら自分の今後の生き方についても考えられるかもしれない」。そんな期待もあり、利用を決めました。

「実験だと思って、行動してみる」
完璧主義な私が出会った、新たな視点

リヴァトレに通い始めた当初、私の視野はとにかく狭くなっていたと思います。「早く戻らなきゃ」という焦りと、「こうあるべき」という完璧主義。変わりたいと願っていても、実際に行動に移すハードルは高いものでした。

そんな私の凝り固まった思考をほぐしてくれたのは、スタッフさんが口にしていた「行動実験」という言葉でした。

簡単に言うと、実験的に小さく行動してみるということなのですが、これまで「失敗してはいけない」と足がすくんでいた私にとって、「これは実験だから」と言い聞かせると、肩の荷が下りました。

いつもと違う道を通ってみる。前職の同期に連絡する。活動時間を徐々に伸ばし、疲れ方を観察する。

たとえ失敗したとしても、それは「新たな発見」であり、改善のための「材料」になる。「実験」と捉えるだけで、いつもと違ったことができるようになりました。トライアンドエラーの過程で「失敗しても大丈夫」という経験を積み重ね、少しずつ自分を理解していきました。

通所にも慣れ、復職について考えられるようになってきたある日。プログラムで将来の理想像を描くことになり、私が無意識に描いたのは「満員電車に乗っている自分」の姿でした。

自分では当たり前だと思って発表したものの、「それは、小町さんにとって楽しい未来ですか?」と問われ、ハッとします。 心のどこかで「会社員として働くのが当たり前」「働くことは苦しいこと」と思い込んでいた事実に気づかされた瞬間でした。

これを機に、キャリアへの見方もフラットになっていきます。「イキカタサガシ」という地域での生活体験プログラムで、農業やフリーランスなど会社員以外の働き方に触れ、復職だけが正解ではないと思えるようにもなりました。

ちょうどその時、スタッフさんから教えてもらったのが、フリーランスのスキルを学ぶ合宿です。まさかフリーランスになれると思っていませんでしたが、「これも実験だ」と、私は参加を決めました。

キャリアも結婚も、一度ぜんぶ「諦めた」。
30歳手前、フリーランスへの挑戦

結果として、合宿は私の人生のターニングポイントになりました。

フリーランスとして生計を立てている講師の方はもちろん、YouTubeやライター、農業とWebの業務を兼業する人など、参加者にも多様なバックグラウンドを持つ方がいて。

久しぶりにワクワクした気持ちを持って、「こうあるべき」にとらわれない生き方に触れながら、ライティングや動画編集、サイト制作など新しいスキルを身につけていきました。

「会社に戻る以外にも、生きていく道はあるのかもしれない」という、小さな自信と希望が見えてきました。もちろん、「未経験からフリーランスとして本当に食べていけるのか?」と不安はありました。

ただ、その時の私はもう復職してうまく働けるイメージが持てておらず、「会社員としてのキャリア」も「結婚」も「世間体」も、一度すべて諦めてみようと思いました。

ここまで派手にこけたなら、もう失うものは何もない。30歳までの3年間をボーナスタイムだと思って、やってみてダメならその時考えよう」と、新たな実験として、フリーランスの道へ踏み出しました。

「自分を信用しすぎない」。
双極性障害とともに働くということ

3年が過ぎたタイミングで「自分にはこの働き方が合っている」と確信し、フリーランス生活も4年が経った頃、法人化することもできました。

会社で働いているときは月曜日は憂鬱で仕方なかったですが、いまは自分でスケジュールを決められるので、月曜日の午前中の仕事は負担の少ないものにするなど、選ぶことができています。人間関係も自分で選べるようになったこともよかったです。

振り返ると、会社員の頃は「自分がどうしたいか」よりも「どうすべきか」で働いていました。上司から言われたことをこなすのに精一杯で、自分の気持ちを考えられていなかったな、と思います。

いい意味でわがままに働き方や人間関係を選べるようになって「これはやってみたい」「ちょっとしんどいな」といった、最初に浮かんだ気持ちを尊重できるようになったんですよね。

とはいえ、「双極性障害の人にはフリーランスが向いている」と言うつもりは全くありません。

労働時間などの上限がないため、躁状態の時に働きすぎてしまうリスクがありますし、たとえ体調を崩しても、休職制度のように自分を守ってくれるものは何もありません。想像よりずっと厳しい世界だと感じます。

そんな私が心に留めているのは「自分を信用しすぎないこと」です。 過去に自分の感覚を過信して失敗してきたからこそ、体調管理は徹底的に「仕組み化」しています。

一つは、他者の目を借りること。 家族や信頼できる友人に、「私がこういう言動をし始めたら指摘してほしい」とお願いしています。

例えば、音楽を聴いて涙もろくなったり、道端でいたずらをしている小学生に注意し始めたりしたら要注意。「正義感が暴走しているサイン」だからです。

>もう一つは、数字による管理です。 睡眠時間の管理はもちろん、仕事にも「ポモドーロ・テクニック(25分集中+5分休憩)」を取り入れ、過集中を防いでいます。

調子が良いとついやりすぎてしまい、その反動で鬱がやってくる。それを防ぐには、自分の意志とは無関係に、強制的に休憩が入る仕組みを作るしかありません。

手帳には労働時間を記録し、月末に必ず振り返る。こうして客観的な数字で自分を監視し続けることを今でも続けています。

以前の私にとって、「働くこと」と「生きること」はイコールでした。 でも今は、仕事はあくまで「楽しく過ごすための手段の一部」だと割り切れるようになりました。仕事との適度な距離感を保てているのが、今の心身の安定につながっている気がします。

休職・離職中の方に「休職してよかった!この期間をポジティブに捉えよう」と言うつもりはありません。休職はやっぱりしんどいし、孤独です。 ただ、強制的に立ち止まることになったその期間を、「納得感」のある時間にしてほしいとは思います。

一度すべてをリセットし、自分を見つめ直した時間があったからこそ、私は今の働き方に出会えました。「転んでしまった」という事実を変えることはできませんが、そこからどう立ち上がるかは、自分次第で決められるはずです。

リヴァトレへの問い合わせに迷われている方へ、小町さんからのメッセージ

「とにかく休んでください」と言いたいところですが、私自身、「これだけ休んだ」と思っていても、振り返ってみると全然休めていなかったので、その難しさも分かります。

リヴァトレは、どんな決断をしても後押ししてくれる環境です。 いろいろなことを試すには、本当に良い場所だと思います。だからこそ、少し勇気を出して自分の考えを誰かに話したり、紙に書き出したりして、アウトプットしてみてほしいです。

人生に正解はいろいろあります。自分が「納得」さえできれば、それが正解なんだと思います。 ぜひリヴァトレを実験の場だと思って、たくさんのトライ&エラーを繰り返してみてください。

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