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対談

2019.03.01

ダサかった僕だから見つけられた「おしゃれの方程式」【イキカタログ 〜自分らしい生き方対談〜 vol.6 メンズファッションバイヤー・MBさん】

論理的で分かりやすい解説が男性から熱烈な支持を集めているファッションバイヤーのMBさん(写真右)。発信している数々の“おしゃれの法則”は、学生時代に「自分はセンスがなくてダサいんだ」と自覚し、理屈で説明できるまで研究し続けた賜物なのだとか。自分らしい生き方に辿り着くまでに遭遇した様々な岐路で、彼はどんな選択を重ねてきたのか。リヴァ代表の伊藤崇(同左)が聞きました。

プロフィール
MB(エムビー)
アパレル店舗のスタッフから店長、マネージメント、バイヤー、コンサルティング、EC運営など多岐にわたる経験を持つ。現在は会社の代表としてプロバイヤーや企業コンサルタントとして活躍する傍ら、ブログ「最も早くオシャレになる方法KnowerMag」会員制オンラインサロン「MB LABO」の運営、有料メルマガの発行にも取り組んでいる。「最速でおしゃれに見せる方法」(扶桑社)、漫画「服を着るならこんなふうに」(KADOKAWA)など著書多数。

大切にしているのは、
「メンズファッション文化」が醸成される場づくり

伊藤:「MB読者感謝祭」と題した大規模なイベントを開催されたそうですね。

MB:参加者は400人ほどで、過去一番の規模でした。12のブランドやショップさんに出店頂いたのですが、試着のみで販売は全面禁止のイベントにしたんです。

伊藤:新しい試みですね。

MB:「気兼ねなく試着を楽しめる環境を作りたい」と実行したのですが、狙い通り大好評でした。お店では、店員さんが待ち構えていて「試着したら購入しなきゃ・・・」と気が引けてしまう人も多いと思うんです。まずは、新しい服やブランドに気軽にチャレンジしてもらって、気に入った商品は通販で買ってもらえればいいかなと。

MB読者感謝祭にて

伊藤:東京や大阪ではスナックもオープンされたとか。

MB:そうなんです。男性がファッションについて話せる場を作りたくて。女性は何歳になっても「その服可愛いね」とか「どこで買ったの?」とか、洋服について話す機会がたくさんあると思うんですが、男性は少ないですよね。

伊藤:年齢を重ねるごとに減っていく気がしますね。

MB:「メンズファッションを文化として広げていきたい」と考えているので、直接コミュニケーションの取れる場所は重要なんです。単方向の情報発信だけでは、読んだ人だけがおしゃれになって完結してしまう。まずはイベントやスナックで出会うきっかけを作って、そのコミュニティの広がりの中でメンズファッションが盛り上がっていってほしいんです。

伊藤:よく分かります。リヴァが運営している「リヴァトレ」のプログラムも、講義形式のものは少なく、グループワークなど双方向のコミュニケーションが必要になるものが多いんです。個人の気づきが参加した全員の気づきに繋がり、より深い学びや多角的な視点での気づきを得やすいですから。

MB:文化は基本的に人との繋がりの中で形成されていくものですしね。 あと、おしゃれは理屈で組み立てられるから、男性向きだと思うんですよね。

伊藤:理屈ですか。

MB:メンズファッションで一番大切なのは「ドレスとカジュアルのバランス」だと考えています。「ドレス」はスーツをイメージしてください。ジャケット・シャツ・スラックス・モノトーンの配色・細身のシルエットなどのことです。反対に、「カジュアル」は普段着を指していて、Tシャツ・パーカー・スニーカー・カラフルな配色・ルーズなシルエットといった要素を指します。そんな「ドレスとカジュアル」を7:3の割合で組み合わせて、バランスを取ることがおしゃれの大原則なんです。

伊藤:なるほど、そのように分かりやすく理論的に説明しながら、メンズファッションに関する情報を発信しているのですね。

MB:そうですね。メルマガでは「外見も内面もかっこよく」ということをテーマにしているので、ファッションに関する情報だけでなく、内面の磨き方やビジネスマインドに関するコーナーも設けています。でも実はそれが一番人気があったりするんですよ。

伊藤:そうなんですか。ファッション情報がメインのメルマガで内面に関することが人気ってのは、面白いですね。さらに今後チャレンジしてみたいことは何かありますか?

MB:「リメイク」に着目していますね。ファストファッションの影響で、個人が所持している洋服の数は増えているのですが、万人受けするデザインやサイズであることが多く、それぞれの服に少しずつ不満を持っているという人も多い。でも、似たようなものを買うことには躊躇する・・という層をターゲットにして、いま持っている洋服を活かすことに需要がありそうだなと。

伊藤:タンスの肥やしの活用、いいですね!気に入っていたけど、昔っぽいシルエットだからいまは着られない服とかもありますし。

MB:デザインまで提案してくれるお直し屋さんがあったら面白くないですか。3Dプリンターで洋服が作れるようになるなど、どんどん技術も進歩しているので、組み合わせながら実現できたらと思っています。

プロのミュージシャンを目指すも
挫折を味わった学生時代

伊藤:ファッションに興味を持ったきっかけは何だったんですか?

MB:小学校高学年の時に女の子と出かける機会があって。何を着たらかっこよく見えるかを4つ年上の兄貴に相談して選んでもらったんです。そしたら、みんなの反応が明らかに良くて。当時はまだなんとなくですけど、洋服ってすごいパワーを持ってるんだなと体感しました。

伊藤:そこから洋服に関わる仕事を目指すように?

MB:いえ、元々はミュージシャンになりたかったんです。3歳からピアノを習って、中学生からはドラムを始めて、22歳くらいまで本気でプロを目指していました。部活動だけじゃ物足りなくて、高校3年生の時にはジャズバンドに加入し、40~50代の人たちと演奏し始めました。

伊藤:あえて、年の離れた人たちと活動を始めたのですね。

MB:自分よりレベルの高い環境に身を置けば上手くなれるかなと。楽器屋さんにあったメンバー募集用の掲示板に、「メンバーはドラムの僕一人しかいませんが、ジャズやってます。誰か一緒にやってください!」って貼り紙をして(笑)。そしたらバンドに交ぜてもらえることになりました。

伊藤:行動力ありますね。バンド活動はどうでした?

MB:みんな本当に上手な分、すごく厳しくて、正直めっちゃ怖かったです。何とか追いつきたいと、練習のたびにレコーダーで演奏を録音して、それを聴いてまた練習…を繰り返しながら夜中までドラムを叩いていました。

伊藤:そこまでのめり込んだドラムをやめたのはどうしてですか?

MB:某有名バンドのベースの方が始めたジャズバンドが新潟でライブした際に、前座を任されまして。僕は出番を終えて大満足していたのですが、その後に彼らの生演奏を聴いて衝撃を受けました。「こんなに上手な人がいるのに、なぜ自分がプロを目指すんだろう。社会に必要とされないなら、やめた方がいい」と思ってしまったんです。

伊藤:圧倒的な差を感じたんですね。

MB:桁が違いました。僕は学生だったこともあって1日4時間くらい練習していたのですが、はるかに上手いその人たちが「1日8時間は練習しないと腕が落ちる」と言っていたんです。自分なりに突き詰めていたつもりでしたが、それを聞いて心が折れてしまいましたね。

父の会社が倒産し、両親は離婚
自分の生き方を模索するきっかけに

伊藤:その後、ファッションの道に進んだのですか?

MB:そうですね。大学に通いながらアパレルショップでアルバイトをしていたこともあり、卒業後も新潟で販売員として働きました。

伊藤:音楽をしながらも、ファッションへの関心は持ち続けていたのですね。

MB:どちらも一見、感覚的なものと捉えられがちですが、僕は理屈で説明できるまで考え抜くことに楽しさを感じていました。例えば中学生の時、バスケ部の奴らが顔が良いわけではないのにやたらおしゃれでに見えたんです。「同じような格好をしても僕はかっこよくならないのはどうしてだ」と理由を探し続けた結果、規則性が見えるようになってきたんです。

伊藤:ちゃんと理由があるんですね。

MB:この時初めて、着崩し方や色遣いの合理性に気づいたんです。ロジックを書き溜め、販売員としてデザイナーさんやスタイリストさんと会ったときに“答え合わせ”をしていきました。その結果、「かっこよさには法則がある」と確信したんです。

伊藤:販売員としての仕事にも活かせそうですね。

MB:1枚1~2万円の店で客単価が60万円 になるくらいでした(笑)。「お似合いですね~」と声をかけるのではなくて、「あなたがこの服を買う理由」を論理的に伝えられるので、納得して買ってもらえていたと思います。

伊藤:音楽もファッションも、そこまで追求できたのはなぜですか?

MB:中学1年生の時に父親の会社が倒産してしまって、一気に超極貧生活に転落したんです。掘っ建て小屋みたいな家に引っ越して、両親は離婚、怖い人がお金を取り立てに来る…絵に描いたような貧しさでした。

伊藤:それは大変でしたね。

MB:優秀で一生懸命仕事をしていた父親がこうなるなら尚更、「自分はきちんと物事を考えて、人と違った視点で社会で必要とされることをしなければいけない」と考えるようにになったのだと思います。

伊藤:かなり早い段階で考え方の軸が固まったのですね。

MB:それに、母に恩を返すのが僕の生きる意味だと思っていまして。ストレスで病気になったり、親戚に頭を下げてお金を借りながら、女手一つで2人の息子を育ててくれたんです。そんな母親の苦労の上に生かせてもらえているんだという気持ちも、僕の原動力になっています。

他の誰でもない
僕がファッションに関わる意味を求めて

伊藤:個人としての活動を始められた経緯は?

MB:店長を経て、複数の店舗を管轄するマネージャーやバイヤーとして働きました。転機となったのは、通販事業の立ち上げですかね。

伊藤:当時はまだ通販が盛んではなかったと思いますが。

MB:店舗に来るお客さんが年々減っていて、1日10人という日もありました。大好きなブランドを多くの人に知ってほしいからお店に立っているのに、お客さんが増えなければ意味が無いと思って、通販事業について提案しました。その際、事業部として独立する条件として「店長業務と両立しながら通販だけで3,000万円まで売り上げを伸ばすこと」を提示されたんです。

伊藤:達成できましたか?

MB:仕事を終えた後に「ひたすら服を撮影し、コメントを書き、更新する」という作業を1年ほど続けたところ、売り上げは3,000万円に達しました。それなのに、上司に「独立させるなんて約束してないよ」としらを切られてしまったんです。仕方なく、どうしたら事業部化できるのかと聞くと、今度は「売り上げが5,000万円を超えたら独立させる」と言われました。

伊藤:諦めなかったんですね。

MB:1年後に5,000万円も達成し、事業部として独立させることができました。振り返ってみると、無我夢中で頑張った2年間でサイト運営やマーケティングの知識が身に付きましたし、その経験は後の活動にも活きましたね。

伊藤:会社を辞めて個人で活動を始めたのはどうしてですか?

MB:大手ファッション通販サイトの台頭やファストファッションの流行によって、好きなブランドやお店がどんどん潰れていきました。マネージャーやバイヤーとして関わった技術のあるデザイナーたちも仕事を失っていき、「アパレル業界の構造の中にいては現状を変えられない」と思ったんです。

伊藤:服を売る側としてブランドを育てることの限界を感じたのですね。

MB:どうしても「売るためにオススメしているんでしょ?」と思われてしまいますから。通販サイトのレビューやグルメアプリの口コミでも、第三者が発信する情報の方が信用されますよね。

伊藤:会社にとってもMBさんは欠かせない人材だったでしょうが、葛藤はありませんでしたか?

MB:もちろん、上司からも親からも止められました。でも、責任ある立場になるにつれて、会社で働き続けることの限界が見えてしまったり、書類と向き合うような仕事が増えたりして、仕事が面白く思えなくなっていたんです。「あなたがいてくれてよかった」って言ってもらえる仕事がしたいという強い思いに背中を押されて、すんなり決断できました。

ダサかった僕だから寄り添える
「おしゃれになりたい」という気持ち

伊藤:メルマガの登録者は12,000人を超えているそうですね。書き続けることが苦になったことはないですか?

MB:メルマガは1通28,000文字なのですが、週1回の更新では足りなくて、2通に分けて56,000文字書いているくらいです(笑)。ファッション業界では毎週新作が発売されるので、記事の鮮度を大切にしています。1週間以上書き溜めておくことはないですね。毎日お店を回って、新しいものをガンガン買っているので、常に書きたいことでいっぱいなんです。

伊藤:そんなに?すごいですねぇ!本当に好きでやっているからこそですね。

MB:そうなんです。学生に講演する機会がある時はいつも、「好きなことは仕事にしていいんだよ」と話します。例えば、ゲームが大好きでやりすぎて怒られている人は、隠れてでもやったりするじゃないですか。そういう風に夢中になれることは、一番の原動力になるんです。突き詰めて達人になれば、注目されて需要を生み出すこともできますし。大人がどの子にも一律に「勉強しなさい」と言って好きなことをやめさせてしまうのはもったいないなって思います。

伊藤:情報発信をする上で工夫していることもたくさんありそうですね。

MB:「全部自分でやる」ということですかね。雑誌が売れない理由を分析した時に、「みんなは作られているものが嫌なのかな」と気付いたんです。モデルが身に着けたら何でも良く見えちゃうじゃないですか。だから僕が自腹で買って、着て、書くことに意義があって、信頼してもらえるんだと思っています。

伊藤:体型やヘアスタイルなど、ご自身のコンプレックスもさらけ出していますよね。抵抗はないのですか?

MB:コンプレックスは「自分が克服した分だけ、他人に知見を渡して社会に還元できる」と思うので、弱い部分をさらけ出すことに抵抗は全くありません。中学生の時に、かっこいいバスケ部の人たちと自分を比べて「僕はセンスがなくて、ダサいんだ」と痛感しました。でも悔しい経験があったからこそ、洋服について一生懸命研究して克服できましたし、おしゃれになりたい人の気持ちに共感できるからこそ、分かりやすい情報発信ができているのだと思います。

伊藤:「自分の経験で他人を幸せにできる」と体感しているからこそですね。リヴァトレを卒業された方々の中にも「自らのつらい経験を活かして、現在あるいは今後疾患と向き合う人たちの力になりたい」と、リヴァのスタッフや外部パートナーとして関わってくれている人たちがいて、本当に心強いんです。

MB:素敵なつながりですね。実は、僕も大学生の時にうつを経験しているんです。そのことは公言していないのに、不思議なもので「うつだったけど、ブログを読んだおかげでおしゃれになったと実感できたら、外に出られるようになった」と連絡をくれる読者が何十人もいるんです。「救ってくれてありがとう」と言ってもらえると、僕がうつになった意味もあったのかなと思えて嬉しいですね。

伊藤:リヴァでは「自分らしく生きるためのインフラをつくる」というビジョンの実現を目指しています。周囲の人と自分を比べ、悩みやコンプレックスを抱えていると「周りからどう見られるか」が生き方の判断基準となってしまい、自分の心に正直な選択がしにくくなってしまうでしょう。そんな人に、MBさんならどんなアドバイスをしますか?

MB:「いま抱えている悩みやコンプレックスは、きっといつか自分の強みになって、他人を幸せにできるから大丈夫だよ」と伝えたいですし、そう思うことでいまの自分を少しでも楽にしてあげてほしいなと思いますね。

伊藤:実際にマイナスをプラスに変えてきたMBさんの言葉には、説得力がありますね。アプローチの方法は違えど、考え方など共感できる部分がたくさんあり、お話を伺えて良かったです。本日はどうもありがとうございました!

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この記事を書いた人

菅野 智佐
株式会社リヴァ
2018年度入社

1996年福島県生まれ。山形大学を卒業後、新卒社員としてリヴァへ入社。
「リヴァと関わったことで、自分らしい生き方について考えられた」という人を増やしたいと、リヴァマガの運営管理に携わっている。

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