“働く人の日常の食事”をテーマに、独自のアプローチで活動を展開する株式会社社員食堂のCEOであり、栄養士でもある髙橋佳代子さん。リヴァトレでも食に関するワークショップを開催し、食生活がもたらす影響や、自分に合った食事の選び方、そして食を通じて自分と向き合う方法についてお話されています。では、なぜ髙橋さんは「食」について学んでいるのでしょうか。会社を設立するまでの経緯や食事に対する思いについて、リヴァトレスタッフが聞きました。
株式会社社員食堂CEO 栄養士/おやさい料理研究所所長 “働く人の日常の食事”をテーマに、その人の体調と生活に合った新しい食生活を送るためのデザインワークショップ・コンサルティング事業を展開している。
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目次
心の健康は「食」から:社員食堂のディレクターに挑戦。
来迎:栄養士を目指されたきっかけは何でしたか?
髙橋:なんとなく栄養士を目指していたというのが本音です。手に職をつけたいなと考えた時に、「食べることは一生付いて回るから栄養士が良いのでは?」と叔母から提案されて、食物科のある高校に入学しました。
食べることには興味があったので、高校で調理師の資格をとった後、短期大学で栄養士の資格を取得しました。
来迎:「食べること」はなくならないですもんね。その後の経歴を簡単に教えていただけますか?
髙橋:何度か転職をしているのですが、「食生活がきちんとしていないと、心の問題も良くならないから、栄養指導ができる人を」と言われて雇われた会社がありました。そこでは、食事を学べるカリキュラムを作り、カウンセリングをしながら相談者それぞれに合った栄養指導をしていました。
一方で「正しい栄養学を伝えるだけでは栄養指導はうまくいかない」という限界を感じていました。
その会社が倒産したことを機にIT業界に転職し、サポートエンジニアとして仕事をしていたのですが、その会社の社員食堂を立て直すという機会があり手を挙げました。
来迎:社員食堂を立て直そうとしていたのはなぜですか?
髙橋:当初あった社員食堂は「美味しくない」「栄養のバランスが良くない」と言われて社員に不評だったんです。そこで、社屋移転で新しい社員食堂を作ることになった際、私が食堂のディレクターになり、新規の構築と旧食堂の立て直しをやることになりました。
食事を通して自分と対話:一般的に良い=自分に合う訳ではない。
来迎:今の会社を設立するまではどのような経緯があったのですか?
髙橋:社員食堂のディレクターをやっていると、食事に来た皆さんは出されたものを食べているだけで、食堂に対して「何をどうしてもらいたいか」「何をどれくらい食べたいのか」という要望を言語化できていないことに気が付きました。
そこで、社員の要望を調査し、食品構成表に基づいて食事全体を改善したところ、食堂利用者である社員の体調が良くなったという声を多くもらいました。
この出来事を通して、「人は何をどれくらい食べたいか?」を伝えることが難しいのではないか?と感じたのが、今の会社を立ち上げた一番最初のきっかけです。
来迎:なるほど。リヴァトレのプログラムでも「自分は本当は何が食べたいのか、自分自身と対話をしてほしい」と仰っていましたよね。
髙橋:そうですね。もっと自分自身と対話をしながら向き合ってほしいと思っています。
来迎:食事を通して自分自身と向き合う、その視点は私にとって新しいです。
髙橋:もう一つきっかけがありまして、「どんなに食事に気を遣っていても病気にはなる」という経験をしたことです。
私が働いている時に慢性疲労を発症して起きられなくなった時がありました。病院で検査しても異常な数値は出ず、「うつ病かもしれない」と言われたのですが、自分は絶対にうつ病ではないという確信があって…。
別の病院で検査をした結果、腸内がアレルギーを起こしていて栄養が吸収されてなかったなどの不調が判明しました。
例えば、牛乳は飲むべきだと思い無理して飲んでいたのですが、自分にとって牛乳はアレルギーを起こしやすいものと分かりました。
来迎:無理して牛乳を飲んでいたのは健康のためですか?
髙橋:そうです。栄養摂取のために飲まなきゃと思っていたんです。でも「周りから良いものだと言われても、自分に合わない物がある」と気付きました。
「食べたい」「食べたくない」と思うのは自分の中で何か理由があるはずです。美味しいと思った事には意味があるし、嫌いだと思った事にも何か意味がある。
今の時代、SNSにもいろんな情報が出回っていますよね。「〇〇は身体によくない」と知ると全く食べなくなるなど、正解を求めてしまう方も多いのではないかなと思います。
ただ、一般的に良いと言われていることが全員に合うとは限らないので、自分自身を観察して「私はこれで良い」と納得する事が一番大事なのではないでしょうか。
身体に良くないといわれる食品が好きだったとしても、本人が「主体的に選択した」ということは尊重されるべきだと私は思っています。
自分が良いなと思ったことは自分だけでも肯定してほしい。それを伝えたいと思うようになったのは、ワークショップをやりながらの気づきです。
来迎:たしかに、誰かに何か言われても「自分はこれで良い」と自分で納得できるのは大事ですよね。
リワーク施設で食のワークショップ:セルフケアのきっかけに
来迎:リヴァトレでもうつ病などの精神疾患で仕事を休職・離職されている方に向けて、食についてのワークショップを実施していただきました。私が入社する前から実施されていますが、どのような経緯で始まったのですか?
髙橋:リヴァの元スタッフだった細海さんが前職の同僚だったんです。私が2016年頃に、野菜を中心としたワークショップを開催した際、細海さんが来てくれて「リヴァトレでも実施してほしい」と言われたのがきっかけでした。
来迎:同僚だったのですね。知らなかったです…。このワークで皆さんに伝えたいことはどのようなことなのでしょうか。
髙橋:自分の身体は自分で労われるようになること。最初は失敗しても良いので、自分に合ったケアの方法を考えるきっかけになってほしいですね。
まずは自分の心と向き合い、自分のことを肯定するのが大事だと思います。
来迎:たしかにそう思います。ただ、すぐ自分の心と向き合うのは結構エネルギーも必要だし、難しいことではないですか?
髙橋:食事の目的は、栄養素を摂取することだけではなく、心が生きるための「おいしい、幸せ」のためでもあると考えています。「美味しいか美味しくないか」は比較的簡単に感じられるところではないでしょうか。
食事を考えることを通して自分の心と対話をしながら自分のケアをしていく、自分自身を大切にしていく姿勢を取り戻してほしい。そこがワークで一番やりたいところです。
食事はそれぞれの環境によって最適解が違うので、自分にちょうど良い所を探してほしいし、自分が思ったことに対して率直に前向きに受け入れてほしいですね。
来迎:なるほど。まずは食事を通して自分自身と向き合い、セルフケアをしていくことが大事ですね。食からもいろいろ学ぶところがたくさんあるんですね。 今日はありがとうございました。
リヴァトレスタッフより:「自分にちょうど良い」探してみました
髙橋さんとお話をしている中で、「SNSで良いと言われていたからちょっと高いけど食べてみる」「嫌いな野菜があるけど栄養のためにどうにかして食べなきゃいけない」など、自分の中でも無理しているところがあることに気が付きました。たしかに一般的には良いかもしれないですが、自分で納得して食事ができていたかと言われると、そうではなかったかもしれません。
最後に、ワーク参加後のリヴァトレスタッフからのコメントをご紹介します。
これまでは面倒すぎて朝は食べない、昼はカップ麺、夕飯は基本外食という生活でしたが、「作れる時に作り置きする」「ワンプレートに盛りつける」という方法が自分にとってやりやすく心地良いという事に気が付きました。毎日同じようなものになりがちですが、朝晩は無理なく食事ができています!
自分で納得のできる食事スタイルが見つかったようですね。失敗しても良いので、まずは色々試してみて自分の納得できる食事を見つける。これが自分を大切にするセルフケアに繋がりそうです!
ぜひ、皆さんも正解を求めすぎず、「自分の事は自分で労わる」方法を探してみてくださいね。
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復職・再就職コーディネーター/精神保健福祉士
1998年岩手県生まれ。東北福祉大学を卒業後、2021年に新卒社員としてリヴァへ入社。現在はリワーク支援施設「リヴァトレ仙台花京院」で、プログラム提供に携わる。自分らしく感じる瞬間は「道に迷っている時」。