5月30日付けの奈良新聞3面にて、弊社サービス「ムラカラ」の紹介記事が掲載されました。
掲載概要
- 掲載日:2021年5月30日
- メディア名:奈良新聞
- タイトル:下北山 うつ病からの社会復帰支援「自分見つめる日々を」
記事本文
うつ病からの社会復帰を支援する障害福祉サービス事業所「ムラカラ」が昨年11月、下北山村で開所した。シェアハウスで共同生活を送りながらリハビリ、農作業、地域交流などのプログラムに取り組む宿泊型転地療養サービスで実績を上げている。
「ムラカラ」を運営する会社「リヴァ」(伊藤崇代表、社員60人)は、障害者総合支援法に基づき、東京や仙台でトレーニング施設や法人向けサービスを展開。10年間で1015人(半年後の就労継続率86.2%)の社会復帰をサポートした。
これまではすべて通所型で、宿泊型転地療養のムラカラ事業は新たに立ち上げた部門。下北山村が関係人口を増やそうと首都圏で開いた講座に参加した同社の社員で、現センター長の森田沙耶さん(31)の提案プランから始まった。
東京から7時間離れた下北山村のメリットは、せわしない都会で違和感やストレスを抱えている人が一時的に自然の中でリフレッシュできること。さらに「家族や職場と物理的な距離を置くことで自分自身に視線が向けられ、リハビリに専念できる」と森田センター長は指摘する。通所の場合、社会復帰まで半年~1年の設定だがムラカラは3か月~半年で「濃密で変化が早い」と感じている。開所以来、大阪、東京、仙台から30~40代を中心に延べ6人の男女が参加し、30代の女性1人が社会復帰した。
ムラカラ開所に伴い、公認心理師を含む社員3人が東京から同村に移住。村内の元消防施設を賃貸でシェアハウス(個室は約6畳)として運営。非常勤の夕食調理員として地域住民2人も利用者を見守る。プログラムで使う農園は耕作放棄地約60平方メートルを利用者と一緒に開墾した。
ムラカラを利用するのは投薬治療などが安定した人で、スタッフは主治医の治療方針に沿って支援内容を決定。薬は村の診療所と連携して処方が可能だ。就職活動もオンラインででき、大きな問題はないという。
今月、半年間のムラカラ生活を終えて社会復帰した大阪府出身の30代女性は「朝がきてベッドから起き上がり、カーテンを開けた時に目の前に広がる風景」など自然界の営みの一つ一つが自身のエネルギーになるのを実感したという。トレーニングの一つで自律神経を整える「マインドフルネス瞑想(めいそう)」は大阪でするより雑音が無く集中できた。
またムラカラは4月から、歩数や睡眠の質などがわかる腕時計型の活動量計の個人貸与も始めて好評だ。県の障害福祉分野のICT(情報通信技術)導入事業補助金を活用した。本人のスマホなどで蓄積データを確認でき、数値にもとづく体調管理に役立っている。
村と関わって5年目の森田センター長は川の美しさとおいしい水の感動を忘れず、村民の温かさに感謝し続ける。「疾病(しっぺい)の有無に関わらず、自分らしく生きることが目標です。ムラカラで自分自身と向き合い、納得できる人生を歩んでほしい」と利用者を支える。
ムラカラにはコロナ禍で失職し、うつ病が悪化したという人からの問い合わせもあった。ステイホームなどで活動量が減ると身体機能が低下し精神疾患に悪影響をもたらす懸念も。福祉的なサポートのニーズは今後も拡大しそうだ。