リワーク施設リヴァトレでは、うつ病等で休職・離職された方の職場復帰を支援しています。リワークに通う利用者さんからは、よく「会社を休職するときが大変だった」という体験談を伺うことがあります。会社を休職する際、実際にどのような困りごとがあるのでしょうか。
今回は会社の人間関係をきっかけに休職したBさんにお話を伺い、「体調を崩して休職を決める前に、出来ていたらよかったこと」について聞いてみました。
目次
参加者プロフィール
回答者
Bさん:(男性)うつ病。過去にも複数回休職した経験あり。取材時点ではリワーク通所中。約1年半ほどリワークを利用され、その後復職した。大学卒業後からエンジニアとして活躍されており、従業員4000名規模の企業に勤めている。
インタビュアー
四谷:リヴァトレ高田馬場センタースタッフ。臨床心理士・公認心理師。
休職のきっかけは?
四谷:休職のきっかけはどのようなものでしたか?
Bさん:一番は人間関係です。会社から部署に「なるべく残業をしないで仕事をこなしてくれ」という指示が出ていたのですが、前年度に部署の成果があげられなくて、「残業を抑えつつ成果も出さなくてはならない」という雰囲気でした。その影響でリーダーから厳しい事を言われていたので、それが一番辛かったです。特に辛かったのは休職する6~7か月くらい前からですかね。
四谷:辛かった休職前の6~7か月の間は、どのように過ごされていたのですか?
Bさん:単身赴任をしていたので、気分転換のために、家族のいる自宅に帰る日を増やしました。趣味のフットサルはやっていましたが、それだけだとなかなかストレスを解消できなかったですね。
休職の相談をしようとして困ったこと
四谷:休職することについて、周りに相談できる人はいましたか?
Bさん:単身赴任ということもあり、家族や友達が近くにいる状況でもなかったので、会社の相談部署に相談をすることはありました。
四谷:その相談部署はどのような活動をしている部署なのでしょうか。
Bさん:風邪の症状が出た時など、健康面でトラブルがあった時に、相談に乗ってくれる場所です。
四谷:では最初に休職を相談したのは、会社の相談部署だったのでしょうか。
Bさん:会社のストレスチェックが定期的に行われていたので、その結果を受けて産業医に相談をする機会がありました。
ただ、自分では「休職するまでもないだろうから大丈夫」だと思っていたので、ガス抜き程度のつもりで産業医に相談をしていました。産業医からは「仕事がしんどければ、上長にも伝えますよ」と言われていたのですが、その時は何かをしていただくということはお願いしませんでした。
四谷:産業医と面談したのは休職前のどのタイミングでしたか?
Bさん:休職の1ヶ月くらい前のことだったと思います。
四谷:産業医の他には誰かに相談しましたか?
Bさん:産業医面談の後は、休職に入るまで誰にも話していないですね…。 家族にも話していなかったと思います。「体調が悪くなったので、もう休職します」と会社に伝えて休み始めました。
ただ、休職してからも相談部署に電話で相談する機会があったため、「通院したいけど、近所の病院は2週間とか1ヶ月後でないと診察できないと言われて困ってる」等の悩みは相談できていました。
四谷:休職前に上司の方や人事の方とはお話しされなかったのでしょうか。
Bさん:相談部署の人とは休職の前に今後について話していましたが、直属の上長とは休職後になってから話をしたと思います。
通院先の探し方
四谷:Bさんは通院先をどうやって探しましたか?
Bさん:まず相談部署から、近隣の病院を紹介されました。そこは長期間予約を待たなくとも受診できる病院だったのですが、最終的には自分でインターネットで探した病院に行き、休職の診断書を貰いました。自分が単身赴任中であることを医師に話したところ、家族のいる家に戻って療養することを勧められました。
実は、過去にも休職したことがあり、その頃お世話になったカウンセラーの先生に連絡したところ、家族のいる家から通える距離の病院を紹介していただきました。そこも予約は1か月待ちでしたが、時間をかけて診察してくださる所だと聞いたので、今の病院に決めました。
四谷:カウンセラーの先生が紹介してくださった病院で、今の主治医と出会ったのですね。
Bさん:「信頼できる人からの紹介だった」というのが決め手ですかね。ただ、インターネットで見て、近場がよいとか、実績があるとかは自分で調べましたが、病院をどうやって選んだら良かったかの基準は今もよく分かっていません。
患者としては、なるべくいい先生に当たりたいというのが本音ですけど、実際に会ってみないと相性も分からないので、調べる手掛かりは欲しいですね。
会社のフォローと社内外の制度
四谷:会社側からは、休職手続きについてフォローはありましたか?
Bさん:以前に休職歴があったので、診断書さえあれば後は会社のほうでどんどん進めてくれるというのは分かっていました。
相談部署の人と上長とはやりとりをしていて、診断書の送り先について電話やメールで指示をいただいていたので、あとの手続きはほとんど会社側が処理してくれたと思います。
当時は簡単な手続きをするだけでもしんどかったですが、体調が悪くて書類が出せないとか、文章を書けないということはありませんでした。傷病手当金や障害者手帳、自立支援医療などの支援についても、自分一人で手続きできました。
四谷:支援制度の情報はどこから入手しましたか。
Bさん:それは主治医から教えてもらいました。実際に支援制度を利用して補助も受けられたので助かりました。
四谷:支援制度について、医療機関が案内してくださると助かりそうですね。
休職前にやっておいた方がよいこと
四谷:今思い返すと「休職前にやっておいた方がよかったこと」はありますか?
Bさん:2つあります。 1つ目は、コミュニケーションのトレーニングなど、休職前の段階で「体調を崩さないための予防研修を受けること」ができていたら良かったと思います。また、会社も休職を予防できるような取り組みをしてくれていたらよかったなと思いました。休んでからどうするかというより、休まないために何ができるか、ということの方が先に知りたかったですね。健康な時から、対策をたてておけるとよいと思います。
2つ目ですが、「休職したらどのようにすればよいか」について、入社した時に聞いておけばよかったということですね。
もちろん会社としては社員に休職してほしくないと思うのですが、、休職する人は絶対に出てくると思うので、会社側も休職に関わる情報をもっとオープンにしても良いのではないかと思います。
四谷:会社側からの情報提供については、もっと充実しているとよさそうですね。
休職を考えている人に伝えたい事
四谷:これから休職することを考えている人に向けて、何かお伝えしたいことはありますか?
Bさん:私は今も休職している(※インタビュー当時)ので、会社を休まないに越したことはないと思うのですが、しんどい時は休むことを選んでよいと思います。
四谷:どうしても辛い時、しんどい時に、会社を休むという選択肢を取れるのは重要なことかもしれないですね。本日はありがとうございました。
おわりに
今回の記事では、取材当時、リワーク利用中だったBさんに「体調を崩して休職を決める前に、出来ていたらよかったこと」というテーマで話を伺いました。
インタビューしてみたところ、
・体調を崩さないための予防は、休職前から学べているとよかったこと。
・会社の休職ルールなどについて、健康なうちに調べておいた方がよいこと。
といったお話を伺うことができました。
今、休職するかどうかで迷っている方がいらっしゃいましたら、この記事に書かれたことを参考に、休職の手続きの様子をイメージしていただいて、判断の役に立てていただけたら幸いです。
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